記事
今月14日、東京都内にて東洋大学とミズノ株式会社による合同公開取材が行われた。パリ五輪出場を2か月後に控えた竹原秀一(スポ2=東福岡)、松下知之(国1=宇都宮南)青木玲緒樹(H28年度営卒=ミズノ)、白井璃緒(R3年度国卒=ミズノ)らが一部練習を公開した。(取材日・5月14日)
(左から)白井、松下、平井監督、竹原、青木
平井伯昌 監督
東洋大法学部企業法学科教授。大学卒業後、東京SCに就職し水泳指導者になると、2013年には東洋大水泳部監督に就任。2000年シドニー五輪から五輪日本代表ヘッドコーチを務め、これまで数多くのメダリストを指導してきた。
ーー選手たちへの指導方針は
4人に共通してのところは、予選から頑張っていこうという話は、私から言うというよりかは選手の方からオリンピックで頑張るために、予選からやらないといけないなという言葉が出ていましたので、それが担当の選手共通の課題、目標で。
学生の竹原選手でいうと、彼が一番安定しているんじゃないかなと思うんですね。選考会でいうと、予選・準決勝のときは結構大きな泳ぎで余裕をもって入れていたんですけど、そういった泳ぎが練習中にできているので、そのレースを自分のものにできるように。試合のトレーニングになるように。今やっていることをそのまま、大きな泳ぎて早く入れるように慌てないでいくことが課題で。
松下くんはどういう選手か、その大会に出てくるかまだわからないんですけど。選考会で言うと、予選と決勝の前半のラップが全然違いましたので、(最近は)背泳ぎもバタフライも良くなってきていて、背泳ぎはとくに今一番本人が自信あるんじゃないかなと思いますので、そのへんのラップタイムを上げて最後の自由形でこの前56秒いきましたけどそれに近い記録に来れるかというところですね。
学生の二人には正直言って、ベストタイムを出してほしいなと思っています。
ーー選手たちにメダルは期待するか
自分が指導者としてオリンピックに2000年から参加させていただいていますけど、コーチとしてメダルを取れなかったのは最初の2000年(シドニー五輪)だけなので、今回なんとしても、自分自身のキャリアのためにもメダルを取ってほしいなと思いますね。(笑)それには記録を上げることは前提なんですけど、先程もお話ししましたが、選考会後の方が特に学生の二人はのびのびとできていると思うので、ここから2ヶ月半で伸ばせるように私も必死に入っていますのでメダルを獲得して帰ってきたいなと思います。
ーー松下選手がもつ可能性、伸びしろは
練習もそうなんですけど、試合や選考会でもあれだけ最後頑張れるっていうのは、見ていて、完成度というんですかね。今までどれくらいやってきて選手としてピーク年齢ってあると思うんですけど、まだまだ未完成な状態であそこまで来ているんじゃないかと思うので、もちろん自覚して自分で自分に厳しく律するっていう風になっていかないと、世界のトップ選手になれないと思うしその点でまだだと思うので。色んな意味で本人が自覚してもらうことが前提ですけどまだやれることは多いんじゃないかなと思います。
ーー松下選手が大学生になって、距離が近くなったと思うが何か接し方は変わったか
ないですけど(笑)今日もそうですけど、練習は(競技)距離が違いますから竹原選手と分けてやりますが、ほぼ(竹原と)同じメニューでやっているんですね。二人のコンビはすごくいいので、松下くんからしても竹原くんと一緒にトレーニングできていることはすごくいいんじゃないかなと思います。
選手たちの練習を見守る平井監督
ーー17日から高地トレーニングのため海外遠征をするが、今回の遠征で下山する時期を早めた狙いは
チームの方針というのもあるんですけどそれに加えて、例えば青木だとちょっと下山してから調子が上がってくるのが少し遅いんですね。あとは竹原、松下ら若い二人に関しては彼らも高知合宿はきつかったと思っているかもしれないけど、今まで萩野選手らに課していた練習は軽く二倍くらいはやっていたと思うので、まずは高地ででしっかり鍛えて、伸び代がすごくあるから疲労を抜くのに、調子を上げるのに3週間費やすという目的でスケジュール変更しています。
ーー次の遠征は滞在期間が長くなるが、気をつけたいことは
そのうちの2週間くらいはチームみんな一緒に、ヨーロッパグランプリなので。松下くんは去年ヨーロッパに行ってますから、現地での彼の様子を見ていると対応力が決して低くないと思うので、いろいろな場所に行ってから知らないこととかも。練習だけでなく、一緒にオフを過ごしたり気晴らしをいろいろ行きたいと思っています。
ーー松下竹原コンビの相性は
(竹原選手のことを)竹ちゃんって呼んでいるんですけど、竹ちゃんは結構キツい練習でもへっちゃらにやるんですよ。どちらかというと、松下の方が練習メニューを見て急にゴーグルをはめだして、足のストレッチをしだす(笑)緊張しているのを僕らはからかってるんですけど(笑)松下くんの方が慎重なんですよ。竹原の方が悪くいうと何も考えないところがあるので、(二人を)見ていると、竹ちゃんがあんな風にやるから松下も「えっ」ってなってついていくっていう感じがあるかなと思います。
コーチとして松下・竹原と共に世界と戦う
TEXT・PHOTO・聞き手=望月桜、鈴木真央、岡本后葉