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第21回関東大学女子駅伝対校選手権大会
9月27日(日)印西市千葉ニュータウン周回コース
総合7位 東洋大 1:43'00
1区 7位 内田寧々(食2=学法石川) 15'22 (通過7位)
2区 9位 天羽彩佳(食3=仙台育英) 14'57 (通過8位)
3区 8位 鴫花織(食3=坂戸) 11'13 (通過8位)
4区 10位 平山絵梨(ラ3=酒田南) 19'39(通過9位)
5区 8位 森田歩実 (食1=浜松商業) 16'02 (通過9位)
6区 3位 佐藤早也伽(食3=常盤木学園) 25'47 (通過7位)
7位とまずまずの順位でタスキをつないだ1区・内田
第2中継所 天羽(右)- 鴫
第3中継所 鴫(左)- 平山
第4中継所 平山(左)- 森田
第5中継所 森田(左)- 佐藤早
危機的な状況から順位を二つ押し上げた佐藤早は7位でゴールテープを切った
杜の都への切符を手にし、選手たちは安堵の笑顔を浮かべた
全日本女子駅伝(以下、杜の都)への出場をかけた第21回関東大学女子駅伝対校選手権大会が行われた。上位を狙った東洋大はアンカーを前に杜の都出場圏外の9位に順位を落とし、危機的状況に陥る。しかし、エース・佐藤早(食3=常磐木学園)の見事な追い抜きによって7位に入り込み、チームは杜の都への出場を決めた。
まさに逆転勝利と言えるレース展開だった。1区は2年連続で内田(食3=学法石川)が任された。集団がばらけだすと何度か離されるも自慢の粘り強い走りで耐え、7位でタスキを渡す。ところがその後は2区の天羽(食3=仙台育英)が残り3kmで順大に抜かれ8位に順位を落とすと、続く鴫(食3=坂戸)も終盤に後ろの筑大に差を詰められてしまう。杜の都への出場権は、シード権を獲得している大東大を除き上位6校までに与えられる。大東大が東洋大を先行していたため、7位までに何としてでも入らなければならなかった。しかし、4区・平山(ラ3=酒田南)、5区・森田(食1・浜松商)も悪い流れを断ち切り追い上げることはできず、杜の都出場圏外の9位に。そして、勝負の行方はアンカーの佐藤早へ託された。
杜の都へ進める7位との差は約1分。この差をひっくり返せるか、佐藤早の走りにすべてがかかっていた。このようなプレッシャーのかかる場面でも「落ち着いてレース運びをすることができた」と、佐藤早は今季積極的に長い距離に挑戦してきた成果をここで発揮する。8位に上がった時点では体に余裕が残っており、徐々に前の選手の姿をとらえはじめる。なかなか差が詰まらない苦しさを感じつつもあくまで自分のペースを崩さない。「やってくれると信じていた」。永井監督は語る。「全員が諦めずに最後まで佐藤を信じていた」。ついに追い抜くと7位でゴールし、杜の都への出場を決めた。ゴール直後、笑顔で駆けつける仲間に佐藤早の目に涙があふれた。
今年の女子長距離部門は杜の都に向け、予選である今大会を上位で通過することを目標としていた。しかし、結果は出場権獲得ギリギリの7位。それもエース・佐藤早の走りに頼ったレースとなってしまった。1年次から杜の都を走っている平山は「関東で7位では全日本で戦えない」と現状を厳しく受け止める。それぞれの選手が杜の都の出場が決まった喜びとともに、課題や見直すべき点を痛感した。あと約1ヵ月、念願のシード権獲得に向けて調整を重ね、全国の舞台へと鉄紺女子が挑んでゆく。
■コメント
・永井監督
走った選手については最低限の仕事はしてくれたと思う。予定していた選手だった1年生の山田、江口が体調面が上がってこなくて使えなかった。なんとかアンカーのエースの佐藤まで少しでもいい順位をキープしてみんなでつなごうということで、こういう区間配置にした。(佐藤早の走りは)調子は上がってきたのでやってくれるとは信じていた。ちょうど全日本の切符がかかる7位のところで一時前との差が開いたところもあり、厳しいかなと思った。だが、全員が諦めずに最後まで佐藤を信じた結果、切符を手に取れた。(7位という結果は)しっかり受け止めて、全日本まで約1ヵ月あるのでもう一回全員でしっかり目標を定めたい。シードという目標に少しでも近づくような最後の調整をしっかりやりたい。(全日本では)4月に新チームになってからシード権を取るということで頑張っているので、今日のレースのように最後まで諦めずにつないでいきたい。
・1区 内田寧々(食2=学法石川)
あと二つ順位を上げられそうだったので、欲を言えば抜かしたかった。でも全カレからの良くない流れの中、この順位で渡せたのにはほっとした。調子も上がりつつあるので、自分の走りに近いものを取り戻せてきたかなとプラスにとらえている。(2年連続の1区は)記録を見ると去年より今年の方が遅いので、そこは「自分だめだな」とちょっと思うが、春のトラックを全然走れていない中1区をやらせていただけたのは、プレッシャーもあったがすごく頑張らなきゃという気持ちになった。(杜の都に向けて)3回目なので、今回のようなハラハラするレースはできない。今年こそは絶対シードをとり、応援してくださる方にハラハラではなくいい意味でドキドキしてもらえるようなレースにしたい。
・2区 天羽彩佳(食3=仙台育英)
今回初めて関東女子駅伝を走った。5区まで9位で、結局佐藤早に最後上げてもらう形になって、頼ってばかりのレースになってしまったことが悔しい。杜の都ではチーム一丸となって記録を残したい。(自身の走りを振り返って)2区は後半にアップダウンのあるコース。3kmまではペースを保てたが、後半のきついところでペースダウンしてしまった。粘れなかったことが課題に残る。3km過ぎに後ろを走っていた順大に抜かれてしまった。(杜の都に向けて)今自分ができることをちゃんとこなして、万全な状態で挑みたい。
・3区 鴫花織(食3=坂戸)
復帰してから初めての駅伝だった。いろんな人の応援がずっと聞こえていて、それにすごくびっくりして、うれしくて力になった。入りの1㎞は設定通り3分15秒で入れたが、その後たれてしまった。後ろの足音が聞こえて、ラスト300mでやっと力を出せたという感じだったので、力を出し切れず悔しい。タスキを受け取ったときはすごくうれしかった。(佐藤早の走りは)本当にすごいと思った。全日本では早也伽にばかり頼らずに、私自身ももっと東洋に貢献できるように、もっと強い走りができるようこれから1ヶ月練習したい。杜の都は今回よりも区間の距離が長くなるので、きちんと対応できるように距離を踏んでしっかりスピードに乗れるようにたくさん練習して、自信をもって胸を張ってスタートラインに立てるように頑張っていきたい。
・4区 平山絵梨(ラ3=酒田南)
昨年の(二瓶)優奈先輩の区間タイムより少し早いくらいを目標としていた。5.8kmと、自分が思っていたより長い区間で正直距離に対する不安が少しあったが、任せてもらったからには自分の仕事をできるように頑張ろうと思った。(レース展開は)タスキを受けたとき後ろに筑波大がいて、走り出してからすぐくらいに抜かれてからは、後半追っていこうと考えていた。ペースの維持はできていたが、後半追い上げることができなかった。最後に粘り切る力がもっと必要だと思った。(振り返って)残りの5区と6区にもっと楽をさせてあげられるような走りをしなければならなかったので、順位を落としてしまったことについては後悔している。杜の都では、自分が順位を押し上げられるようにあと1カ月頑張りたい。チームとしては、関東で7位では全日本で戦えない。あと1カ月、個人個人反省することを修正していけば全日本でもっといい駅伝ができると思うので、あくまでシード権を目標として頑張っていきたい。
・5区 森田歩実(食1=浜松商)
前のチームとの差を縮められたのは良かったが、区間8位だったのが悔しかった。もっと前に詰めてタスキを渡せれば良かった。(レース展開は)中盤粘って、最後まで走ることを意識していた。(選手の中で唯一の1年生だったが)自分の前後に頼りになる先輩たちがいたので、安心して走ることができた。早也伽先輩ならいけると思ってタスキを渡した。杜の都でも選手として走れるようにしっかりと練習をしていきたい。
・6区 佐藤早也伽(食3=常盤木学園)
みんなで杜の都に出れるのは本当に良かった。(走る前は)思っていたより前と差があったので不安な気持ちもあった。最初の1kmの入りが遅かったので「大丈夫かな」という気持ちもあったが、それからはペースを上げて保っていけたので良かったと思う。(8位に上がったときは)「まだいけるかな」と余裕があった。ただその後は、前は徐々に大きく見えてきたのになかなか差が詰まらなくて苦しさもあった。それでも自分のペースを保っていったら追い付けた。(ゴールした瞬間は)本当に決まったのかなと思っていたが、みんなが笑顔で駆けつけてくれたので涙が込み上げてきた。(今季長い距離へ取り組んできた成果は)昨年までよりは落ち着いてレース運びをすることができた。 ただ最初は前に目標があったのでそこを目指してペースを保てたが、7位になってからは自分の甘さが出てペースが落ちてしまったので杜の都に向けて改善していきたい。今回の結果では満足はいかないので、杜の都でしっかりシードを取るためにチーム一丸となって頑張りたい。(個人としては)3年生なのでチームのみんなが安心して見ていられるような力強い走りをしていきたい。
TEXT=吉川実里 PHOTO=吉川実里、青野佳奈、畑中祥江、野原成華、石田佳菜子、福山知晃