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第93回日本学生陸上競技対校選手権大会
9月19日(木)~9月22日(日)
神奈川・Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
3日目
男子4×400mR予選
5組/1着+3
5組
1着 東洋大学 3'06"40 Q
山﨑 琉惟
萩原 拓斗
白畑 健太郎
小川大輝
4日目
男子4×400mR決勝
1位 東洋大学 3'05"71
小川大輝
平川慧
白畑健太郎
新垣颯斗
掲載が遅れてしまい、大変申し訳ございません。
9月19日(木)~22日(日)にかけて神奈川・Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで第93回日本学生陸上競技対抗選手権大会(以下、日本インカレ)が行われた。全国の大学生が集い学生界のトップを狙うこの大会で、東洋大のロングスプリンターたちが躍動した。4×400mリレー(以下、マイル)に前回大会チャンピオンとして挑んだ東洋大。昨年の優勝メンバーから2名が抜けた中、全員で高め合ってきたその真価を発揮し、連覇を勝ち取った。
400mで無類の強さを誇る東洋大。今年行われたパリ五輪日本代表の中島佑気ジョセフ(R6年度総卒=富士通)、吉津拓歩(R3年度ラ卒=株式会社ジーケーライン)をはじめとし、数々のトップランナーを輩出してきた。その活躍は個人種目にとどまらず、日本インカレでは2016年にマイル初優勝を飾って以降、昨年までの8年間で優勝は6回にも及ぶ。確かな強さを証明し続けるその歴史に今大会で、新たな1ページが加わった。
優勝を果たしたレース後のマイルメンバー(左から新垣、白畑、平川、小川)
3日目に行われたマイル予選。主将の萩原拓斗(法4=岡崎城西)を中心に、「自分たちはチャンピオンなんだ。全員が攻めの姿勢で走ろう」と声を掛け合い、プライドをもってレースに臨んだ。1走は今大会まで2レース連続の自己ベスト更新で、勢いに乗る山﨑琉惟(スポ2=洛南)。「ラストがきつくなってしまった」と振り返ったものの混戦の中、トップでバトンパス。2走の白畑健太郎(法1=米沢中央)は、バトンを受けるとすぐに競り合いから抜け出し、先頭をひた走る。そのままトップで3走の萩原へ。後方から猛追を受けながらも、意地の走りで先頭を守り切った萩原。一度もトップを譲ることなく、堂々の1番手で4走の小川大輝(ラ3=豊橋南)へつないだ。4校が縦一列に並び、最後はアンカー勝負に。200m手前で中大が仕掛け先頭に出るが、小川も食い下がる。「なんとしても決勝に行かないとだめだ」と、ゴール直前に再び抜き返し、1着で決勝進出を決めた。
1走・山﨑から2走・白畑へ
3走・萩原からアンカー・小川へ
迎えた最終日。今大会最終レースのマイル決勝には、小川、平川慧(スポ1=コザ)、白畑、新垣颯斗(法4=桜丘)の布陣で挑んだ。勝負の始まりを告げるピストルが鳴り、小川がスタート。昨年も1走を務めた小川は「思ったよりも体が動かなかった」と語りながらも、日大に次ぐ2番手でバトンパス。2走の平川は「自分がトップで持ってこないといい流れを作れない。絶対に負けない」と強気で前を追う。オープンレーンになると、外側から早大の横につけ、ラストの直線で一気に前へ。トップで3走の白畑につないだ。続く白畑もその勢いを受け、攻めの走りで後ろを離す。しかし、「ラストの100mで切り替えることができなかったのは自分の弱いところ」と、追い上げてきた早大に先行を許す形に。そしてバトンは最終走者へ。アンカーは4年生で唯一の決勝メンバーとなった新垣。走れなかった仲間の思いも背負い、走り出した。新垣にバトンが渡ったのは、早大に次ぐ2番手。しかし、焦りや緊張はなかったという。「バックストレートで抜くと決めていた。逆に勝てると確信しました」と攻めの走りですぐに追いつき、戦略通りバックストレートで逆転。早大アンカーも簡単には引き下がらず、第2曲走路で並びかけるが、新垣も譲らない。先頭を守ったまま、ラスト100mで再びギアを上げて早大を突き放すと、バトンを高々と掲げ、優勝のゴールを切った。
昨年に引き続き、決勝のアンカーを務めた小川
トップで2走・平川から3走・平川へ
トップでゴールした新垣。バトンを高く掲げた
優勝を果たしたマイルメンバーはスタンドの東洋大チームのもとへ。歓喜に沸く彼らの中に、人目をはばからず涙を流す萩原の姿があった。主将としてチームを引っ張ってきた萩原。昨年のマイル優勝メンバーから絶対的エースだった中島、鈴木碧斗(R6年度法卒=住友電工)が抜け、連覇できるのか、不安もある中での日々だったという。しかし、「みんなで強くなろう」と、互いに鼓舞し、今年に入り46秒台を6人が記録。頼もしい1年生を仲間に迎え、一味同心となって強化してきたことで、選手層も厚くなった。チームとしての強さを磨いてきた1年。懸けてきた思いは実を結び、最後は総合力で優勝をつかみ取った。そんなチームを作り上げた萩原は「一人ひとりが強い最高のチームであることを証明できた」と胸を張る。初優勝からの4連覇以来、連覇を阻まれてきた東洋大。今大会で再び連続優勝の道を踏み出し、不動のマイル王者の座を築き始める。
主将・萩原は涙を流して優勝を喜んだ
表彰式のマイルメンバーと萩原
4日間にわたり繰り広げられた激闘の数々。笑顔もあれば、涙もあった。今大会、大活躍をみせた新垣は、「マイルでチーム一丸となって優勝できたことが何よりうれしかったです。応援や仲間のサポートが大きな力となり、最後まで戦い抜くことができました」と語った。出場選手だけでなく、チーム全員が全力を注いだ4日間。一人ひとりの様々な戦いを背負い迎えた最終レースで、大声援の中での熱戦の末、優勝をつかんだのは東洋大だった。今大会、そしてこのチームとして有終の美を飾った彼ら。日本インカレの終幕に、表彰台の頂上に鉄紺が輝いた。
閉会式後の東洋大学短距離部門
◼︎萩原拓斗
ーー4×400mリレー予選のレースを振り返って
直前に足が痙攣してしまい走れるのか、いい順位で渡せるかなどの不安がありましたが鉄紺の意地を見せる堂々とした走りが出来のではないかと思っています。
ーーレース前やレース後、マイルメンバーとはどのような声がけをしたか
自分たちはチャンピオンなんだと、全員が攻めの姿勢で走ろうと声がけをし、レース後は決勝に向け全員できる準備をしようという話をしました。
ーー主将として引っ張ってきたマイルチームが優勝を果たしたことについて
去年卒業されたジョセフ先輩、碧斗先輩がいない中、自分たちが2連覇を達成できるか代が変わってから不安でした。ですが頼もしい後輩そして最後は同期の新垣が素晴らしいレースをしてくれて報われたなと感じました。
ーー最後のインカレとなりましたが、今大会を振り返っていかがですか。
大学1年時の私では到底大学を背負って走ることなど想像できませんでしたが、インカレという大きな目標が都度私を成長させてくれたと思います。今大会はそんな私にとっての最後の全国規模の大会となりましたが、その中でも個々が活躍しチームとして総合4位になるということは他大学に比べ人数の少ない我々が1人1人強い最高のチームであることを証明できたのではないかと思っています。
ーー主将として過ごしたこの1年は、どんな1年でしたか。
長かったけどあっという間だったというのが率直な感想です。私自身この一年怪我が多く結果や実力で後輩達を引っ張ることは正直出来ていなかったとは思います。ですが泥臭く誰よりも諦めの悪い、意地みたいなものは多くの選手に認めてもらったと思います。またもちろん私だけでなく同じ4年の仲間と共にチームを引っ張り全国がここまで爪痕を残すチームに出来たこの1年はこれからの人生、どんな形でも必ず自分に自信を与えてくれると思います。本当にありがとうございました。
◼︎新垣颯斗
ーーマイルリレーを振り返って
最後の日本インカレで、マイルのアンカーとして走り優勝することができてとてもうれしかったです。大きな大会でアンカーをやるのが初めてで走る前は今までで1番緊張していました。でもバトンを貰ってからは緊張はなく優勝することだけを考えていました。
優勝出来たことはうれしかったですがもう1つの目標の学生新記録を達成できなかった事は悔しいです。今年は無理でしたが来年以降、後輩に達成してもらいたいです。
ーー4年生で唯一の決勝メンバーとなったことについて
マイルメンバーの最高学年としてマイルチームを引っ張って行かないといけないと考えていました。自分以外の4年生メンバーの思いも背負って走りました。
ーー昨年は予選を走り、チームとして優勝されましたが、今年は決勝メンバーとして連覇を果たしたことについて
昨年は、予選を走りチームの優勝に貢献できた事は嬉しかったですが決勝走れなかった悔しさもありました。今年は決勝メンバーとして連覇を果たせてことに特別な感慨があります。
ーーバトンが渡る時は2位だったが、その時の心境やレースプランは
走る前からレースプランはありました。学生新記録を出すためには前半からしっかりと行かないと出ないので1位でバトンを貰っても前半から突っ込んでいくつもりでした。2位以降で貰った場合はバックストレートで抜くと決めていました。実際2位でバトンを貰った時は、焦りはありませんでした。逆に勝てると確信しました。レースプラン通りバックストレートで早稲田大学を抜いてラストは抜かれないように全力で走りました。
ーー最後のインカレは自身にとって、どんな大会だったか
最後のインカレは私が成長できた大会です。個人の400mでは2位という結果を残すことができ、自分の成長を実感しました。そして、マイルリレーではチーム一丸となって優勝を果たすことができたことが何よりも嬉しかったです。観客の応援や仲間のサポートが大きな力となり、最後まで全力を尽くすことができました。この経験を通じて、次のステップへのモチベーションも高まりました。今後もさらに高みを目指して頑張りたいと思います。
◼︎ 小川大輝
ーー4×400mリレー、予選のレースを振り返って
なんとしてでも1着で決勝に行かないとダメだと思っていたのでラストスパートでしっかり1着を取れてよかったです。
ーー決勝のレースを振り返って
決勝は思ったより体が動かず、前半から攻める走りをするつもりでしたがそれができませんでした。学生記録に届かなかったのも自分の責任だと思うので今後の修正としたいです。
ーー昨年に続き、1走で2連覇となりましたが、昨年の優勝と気持ちの違いなどは
2連覇ということはとてもうれしいです。しかし、昨年も今年も学生記録での優勝を掲げていたので嬉しい反面悔しさもあり、素直に喜べなかったです。
ーー400mHでオリンピックを経験して、得たものや、成長を感じる部分は
最高峰の舞台を経験したのでこれからの試合はオリンピックに比べたら大丈夫!という気持ちで試合に望めるのかなと思います。
ーー今後に向けての目標
来年は東京世界陸があるのでそれを1番の目標に頑張って行きたいと思います。
◼︎ 平川慧
ーー初めてのインカレを振り返って
これまでの大会とは違う雰囲気の中で一年生ながら良い経験ができました。
ーーバトンをうけ、トップまで押しあげたことについては
自分がそこでトップで持ってこないと良い流れを作れないなと思い絶対に負けないという気持ちで走りました。
ーー4×400mリレーで優勝を果たしたことについて
個人ではないですが、一年生ながらメンバーに入って優勝を体験できたことはとても嬉しかったですし、良い経験になりました。
ーー1年生ながら、優勝メンバーとなったが、今後に向けた目標は
学生記録を更新し優勝するという目標があった中で、優勝できたことに関してはうれしい気持ちもありますが、記録を更新することはできなかったので来年は絶対に更新したいです。
◼︎白畑健太郎
ーー4×400mリレー、予選のレースを振り返って
前半のバックストレートは上手くスピードに乗れずしっくりこない走りでラスト100mは足が残っていなく良い走りとは言えなかった。
ーー決勝のレースを振り返って
予選で出た課題を意識して前半の入りはよかったもののラストの100mで切り替えることができなかったのはまだ自分の弱いところだと感じた。
ーートップでバトンを受け、逃げる展開となったがレースプランや戦略は
トップでバトンをもらうことは想定していたのでそのままトップで渡すことを意識して落ち着いて前半を走るレースプランを考えていました。
ーー予選・決勝ともに1年生ながらメンバーとなり、優勝を果たした心境
1年生でこの経験ができたのは自分にとってとても大きいことだと思う。優勝はしたがずっと学生記録を目標にこの大会に臨んだのでとても悔しく思う。
ーー世界の舞台を経験して、成長を実感することは
前半の入りは成長を感じました。
◼︎山﨑琉惟
ーー4×400mリレー予選を振り返って
痛いところもなかったので、決勝も行けるようにと思ったんですけど、意外とラストきつくて走れなくて、(メンバーが)変わっちゃったので、あんまり良い走りではなかったです。
ーーチームの優勝
素直にうれしかったんですけど、走れなかった悔しさもあって、来年は自分がエースとなって走れるようになりたいなと思いました。
TEXT=近藤結希/PHOTO=佐々木朋弥、望月桜、近藤結希、鈴木真央