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「チームメートと一緒にフィールド上のあらゆる瞬間を楽しめることに感謝しています」
そう喜びを口にしたのは、4戦ぶりに姿を現した東洋大のエース。モリース・マークス(総4=Hoërskool Noordheuwel)だ。
復帰戦で躍動するモリース
今季、チームは開幕戦を落とすも第2節から立て直し、3戦目では流経大に初勝利を収めたことで暫定3位に浮上。大一番である東海大戦に向けて弾みをつけているところだった。
しかし、東海大戦のメンバーにエースの名前はなかった。大一番を目の前にモリースはけがを負っていたのだ。
「みんなが楽しそうに練習しているのを見るのはとてももどかしいこともありました」
リーグ戦では1部昇格後から出場しなかった試合は2年時の立正大戦のみだったモリース。仲間と体をぶつけ合うことができない日々は苦しかった。
ピッチ内の選手権たちに声援を送るモリース(中央)
「試合になったら、私にできることは選手たちを鼓舞し、各試合でベストを尽くして勝利できるように、スタンドから応援することだけ」
けがで練習にも参加できなかったが、応援で仲間を後押しをすることはできる。ひたすら声を上げ、仲間が好プレーを披露した時には両手を突き上げた。ピッチを駆け抜ける選手たちを横から見たことは、復活の火づけにもなっていただろう。
そして迎えたリーグ戦最終節。「勝てば大学選手権出場、負ければシーズン終了」という一戦でモリースがピッチに姿を現した。
東洋大のキックオフでスタートした最終節。立ち上がりこそ苦戦したが、エースは序盤から試合に絡む。
本領が発揮されたのは15分頃だった。わずかな隙間をえぐるように自陣深くから抜け出してチャンスメイク。フィフティーンがつないでいき、敵陣でのゲームを展開すると強みのモールで2度トライ。さらに森山の追加トライで完全に東洋大が波に乗る。
後半もエースの復活劇は止まらない。16分に巧みなランで独走し、インゴールへダイブ。モリースらしい勢いのあるプレーで東洋大に勝利を引き寄せた。
苦難を乗り越えた先には、希望の光がある。けがで苦しみを味わったモリース。復帰戦で待ち受けていたのは「完全復活」の4文字だった。
試合前、笑顔を見せるモリース
2年ぶりの大舞台ではどのようなプレーをしたいかと問うと、モリースはこう答えた。
"Just to enjoy the moment and give it my all "
(ただこの瞬間を楽しんで、全力を尽くすだけ)
言語の壁を乗り越え、苦楽をともにした仲間たちと1日でも長く楕円球を握りたい。戻ってきたエースが、秩父宮ラグビー場で大暴れする。
■選手コメント
◇モリース・マークス
ーー試合の振り返りを
Our built up to the game was good and everyone was focused during training and the meetings we had the night before the game played a big role on our performance on game day.
試合までのビルドアップは素晴らしく、トレーニング中は全員が集中しており、試合前夜に行ったミーティングが試合当日のパフォーマンスに大きな影響を与えました。
ーーけがで試合に出られなかった間、どのような気持ちで
In times it was pretty frustrating seeing everyone practice and having fun ,but once its game time all I can do is try my best to motivate the boys and support them from the stands so that they can do their best and take victories on each game
みんなが楽しそうに練習しているのを見るのはとてももどかしいこともありましたが、試合になったら、私にできることは、選手たちを鼓舞し、各試合でベストを尽くして勝利できるように、スタンドから応援することだけです。
ーーコンディションが万全になったのは
I was ready for the Rissho game but then on Friday my hamstring cramped up pretty bad but personally i felt like i wasn’t ready to play that game and its just one of those situations where everything happens for a reason
立正戦の準備はできていたが、金曜日にハムストリングがかなり痛くなったが、個人的にはその試合に出場する準備ができていないと感じたし、それはすべてのことには理由があって起こる状況の一つにすぎない
ーートライを決めましたが、ご自身の手ごたえは
Im just grateful to be back and enjoy every moment on the field with my teammates
戻ってきて、チームメートと一緒にフィールド上のあらゆる瞬間を楽しめることにただただ感謝しています
ーー選手権ではどのようなプレーをしたいか
Just to enjoy the moment and give it my all
ただこの瞬間を楽しんで、全力を尽くすため
ーー選手権の意気込みを
Yes we missed out on last year so we’ll do our best to make up for last years season and for our 4th years just to leave the jersey in better hands then we first got it
はい、昨年はチャンスを逃したので、ジャージを最初に手に入れたときよりも良い手に残すために、昨年のシーズンと4年目を取り戻すために最善を尽くします。
TEXT/PHOTO=北川未藍