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先日、東洋大では史上初となるJリーグ/WEリーグ内定者記者会見が行われた。
そこでスポトウではJ1・アルビレックス新潟内定のDF稲村隼翔(国4=前橋育英)にインタビューを実施。ルヴァン杯決勝でも堂々たるプレーを見せた東洋の壁が、特別指定選手として過ごす新潟での日々や初の内定者会見が開かれる事になった経緯を語った。第1回は新潟で活躍を見せる中で、松橋力蔵監督(56)からかけられた言葉を回想。さらに自身と同じJリーグの特別指定選手であるDF山之内佑成(国3=JFAアカデミー、J1・柏レイソル内定)へのアドバイスを述べた。(取材日12月5日=聞き手・髙橋生沙矢)
新潟のエンブレムを指さす稲村
ーー本日はよろしくお願いします。今季は大学とJリーグ、2つのリーグで同時にプレーをしましたが、これまでのシーズンと違った点があれば教えてください
2つのチームで戦うということはこれまでも無かったですし、難しさは感じました。それでもいい状態をキープすることができた1年だったかなと思います。
ーーコンディション面などで、合流前に気をつけている部分はありますか
特に体に関してはけがをしないことを重点的に思っていて、ケアのところはしっかりと行っています。メンタル的な部分では、カテゴリーも違うチームで2つ戦っているので、新潟に行くときは、マインドセットみたいな所はしっかりとつくっています。(大学に)帰ってくるときも、新潟で得た経験をチームに還元できるようにという思いでした。
ーーJクラブで練習や試合に参加した選手から "還元"という言葉が良く聞かれます。今季稲村選手が一番還元できたポイントがあれば教えてください
練習からしっかり試合を想定してこだわることだったり、試合に入ったときのチームの冷静さみたいな部分はチームに伝えられたのかなと感じています。実際に大きなゲームはほぼ負けなしで行くことができました。失点をしても、落ち着いて得点を奪い返すところはできたのではないかなと感じています。
ーー昨季の試合後には「1点取られると崩れてしまう」という話が出ていましたが、そこも新潟での経験を持ち帰ることで改善された部分でもある
東洋大として毎年そのような結果になってしまっていたので、そこの課題は取り組みながらも、今年の前期はそのような(1点取られると崩れる)ゲームが続いてしまっていました。そこに関しては、自分が新潟に行って、90分自分たちのゲームにする。失点した後に慌てずに、自分たちでボールを持ちながら得点を奪いにいくという部分は、自分を中心にできたかなと思います。
ーー新潟に入団した理由もボールを持つサッカースタイルが合っているという理由でした。実際に新潟でプレーしてみて自分の思った通りのサッカーでしたか
Jリーグの中でも、データとして一番ボールを持てていますし、攻撃的なサッカーをできているので、(入団して)良かったなと思います。
ーールヴァンの決勝でも自陣ゴールからかなり細かくパスをつないでいました。実際に初めてあのようなサッカーを体感した際に怖さはありませんでしたか
自分もそういうの(自陣ゴール前からのビルドアップ)が得意なプレーヤーだと思っていたので、そこに怖さなどはなく、むしろ楽しみながらできています。
ーー新潟の監督を務める松橋監督は元横浜FMのコーチで、稲村選手の憧れる角田涼太朗選手(25)=ベルギー1部・コルトレイク=と同じチームで指導していました(角田選手は当時特別指定)。角田選手と同じような指導やアドバイスをいただくことはありますか
力さん(松橋監督)はそういう教え方をするタイプでは無くて、その選手に合った言い方や指導をしてくれています。自分に対しては、プレー面というよりも、メンタル的な部分を言ってくれている感じです。
ーー東洋大の井上監督からも昨年、メンタル面でお話をしていただいたとおっしゃっていましたが、松橋監督からのお話はどのような形でしたか
一番は今年デビューしてから、たくさん試合を重ねていく中で、相手が分析をし始めたり、自分自身もJリーグの舞台に慣れてきた時に、「大卒2年目の選手が難しくなる」というのを教えていただいて。それは慣れだったり、いろいろな要素で難しくなると。自分自身もそれを感じていた時期だったので、フレッシュさと慣れをうまく使い分けないといけないなという部分をご指摘してもらいました。
ーー慣れとはどんな感じなんですかね
難しいですね(笑)。自分で感じない慣れもあったり、緊張がなくなったりもあったり。逆にチームに馴染みすぎて自分のプレーが出なくなったり、いろいろな部分があるので、いい事でもあって、改善しないといけない部分かなと思います。
ーー実際に2つのリーグを経験し、難しさを感じる中で、癒しを必要とする場面もあると思います。何か癒しになっているものがあれば教えてください
新潟から帰ってきたときは、東洋のチームメートとご飯やサウナに行ったりすることが、自分にとってリフレッシュできる時間になったかなと感じています。
ーー東洋大は毎年チームの仲が良いという話を聞きますが、今年も同じく
例年よりも仲が良いのではないかなと思いますし、今年はピッチでも、後輩から先輩に指示を出す時が多くありますし、先輩も躊躇(ちゅうちょ)せず、後輩に要求できているので、良い関係かなと。
ーーDFラインだと左サイドの山之内選手と連係して守備を行うと思いますが、気兼ねなく指示は出し合えますか
山之内に関してはアイツが1年の時から話していますし、ヤマも向上心のある選手で、自分に気をつかわずに何でも言ってくれるので、自分もヤマには一番何も考えずに(指示を)伝えられます。
ーー山之内選手は現在3年生で、稲村選手のように特別指定選手としてプロで戦う立場になる可能性があります。彼に向けてアドバイスがあれば教えてください
彼的には、自分や新井悠太(国4=前橋育英、J1・東京ヴェルディ内定)を見て、そういう(特別指定選手としてJリーグにでる)シーズンにしたいなと意気込んでいると思うんですけど、本当に難しい立場というのは分かってプレーしてほしいなと思っていて。自分から望んでJリーグで出れる訳ではないですし、タイミングだったり運があって自分たちもJリーグや大学でプレーできています。まずは大学でしっかり中心となって今年以上の成績を出してほしいなと思うし、Jリーグに出る機会があれば、力まずにプレーしてほしいなと思います。
◇稲村隼翔選手インタビュー◇
第2回:12月14日公開‼
第3回:12月15日公開‼