Article

記事


2025.04.29
硬式野球

[硬式野球]「最後は気持ち」エース島田が意地の投球 東洋大、王者青学大に競り勝つ

[硬式野球]東都大学野球 春季1部リーグ戦・青学大2回戦 

4月24日(木)明治神宮野球場

○東洋大3ー2青学大


東洋大
青学大


島田、飯塚、向髙、谷、金綱ー政所


・打者成績

打順守備名前打数安打得点打点
(左)山田隼(総3=木更津総合)
(中)秋元俊太(済4=木更津総合)
(三)池田彪我(営4=三重)
(右)花田旭(総4=大阪桐蔭)
(遊)髙中一樹(総2=聖光学院)
(捕)政所蒼太(営4=天理)
(指)金丸健司(営3=上尾)

打→指富安海来(営3=履正社)
(一)中村瑠斗(営3=拓大紅陵)

打→一山内教輔(総2=東海大相模)

馬場涼輔(総3=九州学院)
(二)吉田元(営4=龍谷大平安)


32


・投手成績

勝敗名前回数球数被安打四死球三振自責点
島田舜也(総4=木更津総合)7 1/3108

飯塚遥己(営2=常総学院)0 1/3

向髙滉人(営4=報徳学園)0 1/3

谷公希(総3=三重)0 1/3

金綱伸悟(済3=木更津総合)0 2/3



粘り強い投球を見せ、ガッツポーズする島田

喜びを爆発させる池田

三塁打を放ちベンチにアピールする花田

中適時打で追加点を後押しした高中


第1戦は延長13回の熱戦に惜しくも敗戦。迎える第2戦は絶対に落とせない大一番。その命運は島田(総4=木更津総合)に託された。春季リーグ戦開幕前、「エースの仕事はチームを勝たせる」と語った島田。第3戦に望みをつなぐべく、全てを背負ってマウンドに立つ。


「初回から思い切って後半はバテてもいいというくらいで最初から飛ばした」とその言葉通り、テンポよく上位打線を三者凡退に打ち取る最高の立ち上がりを見せた。

二回表、1死から髙中(総2=聖光学院)が三塁手のエラー、政所(営4=天理)の死球で一、二塁と好機を広げる。2死二、三塁で中村(営3=拓大紅陵)の打球が三塁手の連続エラーを誘い、内野安打に。髙中が好スタートを切り、本塁に生還。思わぬ形で先制点を奪った。


島田は前半五回まで走者を出すも、粘り強い投球で本塁は踏ませず。1点のリードを守り切ると、ほっとしたように空を見上げ力強くガッツポーズ。安堵の表情を浮かべながらベンチへ戻った。


試合が動いたのは七回。主将の池田(営4=三重)が四球で出塁し、流れを呼び込む。1死一塁で4番・花田(総4=大阪桐蔭)から三塁打が飛び出し、池田が本塁へ一気に生還し、喜びを爆発させた。大盛り上がりのスタンドに花田もこぶしを突き上げて応えた。さらに1死三塁で高中の打球が二塁手の守備をくぐりぬけ、中前適時打に。0-3と王者青学から貴重な追加点をもぎ取った。


七回裏は守備で魅せた。7番・大神(青学大)の打球に吉田(営4=龍谷大平安)が飛びついて二飛に仕留め、この日も堅守でチームに貢献した。1死一、三塁のピンチで1番・藤原(青学大)を併殺に打ち取り、島田は捕手の政所とグラブタッチを交わし、この日1番のガッツポーズ。スタンドからは大歓声が送られた。


八回、青学大も黙っていなかった。無死一塁から今秋ドラフト候補小田(青学大)に右越二塁打を許す。1死二、三塁のピンチで続くは5番・渡部(青学大)。中前適時打で2ー3に迫られる。ここで島田はマウンドを降板。スタンドからは力投を続けたエースに惜しみない拍手と歓声が送られた。2番手を託されたのは飯塚(総2=常総学院)。交代する際に島田は「悪い緊張ではなくいい緊張感で楽しめ、しっかり状況判断してから打者に向かっていけよ」と最上級生らしい声掛けをしたという。その後登板した向髙(営4=報徳学園)も落ち着いた投球で逆転は許さなかった。


緊張感漂う最終回を任されたのは金綱(済3=木更津総合)。先頭打者に四球で出塁を許すと犠打で1死一塁とされ、続く2番・中田(青学大)の打球は遊撃手馬場(総3=九州学院)の正面へ。暴投もあり2死三塁で一発逆転もありうる展開で迎えたのは3番・小田。ここで監督がマウンドへ。「一塁べースが空いているけど逃げるんじゃない、絶対勝負だから、打たれたって同点だから構わない、絶対に逃げるな」と金綱に声をかけたという。監督の言葉が力となり中飛で試合終了。3ー2で接戦をものにした。


試合後、指揮官は「チームとしては苦しい中粘ってくれたので、次につながる試合になってよかった」と安堵の表情を浮かべた。痺れる展開を制した一戦は、勝負の第3戦へと弾みをつける、価値ある1勝となった。



◾️コメント

・井上監督

ーーおととい悔しい負け方をして迎えた今日だが

島田が粘って頑張ってくれました。

ーー今日の試合展開については

チームとしては苦しい中粘ってくれたので、次につながる試合になってよかったと思います。

ーー島田が良くなってスピードも上がってきたが

だんだん良くなってきていますね。スピードも乗ってきましたし。とにかく明日は総力戦でまた島田が投げると思います。明日やってしまえば1週間空きますので頑張りたいと思います。

ーー明日やって空き週があるが、ここまで戦ってみて手応えは

やる前から戦うことができると思っていたので想定内です。ちょっと勝ち星を損しているかなというところですかね。しかしこれくらいは想定してたので。

ーー監督から見て島田のどこがよくなっているのか

球の勢いがでてきましたよね。まだまだ僕の中では足りないと思っています。

ーー154㌔でも足りない?

足りないです。数字と目で見ている感じが違うので全然足りません。俺の知っている島田はあんなものじゃないです。

ーー去年の秋の方がよい?

そうですね。

ーーその中でもエースらしい姿だったように見えたが

5回途中足が攣ったらしくて(島田から)「もう交代します」と言われましたけど、それは「俺が決めるんだ」と言いました。

ーー変わりたくなさそうな雰囲気もあったが

ダメだと、俺が決めることだと言いました。

ーー9回裏、2死三塁で青学の小田くん(青学大)を迎える前にマウンドに行かれたが金綱には何を伝えたのか

「一塁べースが空いているけど逃げるんじゃない、絶対勝負だから、打たれたって同点だから構わない、絶対に逃げるな」とそれだけです。

ーー監督から青学の小田くんはどう見えているか

いいバッターですよね。投げるところがないからどうしようかなと。


・島田舜也

ーー試合を振り返って

青学は振ってくるし、打ってくるというのは分かっていました。初回から思い切って後半はバテてもいいというくらいで最初から飛ばしていきました。5回くらいから疲れてきてしまったんですが、5回以降、球威も戻り8回途中で交代してしまったんですが、いいピッチングがだんだんできてきているかなと思います。

ーースピードも乗ってきた印象だが

スピードより球威が結構戻ってきました。手元で刺せてきているようになったので亜細亜戦から調子も戻ってきたかなと思います。

ーー監督から足が攣っていたと話があったが

5回のピンチの時に攣ってしまって、整備後に治りました。

ーー5回ピンチの途中で監督がマウンドに行ったがその時には攣っていた?

攣っていたと思います。ファーストカバーに行った時にピキッときたので。

ーーどこが攣っていたのか

両足のハムと右のふくらはぎです。動けなくなるほどではなかったので大丈夫です。

ーーその時に監督に代えてほしいと伝えた?

「悪い四球が続いた形で走者を出したら代えてください」と伝えていたんですけど、行けということだったのでいきました。 

ーー踏ん張り切って代わる時は心残りがあった?

渡部(青学大)が今日タイミング合っていたので、注意はしていたんですけど打たれて悔しい結果でマウンドを降りたのでそこは次の反省に生かしていきたいと思います。

ーー代わる際、マウンドで飯塚にアドバイスをしていたように見えたが

2個下の2年生でまだ経験も浅いので「悪い緊張ではなくいい緊張感を楽しめ、しっかり状況判断してから打者に向かっていけよ」的なことを声かけしました。

ーー監督は明日の3戦目も島田だと口にしていたが、ご自身ではどうか

頑張ります。結構疲れています。休みたいことは山々ですが、そこは頼られていると受け止めて明日も投げるなら、ベンチに入る限りしっかり投げる意識でベンチで待っていたいなと思います。

ーー1部初めての島田くんにとって4連覇中の青学で力を試す形になったと思うが

2部の時からすごい勝っているなというイメージだったので、このリーグ戦と青学に向けて照準を合わせてきていたのでしっかりそこで自分のピッチングができたので嬉しいというかとても楽しかったです。

ーー八回のピンチを仲間たちが抑えて帰ってきたところを1番前で迎えていたがどういう思いだったか

抑えてくれたので素直にうれしかったです。

ーー週を重ねるごとに良くなっている要因は

気持ちの持ち方が1番ですかね。亜細亜戦の時は色々考えていて自分で自分を追いつめていたような気持ちの持ち方だったのでそれがピッチングに現れてしまったかなと思います。そこからフォームや気持ちの持ち方を楽に考えるようにしたので野球をただ楽しむことを意識して良くなってきています。

ーー技術、コンディショニング的な部分は

最初の方は力んで投げていたのがフォームの乱れにつながったので今はしっかり軽く投げるイメージでいい球がいってるので自分の持ち味が出てきているかなと思います。

ーーオフの間のウェイトとの連動が今日合っていたように見えたが

途中疲れてきたら連動とかを考えてきていたので、力だけではいい球がいかなくなっていたので疲れた時こそ連動を意識して考えていました。

ーー今の野球界は足が攣ったらすぐ代えてくれるような監督が多いと思うが

(そこで行かせるのが)井上さんなので慣れました。最後は技術どうこうの話ではなく、気持ちだと思っています。立場っていうのは考えないようにしていたんですけど気持ちで抑えるというのは常に考えるようにしています。


※掲載が遅くなり大変申し訳ございません。

TEXT/PHOTO=福田和奏