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大エースが主将に就任した。
今年度の東洋大学陸上競技部短距離部門を率いるのは栁田大輝(文4=東農大二)。誰もが認める東洋大の絶対的エースだ。
陸上競技の花形、100mを主戦場とする栁田。その実力は日本屈指で、10秒02の自己ベストを有する。追い風参考記録ではあるものの、9秒台を出した経験もある日本を代表するトップランナーだ。
これまでも結果でチームを引っ張ってきた彼が、今年度の主将を務める。
今年は栁田個人にとっても大事な年になる。
これまで各種大会で好成績を収め、世界で戦う栁田だが、同時に悔しい思いもたくさん経験してきた。
昨年のパリ五輪代表選考である日本選手権では、1位とわずか0.01秒差の3位。つかみかけた100m代表の座はあと少しのところでこぼれ落ちた。
4×100mリレーの日本代表としてパリ五輪へ向かった栁田だったが、そこでも決勝でメンバーから外れ、涙を流した。
「今年は出るしかないと思っている」。雪辱を果たすチャンスが巡ってくる。今年9月に行われる世界陸上の舞台は東京。自国開催の世界大会で、昨年のパリで立てなかった舞台へ。絶好のリベンジの機会は刻一刻と迫っている。
「僕はかっこいいことが言えるわけでも、うまくまとめられるわけでもない」。
それでも、誰にも負けないものがある。それは、結果で引っ張る力。
「今までもずっとそうだった」。東洋大チームの顔として、勝ちにこだわり、記録を出し続けることで栁田は東洋大の強さを高め続けてきた。これからは主将として、変わらないその背中でチームを導く。
日本一では物足りない。見据えるのは世界。日の丸を背負い、世界を相手に戦うチームだ。
日本一のその先へ。
「このチームには敵わない」。そう思わせる圧倒的な強さを求めて、鉄紺の闘志が動き出している。
◼︎栁田大輝
ーーどんなチームにしていきたいか
僕はかっこいいことが言えるわけでもうまくまとめられるわけでもないので。今までもずっとそうでしたけど、主将として、チームの顔として、出るレースは勝って、いい記録を出して、走りというか背中で引っ張っていける主将になりたいと思っています。それにみんなついてきてもらって、「このチームにはかなわない」って他大学に思われるような、そんな陸上部になっていってくれたらいいなと思います。
ーーチームとしての具体的な目標は
毎年「インカレのトラック種目が」とか言われているんですけど、僕はそんなにはっきり言っていなくて。今年はユニバーシティゲームズや世界陸上があるので、大学生の枠だけじゃなくて日の丸をつける選手が1人でも多く出るように頑張っていこうというのは新チームの最初の時に話しましたし、選考会などの場面で日の丸を目指せる選手が1人でも多くなるように頑張っていきたいと思います。
ーー今年の目標は
それはもう東京世界陸上になるかなと思います。
ーー現状の手応えは
今年は出るしかないと思っていますし、出てからがようやくスタートなので。まずはしっかり出場権をとって、そこからまた東京世界陸上で少しでもいい順位をとれるようにやっていきたいなと思います。
TEXT=近藤結希