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2015.10.17
サッカー

[特集:サッカー]後期第3弾 “いじられキャラ”の努力家~沖野泰斗~

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沖野は今季のチームの特徴である堅い守備を支える


 サッカーの守備における最後の砦、ゴールキーパー。今季から背番号1を背負い、その任務を担うのが沖野泰斗(国4=幕張総合)だ。


 今では東洋大の守護神として君臨する沖野だが、サッカーを始めたころはFWだったという。GKに転向するきっかけとなったのが中学時代。「クラブチームを受けたときに、なぜかキーパーで受かって何となく始めちゃった」という実にひょんなきっかけだった。東洋大に入学後は2年次に3試合ながら1部リーグの試合を経験した。しかし、浅沼(H26年度国卒・Y.S.C.C横浜)の牙城を崩すことはできず、レギュラーとして出場機会をつかんだのは今季に入ってからのことだった。その今季はここまでほぼ全試合で先発出場を果たしており、188㌢の長身を生かしたセービングやハイボール処理でチームを安定させている。リーグ戦での失点17(第17節終了時点)は2部で2番目に少ない数だが、これも沖野の活躍なしには語ることはできない。勝負強さも随所に発揮されており、アミノバイタル杯の国士大戦では苦手とするPK戦で2本連続のスーパーセーブ。東洋大初の総理大臣初出場の立役者となった。この夏、多くの強豪校やプロチームとの対戦機会を得たことは、沖野がGKとしての自信をつけるきっかけにもなった。

 GKを見る際には派手なセービングなど守備面に目が行きがちだが、彼はキックを長所として挙げた。右足から放たれる力強いキックは大学生では屈指の飛距離を誇る。今年の後期リーグに入ってからはそのコントロールにも磨きがかかり、攻撃の起点となっている。キックの他には「メンタル」に自信を持つと言う沖野だが、本人曰くチーム内では“いじられキャラ“なのだそう。「みんなにからかわれても動じないように」することでメンタルが鍛えられているという。勝負強さの秘訣には、チームメイトにいじられて鍛えられた、打たれ強いメンタルがあるのかもしれない。もちろん“いじり”には「愛がある(笑)」ということなので安心してほしい。そんな沖野にGKの魅力はと尋ねると、「他のポジションよりも経験だったり練習量だったりで、一番人と差を付けられる」と答えてくれた。好きな言葉として挙げた「練習は嘘をつかない」も、この魅力から生まれてくるものであろう。

 「支えてくれた人の分まで頑張りたい」。沖野は常々このような言葉を口にする。東洋大の選手としてプレーできるのはあと5試合と残りわずかだ。その中で、「自分たちが背中を見せながら結果として1部を(後輩に)プレゼントできたら」と話す。しかし、彼が目指す先はそれだけではない。プロサッカー選手として日本を、そして世界を代表するようなGKを目標に日々努力を続けている。達成が難しい目標かもしれない。しかし、確かな自信を持ってこれらを語ってくれたこの男ならやってのけてしまいそうな、そんな気配が漂う。サムライブルーの背番号1は、“いじられキャラ”の努力家が背負う。そんな未来を夢見ても良いのではないだろうか。


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最後方にそびえる背番号1の背中は頼もしい


■沖野泰斗(おきのたいと)

188㌢/90㌔

H6・2・24

出身/幕張総合高校

血液型/A

憧れのサッカー選手/マヌエル・ノイアー(FCバイエルン・ミュンヘン)

好きなアーティスト/ジャスティン・ビーバー、西野カナ

オフの過ごし方/小山大と一緒にアルバイト

好きな言葉/練習は嘘をつかない


第4回は来週、10月24日(土)に掲載します。

お楽しみに!


TEXT=當麻彰紘