記事
[硬式野球] 東都大学野球 春季1部リーグ戦・日大1回戦
5月10日(土)ジャイアンツタウンスタジアム
○東洋大3-2日大
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
日大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
東洋大 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1× | 3 |
島田、向髙ー政所
・打者成績
打順 | 守備 | 名前 | 打数 | 安打 | 得点 | 打点 |
1 | (二) | 吉田元(営4=龍谷大平安) | 4 | 2 | 1 | 1 |
2 | (捕) | 政所蒼太(営4=天理) | 3 | 0 | 0 | 0 |
3 | (右) | 花田旭(総4=大阪桐蔭) | 3 | 0 | 0 | 0 |
4 | (三) | 池田彪我(営4=三重) | 3 | 1 | 0 | 0 |
5 | (一) | 髙中一樹(総2=聖光学院) | 2 | 1 | 1 | 0 |
6 | (中) | 山内教輔(総2=東海大相模) | 3 | 1 | 1 | 0 |
7 | (指) | 山田隼(総3=木更津総合) | 1 | 0 | 0 | 1 |
打→指 | 宮下朝陽(総4=北海) | 2 | 0 | 0 | 0 | |
8 | (遊) | 馬場涼輔(総3=九州学院) | 4 | 1 | 0 | 1 |
9 | (左) | 秋元俊太(済4=木更津総合) | 4 | 1 | 0 | 0 |
計 | 29 | 7 | 3 | 3 |
・投手成績
勝敗 | 名前 | 回数 | 球数 | 被安打 | 四死球 | 三振 | 自責点 |
島田俊也(総4=木更津総合) | 8 | 98 | 5 | 1 | 2 | 0 | |
勝 | 向髙滉人(営4=報徳学園) | 1 | 15 | 0 | 0 | 2 | 0 |
サヨナラ本塁打を放った吉田
ピンチを切り抜け吠える先発の島田
犠飛でホームへ生還した髙中
今季初スタメンの馬場
応援に駆けつけた部員
舞台は2025年3月に運用され始めたばかりのジャイアンツタウンスタジアム。ここで今日、東都大学リーグ初の試合が行われた。今季初の土日試合ということもあり、多くの観客が応援に駆けつけていた。そんな今回の日大との試合は1部残留を決めることのできるカード。その大事な初戦の先発投手に絶対的エースの島田(総4=木更津総合)が託された。
島田は初回、今秋ドラフト候補の谷端(日大)に150㌔の直球を投げ込んで右飛に打ち取り、上位打線を三者凡退。上々の立ち上がりを見せた。
試合が動いたのは三回表。先頭の菊池(日大)に中前安打を許すと犠打で送られ1死二塁。さらに捕逸で1死三塁のピンチを招き、続く9番・富塚(日大)の犠飛で1点を先取された。しかし、その後も崩れることなく自信のある直球で追加点を渡さなかった。
まずは1点を…。試合も中盤に入った四回の攻撃。髙中(総2=聖光学院)が二塁打、続く山内(総2=東海大相模)は相手の失策で出塁。2年生コンビが作り出した1死一、三塁のチャンスにスタンドが一気に盛り上がりを見せた。そして山田(総3=木更津総合)がストライクゾーンに来た1球目を確実に右翼方向へ運び、犠飛で1点をいれた。このまま逆転したい東洋大の打席にはこの試合今季初スタメンとして出場する馬場(総3=九州学院)。直球をとらえ、二遊間を破る中前適時打でさらに1点を追加し、2ー1と逆転に成功した。今季初安打が貴重な逆転打となり、馬場は一塁上で両手を突き上げて喜びを露わにした。
このまま逃げ切りたい東洋大だが八回表、島田が安打と失策で1死一、二塁のピンチを招いた。日大のサインはもちろん犠打。しかし、一塁線に転がった球を髙中が一気にチャージし、捕球からの素早いリターンで三塁へ。走者を三塁で仕留め、アウトカウントを増やした。だが、続く打者を右飛に打ち取るも、3番・谷端に二塁打を打たれ同点とされる。試合は振り出しに戻されてしまった。島田はこの日8回2失点の粘投で先発投手の役割を十分に果たしたものの「五回までコントロールが定まらなかった。八回には追いつかれたのでそこも修正していかないといけないところ」と謙虚な姿勢で振り返った。
九回のマウンドを託されたのは向髙(営4=報徳学園)。2人を空振り三振に抑え、三者凡退。最終回の攻撃に流れを持ってくる圧巻の投球をみせた。
2ー2と同点のまま迎えた九回裏。2死となり今季3度目となる延長タイブレークの可能性も見えていた。そんな中、ここまでチームで最も好調の男に打席が回る。それはこの試合から1番に座る吉田(営4=龍谷大平安)だ。そしてカウント2ー2で迎えた5球目。変則ピッチャー石井(日大)の直球をとらえた。打球はどんどん伸びていき左翼席へ。これが本塁打となり劇的サヨナラ勝利となった。ダイヤモンドを一周すると、ホームベースには笑顔で迎えるチームメートの姿が。そこへ吉田は両手を突き上げ最高の笑顔で飛び込んだ。吉田にとってこの本塁打は2年の秋に放って以来の約1年半ぶり。その本塁打を「今までのホームランの中で1番良かった。ホームランボールは親に渡したい」と喜びを滲ませた。この本塁打を井上監督は「今日は吉田さまさまです」と振り返り、「(吉田は)ガッツがある。あとは守備力、思い切りの良さが1番良い」と絶賛した。
この試合に勝利し、一部残留へ王手をかけた。東洋大は2021年に1部でプレーして以降2季連続で1部に残留することができず、入れ替え戦を繰り返している。その中で2季連続の1部リーグで戦う権利を獲得することができるか。明日の第2戦へ期待がかかる。
◾️コメント
・井上監督
ーーいいところで1本打ってくれたが
今日は吉田さまさまですね。
ーー九回に入った時はどんな心境だったか
またタイブレーク行くのかと思ってドキドキしていました。
ーーこういう時に打ってくれる選手は
いつもいつも打てるわけじゃないですけど、チャンスに強い選手がチームにもう少しいればもうちょっと楽に勝てると思うんですけど、弱い人ばかりです。
ーー吉田くん自体はチャンスに強いか
彼は普通くらいじゃないですかね。
ーー流れがなかなかつかめない試合で
そんな簡単に勝てるわけでもないですからね。ただうちが1本とか抑えていればという時があれば流れが来ると思うんですけど向こうも必死だから仕方がないですけどね。
ーーここまで来るとどちらも譲れないと思うが
もちろんそうですね。日大さんも負けられないと思いますので。うちも負けられないんですけども。もう優勝は無くなりましたが、勝ち点3は取りたいと思っているので1つでも上の順位を目指してやっています。そのためにはもう負けられないという思いです。
ーー流れを見る中で勝ちにつなげられた場面があったのか
たしか六回か七回くらいにチャンスがあったんじゃないですかね。あとは3、4番が復調してくれないとチームが締まらないというか。彼らが1番分かっていると思うんですが。
ーー吉田くんの1番いいところは
当然ガッツがあるのでね、そこですよ。あとは守備力、思い切りの良さですね。
ーー今日の島田くんのピッチングは
彼も言ってたように五回まではちょっと不安定な感じで見ていましたけど六回以降は球も逆に強くなってきて。
ーー足場が悪いなかでこれだけやったが
僕はいつも厳しい評価しかしないというかね、(島田は)エースだったら谷端くん(日大)に打たれちゃいけないでしょうし。苦しい場面で抑えてこそエースだと思うのでそういう自覚を持って欲しいです。
・吉田元
ーー打った球種とコースは
球種は正直わかっていなくてコースは高めの内寄りでした。
ーーどんな思いで打席に
2アウトだったので、自分が出れば得点に絡むことが多いのでとにかく追い込まれてもどうにか食らいついて塁に出ることだけを考えて立ちました。
ーー自分自身の勝負強さというのは
この春季リーグでもチャンスで打てていない打席もあるのでチャンスだったら打てるくらいの気持ちがあればもう少し楽に勝てるかなと思っています。
ーー相手は1年生の変則ピッチャーだったが狙いやタイミングの取り方は
直江投手(日大)の真っ直ぐに詰まる形になってしまったので、真っ直ぐを基準としたタイミングの取り方を意識していました。
ーー打った瞬間は
打った時は入ったか分からなくて、打ってからボールも見えなかったです。
ーーどの辺からわかったか
レフトがフェンスの方を向いてて分かりました。
ーーサヨナラホームランは
初めてです。
ーー今までのホームランで格別?
1番よかったです。
ーーホームランボールは誰に
親に渡そうと思っています。
ーー明日は母の日ですが
いい形で渡せればなと思います。
ーー球場の芝生や守りやすさ、守りづらさは
守りづらさは気にならなかったです。打球は神宮球場に比べて全然来ないのでポジショニングはいつもよりはちょっと前に守っていました。
・島田舜也
ーー今日の振り返りを
五回まではコントロールが定まらなくて要所要所で粘りのピッチングだったんですけど、最後も八回で追いつかれたのでそこは修正していかないといけないところです。
ーーペースをつかめなかった原因は
最初はうまく足場が作れなくて下半身から投球することができなくて、上半身の力に頼って投げていたのでコントロールの乱れが出てしまいました。中盤から足場がしっかり作ることができたのでそこがまとまってきた要因かと思います。
ーー勝ちにつなげてもらったがどんな気持ちか
嬉しいです。
ーーリーグ戦序盤と比べて調子が上がっているが自身でも感じているか
亜細亜戦から今日までは、練習の中でも修正してきたつもりなので結果として出始めているのかなと思います。
ーー具体的にはどんなことを
まずは気持ちの持ち方、そのあとに余裕が出てきたので技術面を修正してきました。変化球とストレートのラインの出し方やバッターによって球種の選択、キャッチャーとの連携とかですかね。
ーー谷端選手(日大)も注目されている中で初回の第1打席。150㌔を超える球も複数あったが意識はあったか
谷端に対しては甘く入ったら1発もあるバッターなので慎重にいきました。
ーーマウンドの投げづらさ、投げやすさはあったか
特になかったです。
TEXT=山本華子 PHOTO=山本華子、仮入部員