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2015.10.19
陸上競技

[陸上競技]桐生が今季最終レースでリオ五輪標準突破!

布勢スプリント2015 兼 第30回布勢リレーカーニバル

10月18日(日)コカ・コーラウエストスポーツパーク陸上競技場


男子100m 第1レース

14組

1着 桐生 10"09※追い風参考記録


男子100m 第2レース

2組

1着 桐生 10"09


20151018rikujo桐生

桐生は本来の爆発的な加速力を取り戻しつつある


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大会中は常に多くの人の注目を集めた


  布勢スプリントで桐生(法2=洛南)が男子100mに出場し、10秒09をマーク。リオ五輪標準である10秒16を突破し、いい形でシーズンを締めくくった。

  今季ラストレースを、シーズンベストで走り終えた。今回使われた競技場は風などの条件が整いやすいということで、記録を狙っての出場であった。1本目はスタートこそ出遅れたが、30m過ぎから加速するとトップに立ち、追い風参考ながら10秒09を記録。公認条件での好タイムに期待がかかる走りであった。
  迎えた2本目では、1本目の反省を生かしスタートブロックの位置を修正して臨んだ。「30mのところまでで決着がつくように」という土江コーチの狙い通りに、完璧なスタートで他の選手を置き去りにする。そのままゴールを駆け抜け、自身3度目となる10秒0台でゴールした。

  今年は春先の故障のために世界のスタートラインに立つことすらできず、苦しいシーズンを過ごした桐生。それでも、8月に練習を再開すると坂を使った練習に取り組み、秋に向けて強化を図った。そして、9月の復帰戦以降はコンスタントに試合に出場。その中でも「試合を重ねていく上でいい感じになっている」と、けがもなく調子を上げられたことに本人も手応えをつかんでいる。

  リオ五輪標準を突破し、新たに取り組んだ練習でも成果を挙げた。けがをして苦しんだ中で重ねた努力は、確実に実を結んでいる。今はまだ浮上のきっかけをつかんだばかり。リオ五輪イヤーとなる来年には、世間を驚かす圧倒的な走りを見せてくれるはずだ。


■コメント

・土江コーチ
予選のときにスタートを修正できるかなということで、2本目のスタートは完璧に決まったので、狙いはできた。1本目は風が吹きすぎて足がついていかなかったところがあったそうだが、2本目は条件も良く自分の走りができたのかなと思う。ブロックの位置を予選から少し変えた。もう少し低く出れるんじゃないかということと、30mのところまでで決着がつくようにということだった。こうしたメンバーの中で早い段階で決着がつくようにという話をして準備をした。(結果については)今の段階での最大限かなと。けがから復帰して8月の1ヵ月間しっかり練習して急ごしらえしてつくってきた状態ではあるので、桐生の実力というのはまだまだ。故障のない状態をつくれるように、これから冬にやっていきたい。(ここまでの練習について)夏は坂に絞ってやっていて、合宿中などは60〜70mを50本。本人も手応えを感じていて、この冬は坂の練習を中心にやっていこうかと考えている。(今日リオ五輪標準を切ったことで精神的な面では)この冬にトレーニングをしっかりできるならば、10秒16(リオ五輪標準)という記録を来年の春先に切るのが難しいはずがない。だから今日切れなかったからといってプレッシャーになるようなものではなかったが、切れたということで、春先に無茶をしなくていいということになり、余裕を持ってターゲットを五輪にして計画を立てることができる。(世界室内へのスタンスは)はっきりは決めていないが、桐生はけがのために世界の舞台というのを2年間経験していないので、五輪の前にそういったところで経験を積むのは必要なことかなと思う。無理ない範囲でやって自信を持って五輪のスタートラインに立てるようにしたい。(今季の桐生選手は)そうとうつらい思いをしている。つらい思いの中でそれだけのトレーニングを積んできて、秋のレースである程度の成功を収めた。そのことが桐生にとっては絶対にプラスに働く。今年はしんどい年だったが、何年後かにあの頃けがしてしんどい思いしておいて良かったねというときがくると思う。しっかり次につなげてほしい。


・桐生(法2=洛南)
(1本目は)いい刺激として、次の一本はもっといいタイムを狙おうと思っていた。20mのスタートダッシュくらいしかしていないので、ここで予選の感覚がわかって良かった。追い風参考で10秒09なので、嬉しくも悪くもない。(2本目を終えて)公認で10秒0台が出たので良かった。予選よりもいいレースができた。風は追い風参考でここに走りに来たわけではないので、0が良かった。目標は自己ベストだったが、シーズンベストを出せたので良かった。(五輪の標準は)狙ってはいたが、切っておいた方が後々楽だと思うので切れて良かったなと。今季中に参加標準を切れたことは、口では言わないが精神的にはかなり楽なものがある。(調子は)だんだんと試合を重ねていく上でいい感じになっている。この1ヵ月、坂練習をみっちりやってきた。これだけ回復したということは何か新しいヒントをもらえたことだし、坂は前に進む力がうまいこといける。 冬の練習でも坂を取り入れていきたい。 (今年は)けがに苦しんだ年だった。またここでけがをしたら来年のリオも危なかったので、2本走ってけがなくシーズンを終えられて良かった。今季はいろんな方にお世話になってより一層そういうことを感じた。恩返しできるのはタイムを出すことしかないので、タイムを出したい。(リオ五輪は)目標は決勝で勝負をすること。9秒台が出ないと決勝には残れないので、まだまだ達成には遠い。(必要なことは)強さも必要だし、タイムも10秒0台を今日は2回出せたがこれを3回、もっと言えば9秒台を2回くらいは出さないと五輪では決勝には残れない。 けがが多かったが、応援してくれる人のために来年はしっかり9秒台を出したい。(来季は)10秒0台、1台は普通に出せるような強い選手になりたい。リオ五輪にはまだ出られるかわからないが、見に来てもらった方に応援してもらって決勝で走れるようなレースをしたい。

TEXT=青野佳奈 PHOTO=石田佳菜子