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セイコーゴールデングランプリ陸上2025東京
国立競技場
5月18日(日)
男子100mチャレンジレース
2組(風+0.5)
3着 栁田大輝 10"20 →決勝進出!
9着 大石凌功 10"37
男子400m
8位 平川慧 46"13
男子400mH
3位 小川大輝 48"98
男子100m決勝
1位 栁田大輝 10"06(風+1.1)
5月18日、国立競技場でセイコーゴールデングランプリ陸上2025東京(以下、セイコーゴールデングランプリ)が行われた。世界の舞台で活躍するトップ選手らが集うこの大会は、ワールドアスレティックス(WA、世界陸連)が主催する”コンチネンタルツアーゴールド”として開催する国際大会である。
海外選手も多数参加し、国内最高レベルとなる今大会に東洋大から4名が出場し、男子100mで栁田大輝(文4=東農大二) が優勝。400mHで小川大輝(ラ4=豊橋)が3位入賞を果たした。
喜びをあらわにする栁田大
男子100m
予選となるチャレンジレースから始まった男子100m。チャレンジレースは2組編成で行われ、タイム上位5名が決勝に進む。
東洋大からは2組に栁田大と大石凌功(スポ3=洛南) が出場した。「スタートでもたついてしまった」という栁田大は10秒20の組3着でゴール。全体5番に入り、ギリギリで決勝進出を決めた。
学生個人、関東インカレと連戦が続いている大石凌は「自分のレースに集中しきれていなかった」と振り返り、9着でレースを終えた。
連戦のなか、トップ選手らに挑んだ大石凌
この日の最後を飾る男子100m決勝。栁田大は1レーンからの出走となった。得意のスタートで勢い良く飛び出すと、そのままトップを激走。「60mまでに決着をつける」イメージ通りのレースを展開し、実力者たちを振り切って1位でゴールした。
ドーハ世界選手権で優勝経験のあるクリスチャン・コールマン、9秒93の自己ベストを持つクリスチャン・ミラーらを抑えて優勝を果たした栁田大。結果が確定すると、何度もガッツポーズを繰り出し、喜びをあらわにした。
前週の関東インカレでは9秒95を叩き出した栁田大。4.5mの強い追い風が吹く中でのレースが、感覚をつかむきっかけになった。「頭の片隅」に置きながら、今回のレースにも挑んだという。
「キャプテンとして一番速く走らないとと思っている」。世界を目指す東洋大の主将としての背負う責任が、さらなる力を与えている。大きなタイトルを勝ち取った栁田大はまた一歩、世界に挑む手ごたえを得て、9月に世界陸上が行われるこの会場をあとにした。
トップでゴールまで駆け抜けた栁田大
男子400m
男子400mには、今季好調の平川慧(スポ2=コザ)が出場。 前週の関東インカレで体調を崩してしまったというなかでむかえた今大会だったが、序盤から積極的な走りを見せ、8着でゴール。「自分のベストは出し切れた」と、46秒13の2週間前に行われた静岡国際で出した自己ベストに次ぐセカンドベストを記録した。
「今までで一番大きな大会だった」。海外選手や日本代表選手らと同じ舞台で戦い、世界のレベルを肌で感じたレースに「これから国際大会に出ていくにあたって、いい経験になった」と収穫を語った。
この大舞台も平川にとっては通過点。世界で戦う日へ、目線は常に先を見ている。
セカンドベストを記録した平川
男子400mH
男子400mHにはパリ五輪日本代表の小川が出場した。400mHの世界陸上参加標準記録は48秒50。前週の木南記念であとわずか0.11秒にまで迫る48秒61の自己ベストを出した小川は、連戦となる中で今大会も標準突破を目指して臨んだ。
同じくパリ五輪代表の豊田兼(トヨタ)が前半から飛ばすなか、小川も良い入りでレースを進める。混戦となった3位争いをラストで抜け出し、3位でフィニッシュ。木南記念から2週連続となる48秒台の48秒98をマークし、安定した走りを見せた。
「9台目から10台目」と明確な課題を見据える小川。確かに手の届くところにある世界陸上の標準突破を目指し、今季も世界へ歩みを進める。
48秒台をマークし、3位入賞を果たした小川
東洋大から世界を目指す4名が出場した今大会。各国から実力者たちが東京に集まるなか健闘した鉄紺スプリンターたちは、すでに世界の舞台で戦う主将・栁田大、副主将・小川を筆頭に、この後に控えるユニバーシアードや東京世界陸上など、世界の舞台へ向かう。
■栁田大輝
ーーレースを振り返って
60mまでに決着をつけるという感じでやっていたので、思っていたことができたのかなと思います。
ーーきれいに出れたという感覚はあるか
そうですね、予選よりはだいぶいい反応をして、ちゃんと出れたと思うので。予選よりはいいスタートを切れたのかなと思います。
ーー競っている感覚はあったか
良くも悪くも端だったので気にせずに走れて、それがよかったのかなと思います。
ーー予選から修正した部分は
予選ではスタートでもたついてしまったので。そこが今の僕の生命線になってくる部分でもあるので、そこをしっかり出ればある程度は走れるんじゃないかなと思っていたので、スタートでしっかり集中してちゃんとできたら最後まで転がるように走れるかなと思っていて、それができたのかなと思います。
ーー優勝という結果について
ハイレベルな争いになることはわかっていたので、自分の走りを貫いて、そこでどれくらいのタイムを出せるのかを僕自身も楽しみにしていた部分はあります。優勝できて、10秒06はいいのか悪いのかわからないですけど、シーズン全体で見て右肩上がりに上がってはいると思うので。ひとまず安心しきれるわけではないですけど、ちゃんと結果として残せたことはよかったのかなと思います。
ーー関東インカレの9秒95で感覚をつかんだのか
関東インカレで追い風が強い中で、風に押してもらっていいスピード感でスタートをきるという経験ができたことが自分でもよかったと思っていて。関東インカレ後もそんなに練習はできていなかったんですけど、昨日の前日練習とか、今日の決勝もいい飛び出しができたと思うので、そういったところで追い風が強い中でも走れたことがよかったかなと思います。
ーー感覚が残っている
そうですね、一回やっておけば、体が反応してくれるじゃないですけど、経験しておくのとしておかないのでは違うかなと思うので、今日も頭の片隅に9秒台で走った時を思い出しながら走ったりもしていたので。先週のレースもいいピースになったのかなと思います。
ーー勝ち切れたこともいい収穫になったか
そうですね、毎回2本目が調子よくなるので、次は1本目から今回の決勝くらいのタイムを出して、次のラウンドでもう一段階ギアをあげるという風にやっていければいいのかなと思います。
ーーこのメンバーで1位というところに関しては
目指すところは一番は東京世界陸上のファイナルで走ることなので。そのためにはどんなレースにおいても先頭でゴールするというのは大事なことの一つだと思うので、出るレースは毎回、特に決勝は絶対に自分の走りをすれば1番でゴールできるかなと思うので。どんな時でも自分の走りを失わないことが大事かなと思っています。
ーー関東インカレの走りが理想形になってくるか
いや、あの走りが100パーセント良かったかといわれるとそうじゃないので。60mまでの飛び出しはよかったですけど、そのあとは完全に風に負けて足が回しきれない感じだったので、100点ではないです。ずっと土江先生からも言われているんですけど、日本選手権で100点のレースができればそれでいいからと言われているので、徐々に100点に近づけていければいいのかなと思います。
ーー今日は何点か
何点ですかね、80点くらいかなと思います。変に周りを気にすることなくいけたので、最近のなかでは悪くないかなと。ちゃんと周りが目に入りながらも自分の中で走っているという感じだったので、今日は悪くなかったのかなと思います。
ーー残りの20点分は
追い風1.1mもらってまだ10秒06なので、標準を切ると考えればまだやれることがあるのかなと思います。100点のレースができたら10秒06を切ることができるのかなと思います。
ーー結果を出しているきっかけは
大学最終年なので。最終年でキャプテンをやらせてもらっているので、東洋短距離チームのキャプテンとして一番速くはしらないとなって思っているので。マイルも頼もしい400mメンバーがそろっていますし、頼もしい同期や後輩もたくさんいるので、その先頭に立つ身としてしっかり結果を残していかないとなと思っているので、そこもいい影響を与えてくれているのかなと思います。
ーー9秒台というのはどのように向き合っていく数字か
去年のパリ五輪を見ていても、9秒台を出して終わりじゃなくなってきているので、9秒台を出してからまたもう一段階あげていくくらいじゃないとファイナルで走ることはできないと思うので。10秒と9秒じゃ桁が変わりますし、壁のようには感じますけど、早いうちに出しておきたいし、出さなきゃいけないかなと思います。でも、変に自分自身にプレッシャーをかけるのではなくて、記録よりもまずは自分のやらなきゃいけない練習をやって、しっかり調子を合わせてスタートラインに立てればいつかは出ると思っています。もちろん意識はしていますが、自分にマイナスな影響を与えないようには気を付けています。
■大石陵功
ーーレースを振り返って
中身が完全にすっからかんだなっていう印象で、スタートからゴールまで自分のレースに集中しきれていなかったかなと思います。
ーーそれはこの大舞台が影響していたか
そうですね、観客も多いですし。あとは連戦が続いていて、トレーニングを積む期間もなかったので、しょうがないといえばしょうがないんですけど、そこは弱さかなと思います。
ーー次に向けて
まだあと2週間半あるので、もう一回トレーニングを積んで、もう一度コンディションをあげていけたらなと思います。
■平川慧
ーーレースを振り返って
たぶん今までで一番大きな大会で、海外の選手たちとも走ったレースになると思うんですけど、少し硬くなってしまったかなというのはあります。でも今の自分のベストは出し切れたので、これが今の実力かなと思います。
ーー関カレは準決勝は棄権されていたが
体調を崩してしまって、翌週にGGPもあるしということで無理しないでおこうということになりました。
ーー今大会はコンディションは大丈夫だったか
大会の日程は決まっていたことですし、言い訳にはできないので。そこは自分の自己管理が甘かったなと思います。
ーー今大会で得られたこと
これからまだまだ大会も続いて、次は全カレになると思うんですけど、全カレが終わってもユニバーシアードなど国際大会も続くので。練習というにはちょっと違うかなと思うんですけど、今回の試合は国際大会にこれから出ていくにあたって、いい経験になったんじゃないかなと思います。
ーー次に向けて
全カレでは400mに出場するつもりなので、ユニバーシアードに向けて優勝して、マイルも学生記録をずっと目指しているので、そこをきって。去年悔しかった分、今年はいい思い出にできるように頑張りたいなと思います。
■小川大輝
ーーレースを振り返って
やっぱり狙いは(東京世界陸上の)標準だったので。48秒台を出せているのはいいんですけど、もう一歩あげていかないと標準には届かないなという感じです。
ーーどこを修正していけば標準に届くと思うか
前半のスピード感はよくなってきたんですけど、後半でそのスピードを殺してしまうようなうまくいかないレースが多いので、そこでしっかり修正できればもっといい記録が出るのかなと思います。
ーー後半にスピードを殺してしまうという原因は
9台目のスピードを10台目で刻みすぎてしまって、10台目が遠くなって減速して、もう一回上げるという苦しいレースが多いので、そこの9台目から10台目のストライドであったりテンポなどがはまっていない感じがあるので、そこがうまくはまってラストのダッシュにつなげられたらと思います。
ーー標準記録を狙いに行くのは
日本インカレでも、常に狙っていきたいとは思っているんですけど、やっぱり会場の雰囲気だったりで出やすいのは日本選手権の決勝だなっていう印象なので、最悪、そこで標準突破して3位以内を目指していきたいなと思っています。
ーー技術面で気をつけていることは
前半のスピード感を上げるなかで、スピードが上がる分、ハードリングや抜き足が速くなるとすぐにその後の走りに影響してしまうので、そういったところをもう一度確認しています。
ーーどのくらいのタイムまで見えているか
木南記念の感じだったら、最後にスピードが死ななければ48秒3か4くらいまでいっていたかなと思うので、そのくらいまでは見えています。
TEXT=近藤結希、PHOTO=近藤結希、工藤空