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2025.06.27
陸上競技

[陸上競技] リベンジの4×100mリレー 悔しさの中でつかんだ笑顔の表彰台/日本インカレ-男子4×100mリレー、100m、200m

天皇賜盃第94回日本学生陸上競技対校選手権

6月5日(木)〜8日(日)

JFE晴れの国スタジアム


男子100m予選

2組2着 大石凌功 10"36(風±0.0)Q

5組5着 成島陽紀 10"80(風-3.1)

6組   栁田大輝 DNS


男子100m準決勝

3組2着 大石凌功 10"27(風±0.0)Q


男子100m決勝

8位 大石凌功 10"55(風±0.0)


男子200m予選

1組5着 庭山晴希 21"28(風−0.6)

5組   山本嶺心 DNF


男子4×100mリレー予選

2組1着 東洋大学 39"10 Q

      栁田 大輝

      庭山 晴希 

      中村 大空

      城崎 滉青


男子4×100mリレー決勝

3位 東洋大学 38"93

    栁田 大輝

    庭山 晴希 

    成島陽紀

    城崎 滉青



 6月5日から4日間に渡って、岡山県・JFE晴れの国スタジアムで天皇賜盃第94回日本学生陸上競技対校選手権(以下、日本インカレ)が行われた。初日から2日目にかけて、100mと4×100mリレー、3日目とは4日目に200mが行われ、鉄紺スプリンターたちが激闘を繰り広げた。



 涙を呑んだ昨年。リベンジのときは、例年より3か月も早くやってきた。

 東京世界陸上が行われる今年は、6月までに学生三大大会が詰め込まれ、この日本インカレも3か月前倒しで開催された。ハードなスケジュールのなかで迎えた今大会。雪辱を果たすため、闘志を燃やす鉄紺スプリンターがいた。


 4×100mリレー。昨年の日本インカレで、わずか0.03秒差で届かなかった頂点。

 エースで今年度の主将を務める栁田大輝(文4=東農大二)、成島陽紀(ラ4=東洋大牛久)、そして昨年のアンカーを担った大石凌功(スポ3=洛南) 。あの日の悔しさを胸に焼き付けた3名が、今年もチームに名を連ねた。


0.02秒差にないた昨年の日本インカレ



4×100mリレー予選

 初日の予選に、東洋大は1走・栁田大、2走・庭山晴希(法1=岡山商大附)、3走・中村大空(法2=東農大二校)、4走・城崎滉青(理4=小倉工)で挑んだ。


 一際大きなストライドで、他を寄せ付けない走りを見せたのは栁田大。1番手でバトンを渡すと、ルーキー、庭山へ。

 2走・庭山は「緊張して力んでしまった」と語り、3走・中村も「納得のいく走りはできなかった」と悔しさをにじませたながらも、ともに役割を果たし、好位置でバトンをつないだ。

 アンカーは、これまで三段跳で活躍してきた城崎。バトンが渡ると勢いよく加速し、3校の争いを抜け出す。そのままフィニッシュラインまで駆け抜けると、堂々の1着で東洋大は決勝進出を決めた。


1着でフィニッシュした城崎


グータッチを交わす栁田大(右)と城崎



男子4×100mリレー決勝

 翌日の決勝。東洋大のオーダーは、1走・栁田大、2走・庭山、3走・成島、4走・城崎。

  

 大石凌は、メンバーから外れた。「足の状態が良くなかった」。静かに、それでも確かな覚悟を持って下した決断だった。

 この先には、日本選手権、そして世界で戦うユニバーシアードの舞台が待っている。

 東洋大の一員として、そして“世界”を目指す走者としてー。今は、走らない選択をした。



 チームメートの思いも背負い、スタートラインに立った4名。

 1走・栁田大が、決勝でも圧巻の走りを見せると、2走・庭山も他校の実力者たちに負けじと食らいつく。スムーズなバトンパスで3走・成島へつなぐと、成島も「役割を果たせた」と、納得の走りで4走・城崎へ。

 接戦の中、抜け出したのは中大。早大が続き、その後ろの3位争い。城崎は誰よりも強く、まっすぐに、ゴールを目指した。

 仲間の思い、そして自身最後の日本インカレ。すべてを背負って駆け抜けた先で、城崎は表彰台の座をつかみとった。


左から栁田大、庭山、成島、城崎



 もちろん、狙っていたのは学生新記録での優勝。それでも、「今できる4人の最大値では走れたかなと思います」と、成島は言葉を紡ぐ。城崎も「うまくいかないことばかりだったけど、最後にみんなでリレーをつないでメダルをとることができた」と語るその表情は、どこか晴れやかだった。


 決勝メンバーのうち、3人が最後の日本インカレとなった今年。目標には届かずとも、つないだバトンは、たくさんの思いをのせて、フィニッシュラインまで突き抜けた。




 4年間、リレーメンバーとしてチームに貢献してきた栁田大は、「来年のチームに勝ってもらえればそれでいいかなと思います」と次の世代へと夢を託す。

 そして、今回のメンバーで唯一、来年以降も東洋大を担う1年生の庭山は、「来年は優勝を目指したい」と、力強く語る。その言葉には、確かに彼らからつながれた“思い”があった。



 かなわなかった夢は、次の世代へ。レース後、互いのもとへと向かう彼らは笑顔だった。



4年生の(左から)城崎、栁田大、成島

 


男子100m

 男子100mには、大石凌、成島が出場。栁田大はこの後のレースを見据えて欠場となった。成島は惜しくも予選敗退となり、大石凌が、準決勝、決勝へと駒を進めた。

  準決勝までは、スタートこそ満足はいかなかったが、「後半で追い込めた」と、想定内のレースに。しかし、決勝では「足の状態が良くなくて、中盤からはスピードをあげないようにしました」と、今後を見越して力を抑え、8位でのゴールとなった。

 悔しい日本インカレとなった大石凌だが、1か月後には日本選手権、そしてその後にはユニバーシアードも控えている。今大会の思いを晴らすべく、視線は世界は向いている。




男子200m

 男子200mでは、庭山、山本嶺心(総3=洛南)が出場。山本はけがにより、途中棄権。庭山も「会場の雰囲気に呑まれてしまった」と振り返り、予選敗退となったが、「自分の雰囲気作りや流れの作り方がわかった気がします」と、大きな収穫を得た4日間だった。


 




◼︎栁田大輝

ーーレースを振り返って

 もう終わったことなので、あまり言うこともないですけど、来年のチームに勝ってもらえればそれでいいかなと思います。


ーー個人種目は欠場となったが、それは今後のレースを見越してのことか

 そうですね、日本選手権が来月なので、ここでけがしたらどうしようもなくなっちゃうので。けがのリスクを極力減らして、今回はこういった形になりました。


ーー日本選手権に向けた手ごたえは

 練習をしっかり1か月くらいやってから臨めるので。ちゃんと練習ができれば、自信をもっての尾曽メルのかなと思います。


ーー日本選手権に向けて

 優勝して、標準をきって、その場で世界陸上内定を決めたいなと思います。


ーー主将として迎える最後の日本インカレとなったが

 最後、同期の廿浦が先頭でゴールしてくれると思うので、しっかり見届けて終わりたいなと思います。

(4×400mリレー決勝レース前にインタビュー)



◼︎成島陽紀

ーー日本インカレを振り返って

 関東インカレから、スパンが短くて、調整はあまりできなかったんですけど、そのなかでは4継のレースではしっかり自分の役目が果たせたかなと思います。


ーー4継は、ベストメンバーではなかったと思うが

 そうですね、やっぱり大石凌のけがだったりはあったんですけど、その中では、今できる4人の最大値では走れたかなと思います。


ーー結果に関しては、納得のいくものだった

 満足はしていないです。去年も2位で、学生新記録を早稲田さんに更新されてしまって、とても悔しい中で今大会に臨んだんですが、3位という結果でとても悔しいの一言です。


ーー最後のインカレとなったが、4日間を振り返って

 1、2日目が自分の出番で、リレーの方も、本当は自分が走る予定ではなかったと思うんですが、監督やスタッフから「4年生の意地を見せてくれ」と言われて、その役目を果たすことができたと思っています。

 3、4日目は、応援でしたが、マイルリレーでの学生新記録や優勝を果たすことができたので、東洋としてはいい4日間だったかなと思います。


ーー今後のレース予定は

 とりあえず日本選手権まで練習を積んでいきたいなと思っていますし、引退はいつになるかはまだ決めていませんが、それまではしっかり練習をして、ベストを更新していきたいなと思います。


ーー日本選手権での目標は

 ベスト更新と、準決勝進出に向けて頑張っていきたいなと思います。



◼︎城崎滉青

ーー4継のレースを振り返って

 予選は意外といい走りができて、なんとか1着通過をできましたが、決勝が3位という悔しい結果になったことは少し心残りではあります。


ーー4継を走ることが決まったのは

 5月後半くらいですかね。


ーーなかなかこれまでリレーを走る機会はなかったが

 最初は跳躍選手の僕がいいのかなという気持ちがあったんですが、やっぱり今まで東洋大学でしっかり練習を積んできたという自信があったので、試合前も自信をもって挑むことができたと思います。


ーー最後のインカレの4日間を振り返って

 うまくいかないことばっかりだったんですけど、最後にみんなでリレーを繋いでメダルをとれて。三段跳もけがしていた中でもしっかり3本目で跳べて。最後は楽しめたのかなと思います。


ーー次の試合に向けて

 けがしてしまっているので、まだ分からないんですけど、日本選手権に出られたらいいかなと思います。

 


◼︎庭山晴希

ーー4×100mリレーのレースを振り返って

 リレーは2走で走らせていただいたんですが、緊張して力んでしまって、うまく走ることができなかったです。決勝は急きょ走らせていただくことになって、自分の持てる力を出し切ろうと思っていました。満足のいく走りをすることはできませんでしたが、次はちゃんと本メンバーで走れるように力をつけて、来年は優勝を目指したいです。


ーーご自身以外は4年生だったが

 4年生の方々は競技力が高い方ばかりだったので、めちゃくちゃ心強くて、安心して走れました。


ーー個人種目の200mのレースを振り返って

 まず、予選を通過しようと思ってレースに臨みました。最初の100mあたりまではよかったのですが、4継の疲労で焦ってしまって、自分の本来の走りができずに崩れて予選敗退という結果になってしまいました。


ーー大会を通して得られたことは

 出場されるほとんどの人が自分よりも記録が上の試合だったので、緊張などもすごくして。関東インカレとはまた違った雰囲気があって、それに呑まれてしまったんですが、その中でも自分の雰囲気作りや流れをどうやって作るかがわかったような気がします。


ーー今後に向けて

 あまりいい結果が出せなくて悔しい結果が残ったので、次の試合では自分のレースをできるような力をつけて臨みたいと思います。



◼︎中村大空

ーーリレーを走ることになった経緯は

 もともとスプリント的に何人か候補はいて、大石君が走れなかったりというところで、タイム的に僕が入りました。


ーーレースを振り返って

 大学に入ってリレーを走るのは初めてだったので、緊張して納得のいく走りはできなかったんですけど。でも、得られたことが大きかった試合だったなと思います。



◼︎大石凌功

ーーレースを振り返って

 今大会を通して、スタートはうまく出られない感じでしたが、それでも準決勝までは最低限のスタートはできました。後半もいつも通りかいつも以上に追い込めたのでそこはよかったのですが、決勝では足の状態が良くなくて、中盤からはスピードをあげないようにしました。


ーーリレーもあったかなと思いますが

 この先を見越した時に、ユニバーシアードや日本選手権があって。ここで無理をしてさらに痛めて、ユニバーシアードや日本選手権に出られないとなってしまうとそれが一番まずいので、苦渋の決断ではあったのですが、今回はリレーは回避しました。


ーー1番の目標は世界のレースだった

 はい。


ーー今後に向けて

 日本インカレはリレーも含めていい思い出があまりないので。痛いところは治して、日本選手権ではしっかり決勝に残って勝負。ユニバーシアードも決勝に残って、メダルというところを目指して、ここから1か月頑張っていきたいです。




TEXT=近藤結希/PHOTO=近藤結希、鈴木真央

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