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2025.06.24
コラム

第890回 可能性を信じて 執筆者・北川未藍

あなたは、誰かのために全力を尽くしたことはあるか。

私はこの活動で、初めてそれができたような気がする。



誰かのために自分の時間や体力を削り、取材に没頭する。

誰かの思いに耳を傾け、たくさんの人に届けようと言葉にその思いを込める。



そんな経験を、この活動を通じてはじめて本気で味わった。



だからだろうか。

「なんで、そんなに頑張れるの」。

そう聞かれると、少し戸惑ってしまう。


「頑張っている」つもりなんて、ないから。



そこまで夢中になって取材活動にのめりこめるようになったのは、担当部の存在があったからだろう。


数ある運動部の中で、私がチーフ(取材代表者)を務めているのはラグビー部。

29年ぶりに1部昇格を果たすと、いきなりリーグ戦1部で3位に入り「台風の目」と呼ばれた彼らは今、大学ラグビー界に変革の風を吹かせようとしている。


遠くから撮っていたら気づいてくれた



ではなぜ、発展途上にあるこのチームに

こだわり、

どこの部会よりも多く企画を打ち立て、

熱く採り上げているのか。



それは、彼らには“可能性"を感じさせる“熱き信念"があるから。



東洋大学の運動部にはいわゆる「強豪」と呼ばれるようなチームが多い。

在学中に日本代表に選出され、メダルを獲得した選手が所属しているチームや

何度も日本一を経験しているチームがある。



実際に、現在部内で新入部員の担当部会の希望を募っているが、人気があるのは上記の運動部だ。

20人の新入部員がいる中で、ラグビー部を希望してくれているのは4人(人気部会は16人)。



それでも、

実力や実績よりも、

追いたくなる闘志がここにはあった。


撮ってと言わんばかりの視線を感じた



取材を通して見えてきたのは、勝敗以上に“本気”でラグビーに向き合う姿勢。


華々しい成績よりも、

泥くさく努力を重ねる日々に、心を動かされた。


成績だけでは測れない熱量が、

ピッチの外にまでにじみ出ていた。



どんなに悔しい思いをしても、現実の厳しさを知っても。

再び前を向いて挑み続けるその背中に、

どこか“可能性"を感じさせられるのだ。


それを言葉にしたいから、今日もペンを走らせている。


主将の背中はいつも頼もしい

(記事は顔が見えてないといけないので、普段は撮らない後ろ姿ですが、選手は後ろ姿の方が好むらしく最近は後ろ姿の撮影も挑戦中)



2日前に閉幕した春季交流大会では、1勝4敗で5位と決して好成績とは言えない結果に終わった。


それでも、

数字では見えない確かな手ごたえと、秋シーズンへの希望を感じさせられるものがあった。


5試合を通して、彼らが積み上げてきたものは、確実にチームを変えている。

本当に少しずつ、日本一の可能性は高くなってきている。


そんな過程を間近で取材できていることを、私は誇りに思う。

同時に、こうも思う。

「この世代は過程で終わるようなチームではない」と。



大差をつけて勝利した大東大戦

アップ時に固く円陣を組んでいた



彼らを信じたその先に、

まだ見たことのない景色がきっと待っている。



その瞬間のために、

私は彼らが今辿っている「頂までの軌跡」を、

言葉で刻み続ける。


一瞬一瞬が最後、こうやってゴール裏から

写真を撮れるのもあと10あるかないか



回数を重ねていくごとに深刻さを増す私のコラムですが(笑)、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

私の強みはドン引きされるほどの「向上心」と「行動力」なので、今年は菅平合宿の取材に参戦予定です。

運転免許なしの21歳が1週間、異郷の地でやっていけるかソワソワです。

現地に来られる方、もし見かけたらぜひお声かけください!


(次回からは、今月入部してくれた20人の若きペンの担い手たちがコラムを掲載していきます!)