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2025年春。東洋大に、新たな精鋭が集結した──。そこで、スポトウ記者である“俺たち”が日々取材を重ねる各運動部の中から東洋大の未来を担うであろう8人の“怪物たち”を厳選。
可能性と存在感を兼ね備えた唯一無二のルーキーズを、今ここに紹介する。次世代のスターを、見逃すな。
第4日目は男子バスケットボール部の蓑原歩(済1=鳥取城北)。
大学生活で楽しみにしていることは、「美味しいものをいっぱい食べること」とまだまだ食べ盛りでルーキーらしい一面をもつ蓑原。昨年のエース佐藤星来の背番号#5を背負うルーキーとはいったいどんな人物なのか。東洋大学男子バスケットボール部、期待のルーキーに注目だ。
試合前、アップ中の蓑原
今後の目標は、「プロバスケットボール選手」
と語ったのは、今年東洋大学男子バスケットボール部(通称:Bunnies )に入学した、蓑原歩(済1=鳥取城北)。
彼は、昨年のウィンターカップで名を馳せた。高校バスケ3大大会の一つ、ウィンターカップでは、鳥取城北高のキャプテンとして、準優勝を成し遂げた。これは、県勢、山陰勢初の初快挙となり、これまで無風だった鳥取県のバスケを彩った。
〜 バスケットボールとの出会い 〜
両親が関わっていたことをきっかけに始めたバスケットボール。高校バスケでは、多くの選手が地元を離れ強豪校でプレーを続ける中、蓑原は中高と地元である鳥取県でプレーを続けた。高校1、2年時、夏のインターハイ、冬のウィンターカップでは、うまく駒を進めることができず。しかし、最終学年となったインターハイでは、ベスト8と頭角を現すと、同大会では、決勝進出を果たし、全国の大舞台を経験することとなる。
「佐藤信長監督のもとで、レベル高いバスケを学びたいと思ったから」
東洋大への進学のきっかけは、男子バスケットボール監督、佐藤信長の存在だ。プロを目指す蓑原にとっては、プロチームでの指導経験のある佐藤氏から教わることは、プロの道へのカギとなるだろう。
ボールを自陣へ運ぶ蓑原
〜 ルーキーとしての活躍 〜
自身の強みとして、「パス」、「ピックアンドロール」、「スリーポイント」を挙げた蓑原は、4月に行われた関東大学バスケットボール選手権(スプリングトーナメント)初戦で、9得点の活躍を見せ、華々しい公式戦デビューを飾った。しかし、彼の強みはオフェンスだけではない。ここまで、2つの大会を通し、積極的にディフェンスに絡み、ダイビングルーズに飛び込む蓑原が印象的であった。このアグレッシブなディフェンスは、鳥取城北での経験が生かされている。鳥取城北のプレースタイルは、「堅守速攻」、これはまさに、東洋大の強みである堅いディフェンスにマッチする。蓑原も鳥取城北での経験について、「堅いディフェンスは鳥取城北からやってきたことなので、まだまだな部分が多いですが、チームに良い影響を与えることができていると思います」と話す。
さらに、ポイントガードとしてゲームメイクでも存在感を放つ。関東大学バスケットボール新人戦(ルーキートーナメント)では、スタートから出場し、プレー中、チームメートに指示を促す場面が多く見られるなど、得点のチャンスを多く作り出した。しかし、 ルーキートーナメントを振り返り、「悔しい思いしかないです。スタートのPGとして出る以上チームを勝利に導くことが仕事だったので、遂行できなかった自分の力の無さを感じました。しかし、チームとして得るものが多かったので、この経験と悔しい思いを持って日々の練習に励みたいと思います」とルーキながら、自分の役割を把握しつつも、課題の残るトーナメントであった。
司令塔としての役割を担う
〜 フィジカル面での差 〜
高校バスケと大学バスケの大きな違いとして、フィジカルの強度が挙げられる。そこには蓑原も「フィジカルの強度の高さが一番違うと思いました。これから戦っていく以上、身体を作っていかなければならないと感じました」と言及し、今後、より強度なディフェンスが期待される。
ディフェンスに負けず攻める蓑原
〜 今後の目標 〜
悔しい結果となった春の大会を振り返り、「スプリング、新人戦での反省を生かし、チームの武器であるディフェンスの強度を上げてチームとしてまとまっていけるよう練習に取り組みます。また、4年生は最後になるので、日頃お世話になっている感謝の気持ちをプレーとして、いい形で終われるように全力で貢献します」と1部昇格に向けて意気込んだ。
憧れの選手は、河村勇輝(Gリーグ)、小川敦也(宇都宮ブレックス)。この日本を代表するポイントガード2人の背中を追いかけながら、彼らと肩を並べる日が来ることを夢見て、蓑原歩は歩み続ける。
TEXT=工藤空