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天皇賜盃第94回日本学生陸上競技対校選手権
6月5日(木)〜8日(日)
JFE晴れの国スタジアム
男子三段跳決勝
2位 宮尾真仁 16m16(風+0.5)
6位 城崎滉青 15m85(風+0.4)
男子走幅跳決勝
9位 古屋世那 7m50(風−1.0)
13位 田中瑛一 7m42(風+0.2)
27位 中村大空 7m20(風+1.8)
三段跳
6月5日から4日間にわたり、岡山県・JFE晴れの国スタジアムで天皇賜盃第94回日本学生陸上競技対校選手権(以下、日本インカレ)が開催。大会3日目には男子三段跳びが行われ、東洋大からは一昨年度優勝者の宮尾真仁(法3=洛南)が2位、ラストイヤーの城崎滉青(理4=小倉工)が6位に輝いた。
東洋大のフィールド種目を引っ張り続けた2人がともに挑む最後の日本インカレとなった。
予選1組に登場したのは城崎。1、2日目に出場した4×100mリレーの疲労と、足首のケガを抱え、「跳べるかどうか分からない」、ギリギリの状態で挑むこととなった。
1,2本目は記録を残せず、迎えた3本目。この一本を跳べなければ、ベスト8どころか、記録すら残らない。昨年度3位表彰台まで登り詰めた実力を持つ城崎は、プレッシャーを感じていた。それでも、
「最後の最後だ」
その思いが背中を押し、前向きな気持ちで挑んだラスト1本。城崎は大きく天を仰ぎ、跳躍へ向かった。
強い覚悟の眼差しで踏み出すと、リズムよくステップを刻み、最後は力強く宙へ。後がない状況下で、叩き出した15m85。城崎は感情をあふれさせた。
予選2位のこの記録を残して、ベスト8の跳躍へ。けがの状態から、4、5本目はパスし、6本目の跳躍。記録は伸ばせなかったが、3本目の記録で6位入賞を果たした。
同時進行で行われる予選2組には宮尾が登場した。一昨年の大会王者であり、U20日本記録保持者でもある。
前年度は敗れたが、今大会こそ優勝し、奪還を狙っていた宮尾。2本目で15m97をマークすると、予選を通過し、決勝へ。
続く決勝は、プラスで3本跳ぶことができ、予選の記録に上書きされる。
城崎の意地の3本目を見た宮尾が、4本目に臨んだ。宮尾は2年生の頃から城崎と数々の大会を戦い抜き、互いに激励や刺激を送り合う仲だ。
徐々にスピードを上げる助走から、力強くステップを踏むと最後のジャンプを思い切り跳んだ。16m16で2位、表彰台を飾った。宮尾は跳躍を振り返り「滉青さんのおかげで記録を伸ばせた」と城崎への感謝を語った。
次なる目標は7月の日本選手権。世界陸上の出場を志す宮尾は派遣記録の突破と「最低限優勝する」と強気な姿勢で準備を進める。先輩と挑んだ最後の日本インカレは一緒に表彰台はかなわなかったものの「4年生の意地を見せてくれてさすがだなと。2人で楽しい試合ができた」とうなづいた。
来年の日本インカレでは、次は宮尾がラストイヤーを迎える。強さに磨きをかけた跳躍が今から楽しみだ。
走幅跳
大会2日目には男子幅跳び決勝が行われ、東洋大からは、中村大空(法2=東農大二)、田中瑛一(スポ2=豊橋南)、古屋世那(法4= 西京)の3名が健闘を見せた。
まず4×100mリレーの予選も走った中村が1組で跳躍する。スプリント力を活かした助走から飛び込み、3本目が成功。しかし、7m20で27位と「納得のいく結果が出ない試合でした」と肩を落とした。
今後は「100mや200mなど色々出てみて、来年スプリントで戦えるならスプリントで行きたい」と新たな分野に視野を広げる。
2組には田中と古屋が姿を現した。田中は2人がケガの分、自分の跳躍で結果を出したい気持ちがあった。そんな中、結果は7m42の13位。「自分がちゃんと記録を狙って行かないといけないなと思いましたがやりきれなくて非常に悔しい」と表情が曇った。
田中はまだ3年生、来年この悔しさを乗り越えた跳躍に期待したい。
古屋は足の状態を考慮し、関東学生選手権後から一度も試合に出ず、迎えた今大会。1本目は惜しくもファールだったが、いい感覚をつかめたと振り返り、3本目でシーズンベストとなる7m50を叩き出したが、ベスト8進出まであとわずか2センチ足りなかった。
「まずはケガをしっかり治すのと2人はあと1年や2年とあるので来年、再来年に向けて頑張ってほしい」と2人に希望を託した古屋。3人で挑んだ今年の日本インカレは、来年への期待を込めて幕を閉じた。
◼︎城崎滉青
ーー跳躍を振り返って
学生個人ぐらいから練習していて、足首の状態は跳べるかどうかわからなかったんですけど、なんとか1本しっかり記録を残せてよかったかなと思います。
ーー1本目と2本目の記録がない中、3本目を跳ばれたが、プレッシャーは
プレッシャーはありましたが本当に最後の最後だなと思えたら意外と。プレッシャーは感じていたんですけど、嫌なプレッシャーではなく跳べる感じのいいプレッシャーだったと思います。
ーー4本目と5本目をパスした理由は足の状態からか
リレーの疲労と足首のケガもあって跳べなかったので1本にかけようとパスしました。
ーー最後のインカレの4日間を振り返って
うまくいかないことばっかりだったんですけど、最後にみんなでリレーをつないでメダルをとれて。三段跳もけがしていた中でもしっかり3本目で跳べて。最後は楽しめたのかなと思います。
ーー次の試合に向けて
けがしてしまっているので、まだ分からないんですけど、日本選手権に出られたらいいかなと思います。
◼︎宮尾真仁
ーー跳躍を振り返って
今回の跳躍は自分のやりたいことが少しできたかなと思います。今シーズン、カンカレから織田記念と学生個人も含めて自分の練習通りの跳躍ができなくて、練習通りではないですが、ここでやっといい感覚がつかめたと思います。
ーーやりたいこととは
ホップからダイナミックにいって、うまく跳ねて、1番の持ち味のジャンプで行けるところまで行くところを日本選手権でできればと思います。
ーー2位の結果について
優勝を目指してやってきたので負けたことは1番悔しいですね。
ーー城崎選手と最後のインカレになったが
本当に感慨深いです。自分が2年生の時から一緒にカンカレから学生個人、全カレとグランプリも全部含めて、全部一緒に戦ってきたので、全部の1番最後の大会で一緒に表彰台は叶いませんでしたが、滉青さんが3本目にしっかり決勝に残る記録を作ってくれて、自分の中でちょっと感動したというか、4年生の意地を見せてくれてさすがだなという感じで2人で楽しい試合ができたと思います。
ーー試合中はどのような会話を
試合のことだけで、長い会話をせずに頑張れよや、次リラックスしてなど、それぐらいのことしか話してなくて、あとは心で通じながらみたいな感じです。
ーー城崎選手の存在に跳躍に影響は
滉青さんが3本目を跳んだ後に自分の4本目で、16m16だったのは自分の気分が上がって滉青さんのおかげで記録を伸ばせたと思います。
ーー日本選手権に向けて目標と意気込み
自分が今年1番目標にしている大会なので、世界陸上の開催国枠の16m70ぐらいを跳ぶことと、17m22の世界陸上の参加標準記録を跳ぶところまで行きたいのと最低限優勝することを目標にやっていきたいと思います。
◼︎田中瑛一
ーー跳躍を振り返って
学生個人とカンカレの時は予選からしっかり記録を残せていましたが、全部があいまいな跳躍になってしまって、助走から踏み切りまで反省点が見つかったので、次の大会は決まっていませんが、そこに向けてしっかり調整していきたいと思える大会でした。
ーー具体的な反省点は
全部だめだったんですけど、特に助走の時に走りきれなかったというか調子がいい時に比べて踏み切りに迫っていく感じのイメージがしっかり持てなかったので、そこを安定してどんな大会であっても出せるようにしていかないとと思いました。
ーー同じ種目に東洋大から3名が出場したが
自分はそこまででしたが、ほか2人がケガ気味で自分がちゃんと記録を狙って行かないといけないなと思いましたがやりきれなくて非常に悔しいです。
ーー今後の目標は
今年の目標は7m80跳ぶことをシーズン始まる前から目標にしていたので、そこを狙い続けようと思います。
◼︎古屋世那
ーー跳躍を振り返って
カンカレがアキレス腱が痛くて欠場してから、今日まで1回も試合に出ずにやってきました。アキレス腱の状態は正直良くはなくて、ずっと治ってなくて、ハムストリングも気になっている状況の中での今回の試合でした。1本目がファールでしたが、いい感覚で跳躍できたので今日いけるかなの気持ちで行きましたが、2本目が板を踏めなくて届かなくて、3本目に7m50を跳んで今シーズンのベストを出せました。でも3本目の踏み切りの時にハムストリングをケガしてしまって、足の状態が悪い中での3本目は個人的に良かったのかなと思いますが、記録と順位は着いてきてないので、プラスケガもしていることもあって悔しいですね。
ーー4年生で最後のインカレになったが
大きな大会はカンカレや全カレなどに初めて出場したのは去年からでもう少し1,2年生のうちに記録を出して経験を積みたかったのですが、去年も予選落ちで今年のも予選落ちなのは悔しいです。4年生というのもあって、最後はどうしても入賞してかったんですけど9位で最後2センチ差で負けてしまったことも悔しかったです。
ーー同じ種目に東洋から3名が出場したが
3人とも予選落ちでみんなそれぞれ足に問題を抱えているので、まずはケガをしっかり治すのと2人はあと1年や2年とあるので来年、再来年に向けて頑張ってほしいことを話しました。
ーー今後の目標は
次の試合の予定は8月に不地獄録の試合があるのでもし出れたらそこに向けて頑張りたいなと思います。とりあえず自己ベスト更新と8m近い記録を出したいと思います。
◼︎中村大空
ーー跳躍を振り返って
昨日リレーの予選を走って、左に違和感ありながら試合に出ました。幅跳びは助走の感じは走れましたが、助走から踏み切りにつなぐ動きは自分に足りていなくて、納得のいく結果が出ない試合でした。
ーー幅跳びも含め、次に向けて工夫など
今年はもう大学生の中の三大大会が終わってしまったので、幅跳び以外にもリレーのメンバーに選ばれ、100mや200mなど色々出てみて、来年スプリントで戦えるならスプリントで行きたいなと思います。
TEXT=鈴木真央/PHOTO=鈴木真央、近藤結希