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2025.07.02
サッカー

[男子サッカー]アミノ杯で悲願の優勝ならず。井上監督「決勝までこられたのはチームの総合力」

「アミノバイタルⓇ」カップ2025 第14回関東大学サッカートーナメント大会 決勝 東洋大vs流経大

6月29日(日) 味の素フィールド西が丘

●東洋大1-2流経大

 

《得点者》

86分 髙橋 愛翔(中村 琉聖)


▽GK

磐井 稜真(国2=東京Vユース)

 

▽DF

髙橋 愛翔(国4=大宮U18)

福原 陽向(国4=鹿島Y)

中村 琉聖(国3=横浜FC) 

山本 虎(国2=青森山田)→ 山之内 佑成(国4=JFAアカデミー) 


▽MF

田制 裕作(国4=柏U-18)

村上 力己(国4=尚志)

仲野 隼人(国4=三菱養和SC)→ 鍋島 暖歩(国4=長崎U-18)

手塚  樹(国3=ヴァンフォーレ甲府U─18) →66分 依田 悠希(国3=三菱養和SCユース ) 

瀬山 航生(国2=浦和Y)→57分 宮本 新(経2=横浜FC)


▽FW

吉田 綺星(国2=FC東京U-18)→75分 大橋 斗唯(国3=柏U-18) 


 タイトルをかけたアミノバイタルカップ決勝戦。連日の試合に両チームから疲労が見える中、臨んだ決勝は終始、流経大の流れに押され、2点リードされる展開に。後半終盤には反撃のゴールをDF髙橋が決め、最後まで戦いつくすも、点差は追いつかず1-2で試合が終了。東洋の名を初優勝で刻むことはできずアミノ杯は閉幕した。

 「ネガティブな戦い方が多かった」と井上監督が振り返ったアミノ杯決勝。前半は思うようにリズムをつかめず、試合は流経大のペースで進行。東洋大は立ち上がりから攻撃をかけられ、先制点を許してしまった。

 巻き返しを図る後半、東洋大はDF山之内、MF鍋島、そして準決勝で得点を挙げたMF宮本らを投入し攻勢を強める。中盤でボール奪取から好機をつくる場面も増えたが、肝心の決定打が決まらず、流れを引き寄せきれない。84分、相手のカウンターから痛恨の2失点目を決められる。だが、ここで東洋の闘志が燃え上がった。86分、前線でボールを丁寧につなぎながらゴール前に迫ると、浮き球をDF中村が頭でつなぎ、FW髙橋が渾身(こんしん)の一撃を叩き込んで1点を返す。さらに同点弾を狙って攻め込む東洋大だったが、後半アディショナルタイムの90+2分、MF村上が一発退場となり、追撃の勢いにブレーキがかかってしまう。

 最後まで粘り強くゴールを狙ったものの、試合はそのまま終了の笛が鳴った。試合後「めちゃくちゃ悔しかった」と語るキャプテン山之内。準優勝の表彰を終え賞状を手にするも、目には悔しさを宿しながらピッチを後にした。

決勝でスタメン入りを果たし、チームに1得点をもたらした髙橋。今回の大会について「(日程が)苦しいなどと言っている場合ではなくて、優勝したいという気持ちが強かったので優勝を目指して頑張ってやっていました。」と優勝に対する強い気持ちを持っていた。先に控えるJFA天皇杯第105回全日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)について、「自分たちに失うものはないので、思いきって勝ちを目指したい」と意気込みを見せる。

ボールを追う髙橋

 ゴールを決めた後にはFW依田(右)とハイタッチ

 ゲームを終えた井上監督は「総合力で決勝までこられたことはチームの成長を感じる」と決勝の舞台までチームをつなげた選手たちを称賛しつつも「勝ち切れなったのも総合力で相手の方が上回っていた。我々は(優勝)そこに届かなかった」と悔しさをこぼす。今大会でチーム全体の底上げを狙った井上監督。「一端を担えた大会ではあったが、それがまだコンスタントには出せていない。それが一つずつ出せるように上げていくしかない。その結果が総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント(以下、大臣杯)にもつながっていく」と、8月に迫る大臣杯への思いも語った。


 次の公式戦は、7月16日の天皇杯。J1新潟アルビレックスとの一戦となる。アミノ杯では休むことなく決勝まで全力を尽くしてきた東洋大。勢力を整え、天皇杯3回戦へと新たな挑戦を目指す。



■コメント

井上監督

ーー決勝をを振り返って

10日間というタフな大会スケジュールの中で、自分マネジメントしながら選手入れ替えたりするゲームもありましたが、総合力で決勝までこれたことはチームの成長を感じるところです。ただ、決勝戦ではどちらも疲弊している中で、相手の方がタフに戦ったのが正直な感想です。PKと、自らのビルドアップのミスによる失点。相手の方がボールの回収率が高かったです、特に前半。

相手はやりたいことができて、うちはやりたいことができていませんでした。少しネガティブな戦い方が多かったと思います。決勝まで来たのは今のチームの総合力だし、勝ちきれなかったのも総合力で見ると相手の方が上回っていたました。いろんな外的要因もあるかもしれませんが、最終的にチームとしての結果に結び付いたのが流経大で、我々はそこに届かなかったと見ています。


ーー決勝でのメンバー変更について

それが一番の選択だと思ったからです。それは疲労度、怪我の状況、出場停止など、いろんな状況の中でチームとして1番パフォーマンスを出せると判断しました。選手変更は私が責任を持ってやりますし、試合の結果も私の責任です。


ーータイトルへの意欲は

選手達はもちろんタイトルを狙っていました。1週間で4試合もしている選手が90分間戦って、我々は延長も2試合やっていますし、フレッシュな選手を使った方が良いという判断です。タイトルへの意欲が相手にはあって、うちになかった、そんなことはないと思います。取れなかったことは悔しいです。勝って優勝したチームは称賛され、負けたチームは何にもない。でもそれは覚えておかなきゃいけないんじゃないですかね。


ーー総理大臣杯での目標を聞かせてください。

昨年度は優勝権を得られなかったので、4年ぶりになる3回目の出場です。アミノ杯と同じように中1日、中1日という形で続いて、かなりタフな大会ですが、選手にとっていい環境とは言えないので、その中でもタフに戦っていけるように、ちょっとずつ力をつけていきたいなと思います。


ーー昨年度とは違ったスケジュールの8月に向けて強化していきたい点は

昨年は出場できなかった大学が集まってのフェスティバルな形で試合数をこなしていく中で、チームの底上げっていう部分ができて、リーグの方につながったっていうのは事実です。今回はアミノ杯もそうですし、本大会、大臣杯に出て戦っていく中で、そういう風に上げていければなと思います。アミノ杯はチーム全体を底上げするというか、レベルアップする一端を担えた大会ではあったかなと思います。それがコンスタントに出せてるかって言ったらまだかなと思いますので、それが出せるように一つずつ上げていくしかないですかね。それが本大会、総理大臣杯にもつながっていく。大臣杯をこなしていく中で試合をしながら積み上げられれば1番良いかなと思います。



山之内 佑成

ーー試合を振り返って

チームとして決勝までこれたことは良かったと思います。しかし、最後勝ちきれなかったのは悔しい結果です。


ーー総力戦で多くの選手が実践経験を積めたのはプラスだったのでは

スタメン11人選手だけでは今後きついと思うので、普段出ていない選手のチーム力も向上できたと思います。


ーー連戦が続いたことについて

タイトルを取るためには連戦の中でどう勝っていくか、戦い方をチームで考えないといけないと今回の大会で感じました。


ーースタートから出なかった心構えは

スタートから出るつもりで会場に来たので、メンバーを聞いてからは、途中から自分が何が出来るのか考えながらアップをしていました。


ーーハーフタイムで何か言われたことは

特に言われたことはありませんが、待っている状態だったので、チームに良い影響、エネルギーを使えればと考えました。


ーータイトルへの思いは

今日は本当にタイトルを取りたい気持ちはめちゃくちゃ強かったです。とても悔しい結果でした。


ーーアミノの杯を通して得られたことは

チームの総力戦でもあるので、誰がどこまでできるのか、どの組み合わせが合うのかが見つけられました。


ーー新潟アルビレックスとの一戦に向けて

新潟さんは持たれる時間帯が多いと思うので、簡単に失点をしないことがカギだと思います。柏レイソル戦も簡単に失点を許さずに最後まで持ちこされたことが勝てた可能性だと思っているので。ここ2週間、勝ちに行くつもりでチームで要求し合いながら攻略法や質を見つけていきたいです。


・髙橋 愛翔

――決勝を振り返って

今日は自分を含めて普段スタメンではない選手が出ていたのですが、みんなで決勝まで繋いできたので絶対優勝してやろうという気持ちで臨んでいました。

 

――得点シーンを振り返って

とにかくゴールの近くにいて、ボールがこぼれてくればいいなと信じて走っていたらこぼれてきたのでしっかり押し込むだけでした。

 

――決勝という大舞台でのメンバー変更、中1日という厳しい日程も含め、苦しさは

苦しいなどと言っている場合ではなくて、優勝したいという気持ちが強かったので優勝を目指して頑張ってやっていました。

 

――流通経済大はリーグ戦でも戦った相手ですが、今回はどのような戦いを想定していたか

流経大は前に前に来るチームだったので、それに負けないよう自分たちも受け身にならずに、しっかり自分たちの良さを出しながら勝てるようにしようというのは話しながらやっていました。

 

――今回のアミノバイタル杯を通して得られたことは

チームとしての総合力はすごく上がったなというのは感じています。他のチームはスタメン組がずっと出ていたのですが、自分たちはメンバーを全部入れ替えたりして、その中でも勝てた試合もあったので、そこは自信にしながら次の試合までにより全体のレベルを上げられるようにしたいです。

 

――7月の天皇杯、8月の総理大臣杯に向けて、どのような準備をしていきたいか

天皇杯はまた格上のJリーグの相手になるので、自分たちは何も失うものはないので、思い切って勝ちを目指せるように頑張りたいです。

総理大臣杯は、今回優勝できなかったので全国1位を目指してチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。


TEXT=森花菜、PHOTO=高梨美遼、福田和奏