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2015.10.22
硬式野球

[硬式野球]原樹理「びっくり」ヤクルト、ドラフト1位指名 満を持して『神宮のマウンド』へ!

プロ野球ドラフト会議2015supported by リポビタンD

10月22日(木)東洋大学白山キャンパス スカイホール



原樹理 1位指名:東京ヤクルトスワローズ



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4年間、苦楽をともにした同期に胴上げされ笑顔を見せる


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会見には緊張した顔つきで、記者の質問に答えた。(左から高橋昭雄監督、原樹理、 竹村牧男学長)


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念願だったプロ野球の舞台で、燕のごとく羽ばたいていく。



 夢への扉を開いた。プロ野球ドラフト会議が行われ、東京ヤクルトスワローズが一度くじを外したのちに、ドラフト1位で原(営4=東洋大姫路)の交渉権を獲得した。指名後には記者会見が開かれ、集まった報道陣に向かって支えてくれた人たちへの感謝の言葉を口にした。


 驚きを隠せなかった。「もう少し遅い(順位)と思っていたので、頭が真っ白になりました」。若干顔をひきつらせながら、緊張した面持ちで会見場に姿を現した原。それは想定より早く、そして『神宮球場』を本拠地に置く東京ヤクルトスワローズからのサプライズ指名だった。

 「神様が神宮でもっとやりなさいって言っているのかもしれない」。本来、神宮は東都の開催場所。しかし、1年秋に神宮第二、大学グラウンド開催の2部に落ちた原は、ちょうど3年前の10月24日国学大3回戦を最後に神宮でのリーグ戦登板はない。神宮と大学グラウンドでは観客も、スカウトの数も雲泥の差がある。それでも――。この1年間、原が「神宮で投げたい」と口にしたことは一度もなかった。代わりに口を突くのは決まって「後輩たちを1部へ連れて行くために」。だからこそ、春に優勝を逃して自分たちが1部でプレーする可能性が消えても、大車輪の活躍で今秋2部優勝を決めた。1部を経験したことがあるのは自分たちの学年が最後。その責任を一身に背負って腕を振り続けた。そんな男の姿を、神様はちゃんと見ていた。

 胴上げをしようと駆け付けた4年生に囲まれた瞬間、どっと涙があふれた。2部降格、右ヒジ手術、プロ入りを諦めかけた苦しい時期も同期は全部知っている。「どんなときでも近くにいてくれた仲間には一番感謝したいです」。神宮でなかなか野球ができず、歯がゆい思いをしたのは彼らも同じ。来年からは、その思いも背負ってマウンドに立つ。

 「野球を始めたときからの夢」だったプロ入りが叶った今、もう不安はない。「前向きな気持ち。楽しみです」。まずは来月7日から始まる駒大との1部2部入れ替え戦。新たな本拠地で、あいさつ代わりの快投を披露する。


以下、会見内容(全文)

――率直に、指名を待っているときの気持ちは

 1位指名が終わって、自分は1位ではなくもう少し遅く呼ばれるかなと思った。正直準備をしていなかったというか、頭の中が真っ白になりました。

――指名されるまでいろいろあったが緊張は

 いつも以上に時間が経つのが長く感じて、早くこの時間が過ぎないかなと思っていました。

――指名されたヤクルトの印象

 自分たちが戦っている東都野球リーグは神宮球場でやっており、自分が1年生のときに2部に落ちてしまい、それから3年間神宮球場でやりたいと思ってここまでやってきた。本拠地の球団であるので、神様が「神宮球場でやることをもっとやりなさい」と言っているのかなと思います。

――どんな感謝がありますか

 22年間一度も離れることなく、両親が嫌な顔1つせず自分をここまで育ててくれてくれた。自分の心が折れそうになったとき、監督さんが『野球をやめて何が残る』と何度も説得してくださった。毎日一番近くでピッチングを指導してくださった。そういった方々がやはり自分一人ではここまで頑張れなかったと思う。一番はプライベートでもどんなときでも近くにいてくれたチームメイトのおかげだと思います。

――どういう風に起用されたいか

 1年目からどんどん投げていって、1軍でも毎試合自分がヤクルトスワローズの一員で良かったなと思われるように頑張っていきたい。

――真中監督へ伝えたいことは

 自分のスタミナは自信があるのと、怪我しないこととどんな状況でも投げる。監督さんに呼ばれたときはいつでもいけるので、頑張っていきたいです。

――ヤクルトの選手の中で尊敬している選手

 同じオーバーハンド右投げの小川投手のピッチングというのはテレビで何度も拝見させてもらっており、どうやったらそうやって強靭な下半身だったり体の柔らかさだったり多彩な変化球だったりを投げられるのかなと、自分もテレビを見ながら本当にすごいなと尊敬していたので、それを入ってからしっかりと教わりたい。

――対戦したいバッター

 バッターというか、巨人の打線を抑えたいと思っています。

――お手本にしている選手

 他球団ですが、監督さんからいつも西武ライオンズの岸投手を目標にやりなさいと言われていたのでそこを目標にしたい。

――具体的には

 ピッチングフォームであったり、ボールの質であったりが素晴らしいので尊敬しています。

――勝負したいボール

 自分の一番の持ち味はシュートだと思うので、プロであっても勇気を持ってインコースに投げていきたい。

――4年間の中でけがもあったが

 正直、1年前まではまさか自分がプロ野球に入れるなんて思っていなかった。あのときは絶望感や、この先どうしたらプロ野球選手になれるのかなと不安があった。そのときの不安があったから、今があるのかなと思います。

――これからの意気込み

 これはゴールではないので、また1からプロでもしっかり活躍できるように頑張っていきたいと思います。




■祝福コメント

・林(営4=桐生一)

一番近くで見てきた原がドラフト1位という最高の形でプロの世界に行くことができ、涙が出るくらい嬉しいです。(1位での指名について)みんな呼ばれてほしいという気持ちはあったが、正直びっくりという気持ちの方が大きい。もし、最終戦で負けて引退することになっていたら、原も(今日の指名に)複雑な気持ちだったと思う。拓大戦で優勝を決めていい形で迎えることができて良かった。(優勝後)ドラフトまで原は不安な気持ちでいたと思うが、自分たちは楽しみにしていた。原は午前中は軽く体を動かしていたが、その時から周りがそこまで心配しなくていいんじゃないかと思うくらい心配していた。(自分にとって原は)結果からも分かるように、今では東洋大学の顔という選手になった。自分は副主将として、何もサポートはできていないが原という一本のしっかりとした軸があるから、チームが成り立っていると思う。その原が上のステージにいくことができるので、応援したいと思う。1年の時から、今年みたいなすごい成績を残したわけではなかったし、1年の時に2部に落ちた時には野球部を辞めると言ったこともあった。4年になるまでは原自身も苦しんだと思う。3年になった時から、人一倍練習するようになって、最後には大学の顔になってくれた。今までの挫折を経験したうえで、今の原があると思うので今日の指名は本当に嬉しい。入れ替え戦で1部に上がることができれば、原もチームメイトも大学でやり残したことは無いと言えると思う。今まで2部でずっと苦しんできたので、そこで勝てば原も良い気持ちでプロの世界に行くことができる。原にはドラフト1位に見合うような選手になってほしいという気持ちもあるが、やはり長くプロでやってほしいと思う。


TEXT=浜浦日向 PHOTO=伊藤拓巳、菅野晋太郎、美馬蒔葉