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第109回日本陸上競技選手権大会 兼 東京2025世界陸上競技選手権大会 日本代表選手選考競技会
東京・国立競技場
7月4日(金)~6日(日)
男子三段跳決勝
7位 宮尾真仁 15m96(風−0.3)
7月4日から6日(日)にかけて、国立競技場で第109回日本陸上競技選手権大会(以下、日本選手権)が行われた。日本のトップ選手たちが集い、日本一の座を争う大舞台。今年は、東京で行われる世界陸上の代表選考も兼ねた重要な一戦となったこの大会に、東洋大から12名が挑んだ。
男子三段跳びには、宮尾真仁(洛南=法3)が出場。目指した優勝には届かなかったものの、意地のベスト8入りを果たした。
2日目に行われた男子三段跳び。猛暑の影響で競技時間が大幅に変更されたこの種目に、東洋大から宮尾が挑んだ。
学生界で圧巻の強さを誇ってきた宮尾は、シニアの舞台でも、「最低限優勝」を掲げる。
強い覚悟を胸に、国立に立った。
1、2本目は「バラバラの跳躍になってしまった」というなか、迎えた3本目。この時点で宮尾はベスト8圏外の13位につける。
残り1本で記録を伸ばせなければ、3本の跳躍で競技終了という大きなプレッシャーのかかる局面に立たされた。
「トップ8に残れず、予選落ちという形には絶対にしたくなかった」
競技時間の変更により、この日最後の種目となった男子三段跳び。開始時刻はすでに19時を回っていたが、会場には宮尾の応援のために東洋大のチームメートが残り、出場のなかった選手たちも駆けつけた。
応援してくれる仲間のためにも、「とりあえずトップ8に残る記録を」という思いで挑んだ3本目。跳躍の前には、ともに三段跳びで戦ってきた城崎滉青(理4=小倉工)らから、エールも受け取った。
「大丈夫だよ、いつも通りにやればいける」。その言葉に背中を押され、助走路へ。
チームメートが見守るなか、踏み出した宮尾は大きくジャンプし、15m96をマーク。記録を伸ばして、7位に入り込んだ。
入賞を決め、上位8名だけが臨める、“プラスの3本”へつないだ宮尾。しかし、「うまくまとめられずに終わってしまった」と記録を伸ばせず、7位で競技終了となった。
「ベスト8を狙っていたわけではないので、悔しさ100%の日本選手権に今年もなってしまいました」。
目指す場所は高いからこそ、入賞という結果にも喜びはない。
各種大会が前倒しされた今季は、大きな大会は一区切り。「あとはどれだけいい記録を出して、驚かせるような記録を打ち立てられるか」の勝負になる。
1年時の日本インカレでいきなり大学日本一に輝いた宮尾も、来年は最終学年。
「学生最後の陸上にもつながっていく」この今季に、誰もが目を見張るような一跳びを。
◼︎ 宮尾真仁
ーー跳躍を振り返って
うまくまとめられずに終わってしまいました。
ーーベスト8がかかった3本目は、プレッシャーなどはあったか
大プレッシャーで。一番最後の競技だったので、東洋大勢がみんな残ってくれていて、選手ではない人たちもみんな来てくれていたので、トップ8に残れずに予選落ちという形には絶対にしたくなかったです。とりあえず欲張らずに、トップ8に残る記録を作ろうと思っていました。
ーー跳躍ブロックのメンバーも応援に来ていたが、力になったか
やっぱりいつも一緒に練習しているメンバーが来てくれて、安心感がありました。1、2本目でグダグダになってしまう跳躍がありましたが、3本目に行く前に「大丈夫だよ、いつも通りにやればいける」という言葉とかをもらったので、そこで冷静に跳躍ができたのかなと思います。
ーー修正した部分は
3本目は正直、修正がどうとかではなくて、気合が入って。1、2本目がばらばらの跳躍になってしまっていたので、少しまとめられたという感じです。
ーーベスト8に残れた安心もあるか
ベスト8を狙っていたわけではないので、悔しさ100%という日本選手権に、今年もなってしまいました。
ーーこれから目指していくところは
とりあえず日本選手権が終わって、大きい大会がもうないので、あとはどれだけいい記録を出して、驚かせるような記録を打ち立てられるかかなと思います。
ーーラストイヤーに良い形でつなげるという部分も
そうですね、学生最後の陸上にもつながっていくので、これからの世界陸上や五輪にもつながっていくような跳躍をしたいですし、最後の日本インカレは勝って、有終の美を飾りたいので、来年にもつながるような記録が出ればいいなと思います。
TEXT=近藤結希