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2015.10.25
陸上競技

[陸上競技]杜の都 シード権には届かずも過去最高16位

第33回全日本大学女子駅伝対校選手権大会

10月25日(日)仙台市陸上競技場~仙台市役所前市民広場


総合16位 東洋大 2:10'51


1区 18位 内田寧々(食2=学法石川) 22'00(通過18位)

2区 12位 室伏杏花里 (食1=白鴎大足利)18'49(通過16位)

3区 17位 平山絵梨 (ラ3=酒田南)23'34(通過17位)

4区 13位 天羽彩佳 (食3=仙台育英)16'50 (通過16位)

5区 11位 佐藤早也伽 (食3=常盤木学園)31'14 (通過15位)

6区 15位 山田日菜野 (食1=豊川)18'24 


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勢いよくスタートする1区走者たち

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第1中継所 内田(右)- 室伏

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第2中継所 室伏(左)- 平山

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第4中継所 天羽(右)-佐藤早

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ゴール後肩を落としたアンカー・山田(右)

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レースを終えて笑顔を見せる選手たち


 総合16位。全日本女子駅伝(以下、杜の都)は今年もシード権には届かなかったが、過去最高の成績を収め幕を閉じた。


 昨年はシード権を狙った中で、19位と前年の18位から成績を落とし涙を流した。そしてこの1年間はリベンジを果たすため、「今年こそは」と味わった悔しさを原動力に駆け抜けてきた。今大会は、駅伝を見据えて長い距離に取り組んできた佐藤早をはじめ、杜の都経験者の平山と内田を主要区間に起用。さらにスピードのある1年生二名、今季順調に練習を重ね調子を上げてきた天羽とベストメンバーがそろいスタートラインに立った。
 各校の主力が集う1区で内田が18位と出遅れたものの、その後は室伏、平山、天羽が前との差を詰めていく。 「5区の佐藤までみんなで我慢してできるだけいい順位で渡すだけだと思っていた」。永井監督が語るように、粘りの走りで堅実に目の前の背中を追い、エースにつないだ。そして16位でタスキを託された佐藤早は序盤、向かい風に苦戦を強いられた。それでも「先輩に代わって自分が長い距離を走って引っ張っていこう」と出走が叶わなかった4年生の分までチームを背負い、順位を15位まで引き上げる。続くアンカーの山田が一人にかわされたが、過去最高順位となる16位で3回目の挑戦を終えた。 

 選手たちの走りを永井監督は「やってきた力をこの舞台で出せるようになってきた」と評価した。しかし彼女たちはこの結果に決して満足はしていない。「全国の強い人たちが集まる駅伝では、自分はまだまだ通用しないなということを痛感した」と佐藤早は言う。1年間、本気でシード権を目指してきたからこそ届かなかった悔しさも大きいのだろう。 また、内田はチームを「早也伽先輩に頼りっぱなしで主力がいないし、チームとしての力が足りない」と指摘する。エースに頼るのではなく、生かすレースができるか。それがシード権を獲得した8位までの約3分差を縮めるカギとなる。「層は厚くなっているがそのレベルをもう一つ高くすることがシードを取るために必要だと思う」。次なる課題を得た。出場を重ねるごとに彼女たちを一歩ずつ成長させる杜の都の舞台はまた一つ、女子長距離部門を前進させる経験を与えたようだ。


  杜の都を終えたばかりではあるが、チームは次なる目標の富士山駅伝へ向けすでに闘志を燃やしている。富士山駅伝は4年生とタスキをつなぐ最後のレースとなるからだ。今大会、チームの躍進の裏には創部以来常に先頭に立ち、部門を引っ張ってきた4年生の存在があった。精神的な支柱として貢献する姿に、永井監督も「4年生がいてくれたからタスキが最後までつながった部分がある」と熱い思いを述べる。 4年生と挑む最後の駅伝へ。再びチームの結束力を高め、彼女たちは新たなスタートを切る。

■コメント

・永井監督
初出場の18位から昨年は順位を落としていたので、そういう意味では過去最高順位を来年につなげていきたい。(レース内容の評価は)5区の佐藤までみんなで我慢してできるだけいい順位で渡すだけだと思っていたので、走った選手は最後まで諦めずに粘ってくれたと思う。(シード権に届かなかった要因は)予選から佐藤に頼るチームの形があった。佐藤を生かせるチームをつくれるように、他の選手も力をつけなければシードは見えないなと。今のチームは佐藤以外の選手にほとんど力の差がない状態なので、強い選手が集まる区間はとにかく我慢だと思っていた。そういう意味では室伏や天羽が頑張ってくれた。層は厚くなっているがそのレベルをもう一つ高くすることがシードを取るために必要だと思う。ただやってきた力をこの舞台で出せるようになってきたので、また力をつけて来年も出し切るレースができるようにしたい。(4年生に対しては)4年生がいてくれたからタスキが最後までつながった部分があるし、感謝している。最後の富士山までしっかりとやって次につなげていきたい。(富士山駅伝に向けて)まずは今年も5000mの平均記録で出場を勝ち取らなければならない。一段落したところだが、4年生とこのチーム最後のレースなのでしっかりと記録を上げて、もう一度一つになって力を出し切れるよう頑張りたい。


・1区 内田寧々(食2=学法石川)
昨年の富士山の1区で全然納得のいく走りができなかったので、もう一度全国の舞台でリベンジをしたいと思っていた。夏も1区を走りたいと思って練習をしていていたので、任されたときは素直にうれしかった。ただ、やっぱり実力が伴わなくて全国では全然戦えないなと。毎回同じ反省になってしまうが、中盤我慢できなくて自分の弱いところを改めて感じた。また悔しいレースになってしまった。(強豪選手と肩を並べて得たことは)強い人はオーラからも強さがあった。スタートラインに立ったときに不安を一瞬でも感じたらだめなんだと。そういうことを感じないくらいに日頃の生活や練習の自己管理をしなければならないんだと思った。(チームとしては)チームを見たときにやっと「全員で駅伝を戦うぞ」と足並みがそろってきたと思う。チームはまだ早也伽先輩に頼りっぱなしで、主力がいないというかチームとしての力が足りない。全員で底上げをしなければならないと思うし、そのために走れてない選手のモチベーションを上げて「一緒に頑張るぞ」という雰囲気をつくるために声かけなどをすることが自分の役割だと思っている。(富士山駅伝に向けて)トラックでベストを更新することがチームに一番貢献できることなので、確実に狙いたい。やっと足並みがそろってきたのでそこをうまく維持しつつ、刺激を与えて全員で年末に向けて気持ちを持っていけるようにしたい。

・2区 室伏杏花里(食1=白鴎大足利)

(初駅伝だったが)自分の中ですごく調子が上がってきていたので、自信を持って臨めた。夏合宿では調子が上がらず、ジョグすら納得のいく状態ではなかった。その時はすごく焦っていたが、みんなより疲労がとれるのが遅いので、メリハリをつけて調整することで上げられた。(2区に対して)今まで駅伝で4km以上走ったことがなかったので、5.6kmという距離に大丈夫かなとレース展開を考えることもできなかった。ただ自分のペースを守って走っていこうと思っていた。(感じたことは)デビュー戦だったが走れる喜びがすごく大きかった。3、4、5区と3年生がいたので安心して走ることができたし、1区の寧々先輩からタスキをもらった時に「ごめんね」と言われ、その時にスイッチが入って少しでも自分の区間で流れをつくりたいと思って無我夢中で走った。(満足度は)初めての距離にしてはまずまずというところだが、大学生になって距離を延ばしていくことが目標なので、いいスタートは切れたと思う。ただ駅伝はタイムより順位なので、そこは納得していない。これからまたチームに貢献できる選手になれるように頑張りたい。


・3区 平山絵梨(ラ3=酒田南)

3区は距離が長く我慢の区間なので 監督からは 「多くは求めないから最低限の走りをしてほしい」と言われていた。区間17位ということで本当に最低限の走りしか出来なかった。終わってみるともっと自分が順位を上げたかったという悔しい思いがある。(タスキを貰ったときは)そこまでの区間で2年生と1年生がタスキを持ってきてくれて、そこから上級生でしっかり上を目指していこうという気持ちだった。付き添いが4年生の川瀬先輩だったので、先輩たちの分まで頑張ろうと思っていた。(結果は)過去最高順位ではあるが全然まだ物足りない。もっと東洋大はできるはずだし上を目指せる。自分自身あとラスト1年なので来年こそはシード権を狙っていく。(今後は)記録会で全員が5000mで自己ベストを出すんだという気持ちで挑む。そこで富士山駅伝への切符を勝ち取るのは最低限のこと。富士山駅伝は(女子長距離部門の)1期生の4年生と駅伝が出来る最後の機会なので、先輩達に笑って終わってもらえるようにあと2ヵ月頑張っていきたい。


・4区 天羽彩佳(食3=仙台育英)

出身は埼玉県だが(母校がある)仙台が第二の故郷という気持ちでいるので、やっと3年目で杜の都を走れるという喜びと、これまでいろんな人に支えられてきたので感謝の気持ちが大きかった。走る前はわくわく感が大きくて楽しみにしていた。やっぱりきつかったが楽しんで走れた。(レースプランは)ずっと地味に上るコースで監督からは突っ込んでいってという指示だったので最初から突っ込んでいった。すぐ前に一人選手がいたので、まず付こうと思っていたが途中でその人が離れてしまって前にいけた。でも欲を言えば全体的にもうちょっとタイムが上がれば良かった。(収穫は)上には上がいることを改めて思い知った。もっと上にいきたいと一番思ったので、もっと練習してもっと早くなりたい。今年は16位という結果で目標のシードにも富士山にも届かない結果だったので、来年はもっともっと強くなってここに戻ってきたいなと思う。そのためにもあと1年間もっともっと努力して、自分自身も強くなってチームも強くなっていきたい。


・5区 佐藤早也伽(食3=常盤木学園)

去年までは頼りにしていた4年生の先輩が走っていた区間だったので、先輩に代わって自分が長い距離を走って引っ張っていこうと思っていた。距離が長いので、ペースを保ってどこまでいけるかだと考えていた。(レース展開は)タスキを受けた時前の選手が見える位置にはいた。最初の3kmくらいがきつくて、入りからうまくリズムに乗ることができず、なかなか切り替えられなかった。全体的に満足のいく走りができなかった。(タスキを渡す時)6区は初めて走る1年生だったので、ずっと前に見えていたチームを抜かしてタスキを渡すんだと思っていたのにそれができなくて、まだまだ甘かった。タイム的にも思い通りにはいかなかった。(振り返って)シード権を目指して1年間目指してきたので、16位ではまだまだ満足できない。個人としては全国の強い人たちが集まる駅伝では、自分はまだまだ通用しないなということを痛感した。(今後に向けて)まだ富士山駅伝の出場を得ることができていないので、獲得に向けてみんなで頑張っていきたい。


・6区 山田日菜野(食1=豊川)

タスキをもらったあと二人の選手に抜かれ、そのあと一人抜き返した。ラストの1.5㎞くらいからペースを上げていこうと思っていたが、前の集団が見えていたのになかなか差を詰められなかった。 後半に体力が持つか自信がなかったので最初に積極的にいくことが出来なかった。前の区間の早也伽先輩が今季すごく調子がよくて早也伽先輩なら、と思って安心して待っていた。前と集団で来てくださったので貰ったときは一つでも上の順位に行きたいと思っていた。一つ順位を落としてしまったので先輩たちに申し訳ない。 (初めての大学駅伝は)もっと距離を踏んで走り込まないといけないと実感した。しっかり練習をして来年はもっといい走りをしたい。(今後は)まずは富士山駅伝に出場できるように5000mのタイムをしっかり出せるようにしたい。


TEXT=石田佳菜子 PHOTO=星和典、石田佳菜子、野原成華、横山恵美、吉川実里