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2015.10.25
剣道

[剣道]相方と共に挑んだ最初で最後の大舞台

第63回全日本学生剣道優勝大会
10月25日(日)日本武道館

[試合結果]
1回戦 東洋大2-3愛知学院大

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岩橋主将は圧巻の2本勝ちを決め引退を迎えた


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下級生の頃から活躍する石山は、最後も堂々とした試合を披露した


 11年連続出場の全国の常連・愛知学院大との対戦は2対3で惜敗。早い段階で決着をつけられる展開となり、レベルの高さを痛感する大会となった。


 相手を全く寄せ付けなかった。「大将として主将としてやっぱり最後は勝ちで締めなければいけないと思っていた」。大将戦に登場した岩橋主将(法4=東福岡)が面に続けて最後は鮮やかに胴を決め勝負あり。チームとしては悔しい初戦敗退となったが、引退試合で4年生が力を存分に発揮した。

 引き分けに終わった三将・青木(ラ2=市立川口)は思わず天を仰いだ。三将戦を終え3敗2分と、その時点ですでに敗退が決定。それは4年生にとって、大学生活最後の試合となることを意味した。沈んだ空気が流れる中、その4年生が最後に意地を見せた。「自分のいいところを出そう」と副将・石山(法4=佐久長聖)は立ち合いから積極的に攻め込むと、連続で面を奪って大将戦につないだ。

 同期は一番の理解者。入部当初は7人いた同期も、3年になる頃には石山ただ一人になっていた。4年になると主将に就任。最初はチームにまとまりがなく、目標にしているところもバラバラで悩める日々が続いた。そんなとき相談に乗ってくれたのは石山だった。「石山がいなかったら自分はここまで続けてこられていない」。最高のパートナーと二人三脚でチームを支え続けた。そんな彼らに板原監督は「4年生の2人がいいチームをつくってくれた。すごく感謝している」と労いの言葉を送った。

 今大会で引退を迎えた4年生2人。「1年生のときからずっと一緒に試合に出ている岩橋と最後にこの舞台に立てて良かった」。全国で1勝をつかむことはできなかったが、2人にとって4年間の集大成にふさわしい幕切れとなったのではないだろうか。「東洋大に来て良かったです」と岩橋主将。その表情は達成感に満ちあふれていた。


■コメント

・板原監督

自分たちのチームワークのよさをもう少し出せたら良かった。4年生は信頼しているので後ろに回せば何とでもなると思っていた。それができなかったのが残念。4年生の2人がいいチームをつくってくれた。すごく感謝している。ありがとうと言いたい。3年生以下の選手も頑張っているので、同じくらい力をつけてもらいたい。まずは次の新人戦で優勝できるよう頑張ります。

 

・岩橋主将(法4=東福岡)

とても楽しかった。試合前は監督から思い切っていけと言われた。もう負けは決まっていたが自分にとっては最後の試合だし、大将として主将としてやっぱり最後は勝ちで締めなければいけないと思っていた。きついこともあったけど楽しいこともあったので4年間続けてこられた。最後に全日本にも出られたし、個人としては勝てて良かった。自分は辞めたいと思ったことはない。試合に出ることが楽しかったので。石山がいなかったら自分はここまで続けてこられていない。いろいろ話も聞いてくれた。強いところでやるより強いところに勝ちたかったので東洋大を選んだ。東洋大に来て良かったです。自分によく頑張りましたと言いたい。自分はたった2人で引っ張てきていい経験になったので、後輩たちにも自分たちが引っ張って、自分たちが結果を残すつもりで頑張ってもらいたい。

 

・石山(法4=佐久長聖)

高校時代に個人でも団体でも全国出場経験があるので、特に緊張といったことはなかった。(チームの勝敗が決まっての出番だったが)逆にこの1試合しかないと、自分のいいところを出そうと思った。自分の得意とするところが出て、のびのびとできた。岩橋はすごく大きな存在。ぼくには歯が立たない。自分より強いと思う相手が今まではいなかったので、切磋琢磨できる環境はとても良かった。彼はもともとストイックに自分のことをやる選手だったが、周りのことを考えられるようになり主将らしくなった。4年間は悪くなかったかなって。きついところもあったけど、最後にこんな経験もできて楽しかった。1年生のときからずっと一緒に試合に出ている岩橋と最後にこの舞台に立てて良かった。


TEXT=枦愛子 PHOTO=浜浦日向