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勝負の秋がやってきた。いよいよ、ステファン・ヴァハフォラウ主将(総4=札幌山の手)が率いる『Navy Warriors』の秋シーズンが幕を開ける。初戦の相手は昨年同リーグ6位の日大。舞台は本拠地・東洋大学川越ラグビーグラウンドだ。
ステファン・ヴァハフォラウ
春は対抗戦チーム相手に大敗を喫し、悔しさを味わった東洋大。しかし、その中で「自信を持てば張り合える」という手応えを得た。夏の菅平合宿ではその感覚をさらに磨き上げ、ラックスピードやラインアウト、ハイパント処理といった細部も徹底。加えて、声を掛け合いながら一体感を高めたことで、チームには確かな自信が芽生えている。
汗と声で培ったその自信は、秋の公式戦でどんな形で表れるのか──。その答えが明日、川越の芝に刻まれる。
実戦復帰した天羽
今節の注目は4年のCTB天羽進亮(済4=城東)。2年時から先発の座を射止め、攻守ともに貢献度が高い副主将だ。春シーズンはけがにより戦列を離れており、夏の菅平合宿での筑波大との練習試合で実戦復帰を果たした。
これまではSOでチームを動かす役割を担うことが多かったが、今節はCTBで先発出場。司令塔としての豊富な経験を持つ天羽の存在は、攻守両面で大きなポイントとなる。
一方で、今節のSOには同じく4年の林星安(総4=目黒学院)が名を連ねた。彼の武器は、正確なキックでエリアを支配する力。高いコントロール力は以前から光っていたが、出場機会にはなかなか恵まれず、Cチームで試行錯誤を重ねる日々が続いていた。
その積み重ねがようやく形となり、ここにきて大きな安心感をチームにもたらしている。大学ラストシーズンでつかんだ司令塔のポジションで、どんな開花を見せるか注目だ。
対する日大は、伝統的なFWの強さを土台に戦うプレースタイルが特徴的。春季交流大会では成蹊大に勝利を収めた一方で黒星も多く、課題が残る結果となった。しかし、FW陣を中心に展開する力強いプレーは健在。今年度掲げるチームスローガン「Dominate」の通り、試合・マインド・日常のすべてで主導権を握る姿勢がチーム全体に浸透している。夏を越えて一段と力をつけている可能性が大きく、東洋大としてはこのFWにいかに対抗し、相手を揺さぶれるかが勝敗のカギを握りそうだ。
ここからは、これまで積み上げてきた努力を証明する舞台だ。仲間と肩を並べ、声を掛け合い、グラウンドに立つ一瞬一瞬が勝負の刻。
川越で鳴り響くホーンは、単なる試合開始の合図ではなく、鉄紺が切り拓くリーグ戦初優勝への道の幕開けを告げる音になる。
まずはホームでの白星を、そしてこの秋、チーム全員で新たな伝説を刻みにいく。
TEXT/PHOTO=北川未藍