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第93回全国学生相撲選手権大会(以下、インカレ)が7日、大阪・堺で開幕する。2年ぶりの団体戦覇権奪回へ。決戦のときがいよいよ迫ってきた。大舞台を前に、選手たちの声を6日間にわたってお届けする。
第91回大会で11年ぶり3度目の団体戦優勝。後列一番左が中出コーチ(平成25年11月3日撮影)
第5日目は中出雄真コーチ(H25年度法卒=東洋大職員)。前回優勝時の主将は、現在コーチとして後進の指導にあたっている。頂点をつかんだ男は今のチームをどう感じ、後輩たちとどう接しているのか。そして、インカレという大会の「重み」とは。経験者のみぞ知る思いに迫った。(取材日=10月21日、聞き手=伊藤拓巳)
――今のチームの雰囲気はどうですか。
インカレが近くなって、ようやく全員が自覚してきたのかな。それを醸し出しているのは、監督と我々コーチはそうなんですけど、太田主将(ラ4=飛龍)が一番意識している。それが学生全体にようやく伝わり始めた。
――今ようやくという形ですか。
1年生が主体的なチーム。1年生がインカレ初経験で、その経験が浅いのをどう伝えていくか。中途半端な気持ちでは勝てない、今までの大会のつもりでいくと勝てないんだよというのをどう伝えていこうかと思っている。高校での実績はあるが、大学で一番大きな試合、一番重要な試合で戦えるだけの経験はあるかというと、まだ不安な点はあります。
――注目する選手は。
やっぱり先鋒の村田(法3=金沢市工)ですかね。彼が先鋒で1点取らないとうちのチームはエンジンが掛からない。そこでこけると後ろもバタバタバタといってしまう。
――村田は1年生のときから出場しています。
一流ではありますよね。昔からずっと出ている訳ですから。優勝したときも村田が取ってくれた。大阪で優勝して、2年後に3年生になって、さらに強くなって帰ってきた。そういうイメージです。でも、調子乗るとすぐ足元すくわれるタイプなので、そこは要注意です。それは我々次第ですかね(笑)
――前回優勝したときには中出さんが主将でした。優勝できた要因とは何でしょうか、
そのときの主軸が私と芳賀(H25年度法卒=東洋大職員)、そして大道(H26年度法卒=出羽海部屋・御嶽海関)。この3本柱だった。この3人で3点取っていこうという作戦。ここに村田がその日だけ加わった。前日の個人戦で1年生でベスト8に入って、そのままの調子で次の日の団体戦もきてくれた。急に3本柱が4本柱になった。もう負ける気はしないですよね。あの日、東洋大が優勝できた一番の要因だった。
――中出主将にとって、インカレというのはどういう大会でしたか。
一番重いですし、優勝したのは11年ぶりだった。4年生がインカレにかける思いはとてつもないんですよ。それを11年分背負っていると思ったら、とても耐え切れない。そういう見えない、重いプレッシャーがある大会だとは思いましたね。11年間優勝できなかった先輩たちに「ありがとう」と言われるぐらい。そのぐらいの大会。
――芳賀さんも現在コーチを務めていますが、お二人はコーチとしてどういったことを教えていますか。
優秀な子が揃っているので教えることはほとんどない。練習相手として、いてあげているだけ。どう試合で勝っていくかというノウハウは高校時代までに培われていますから。今さら我々が教えることはないので、それぞれのモチベーションを高めるための練習相手。学生より強いコーチがいるということがあの子たちの刺激になるし、じゃあコーチが強くなろうと。コーチと学生という立場ではあるが、切磋琢磨しているのかな。
――今回はどういった戦いになるでしょうか。
勝つも負けるも1年生次第と思ったんですけど、よくよく考えたら4年生かな。下に強い後輩がいて、どれだけ4年生が意地を見せられるか。二陣の岡田(法4=金沢市工)と中堅の主将、太田。その二人がどれだけやれるか。予選でコロコロ負けて交代させられているようじゃ、絶対チームは優勝できない。(優勝したときも)調子は良くなかったですよ。(東日本)リーグ戦で負けたり、主に僕が負けてみたりね(笑)インカレまで負けが続いていたので、ボロボロに練習で怒られていたんですけど。でも、ボロボロになるくらいやれば優勝できるというのを今の3、4年生は知っている。そこだけは強みかなと思います。
――インカレへ向けて、意気込みをお願いします。
学生の代わりに土俵の上に立って相手と戦える訳ではないので、学生が力を出せるような状態にしてあげるのが私の役目。それができたらいいなと思います。
◇中出雄真(なかで・ゆうま)
1991年5月22日、石川県加賀市生まれ。金沢市立工業高から東洋大学。平成25年度法学部卒業後、東洋大学職員となると同時に相撲部コーチに就任。現在は「東洋大学職員チーム」所属の選手として社会人大会に出場している。
▽趣味:食べ歩き
▽好きな食べ物:おでん(大根、たまご、はんぺん)
▽インカレへの意気込み:必勝
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6日間連載企画 インカレ直前独占インタビュー
明日、最終日は主将・太田雅章選手のインタビューをお届けします。