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2025.09.25
硬式野球

[硬式野球] 島田9回2失点の力投に政所5年ぶりの一発、池田の主将弾で応戦も延長で散る 開幕3連敗から「絶対に負けられない」明日へ/國學大1回戦

[硬式野球]東都大学野球 秋季1部リーグ戦・國學大1回戦

9月24日(水)明治神宮野球場

●東洋大2ー3x國學大


10
東洋大
國學大1x3x


島田、向髙ー政所


本塁打:政所1号(六回表ソロ)、池田2号(九回表ソロ)

二塁打:宮下(六回表)


・打者成績

打順守備名前打数安打得点打点
(遊)宮下朝陽(総4=北海)

(三)池田彪我(営4=三重)
(中)山内教輔(総2=東海大相模)



打→左山田隼(総3=木更津総合)


(右)花田旭(総4=大阪桐蔭)


(一)髙中一樹(総2=聖光学院)


(左)→中秋元俊太(済4=木更津総合)


(指)金丸健司(営3=上尾)



打→指金刺武蔵(営2=横浜)


(捕)政所蒼太(営4=天理)
(二)吉田元(営4=龍谷大平安)




34


・投手成績

勝敗名前回数球数被安打四死球三振失点自責点

島田舜也(総4=木更津総合)112
向髙滉人(営4=報徳学園)0 1/3

 開幕カードを2連敗で落としてから1週間。東洋大は舞台を神宮球場に移して、國學大との負けられない一戦に挑んだ。東洋大の先発は島田(総4=木更津総合)。対する國學大の先発は當山だ。両者ともエースナンバー「18」を背負い、互いに一歩も譲らない力投で球場を沸かせた。島田は9回2失点、7奪三振と今年1番のピッチングを披露。一方、打線は政所(営4=天理)の実に公式戦5年ぶりとなる大学初本塁打、そして主将・池田(営4=三重)の完璧な本塁打の一発攻勢で立ち向かうも、チャンスで1本が出ず、延長タイブレークでサヨナラ負けを喫(きっ)した。


 初回の島田の立ち上がり。先頭打者を3ボールとカウントを悪くするも、左飛に打ち取る。その後はストライク先行でスリーアウト。落ち着いた投球で上位打線を抑え、安堵の表情を浮かべた。

 三回裏、先頭にストレートの四球を与え、この試合初めて出塁を許した。相手は先制のため送りバントの構えをするも、冷静に投げ込み捕飛に打ち取る。その後盗塁を決められ、1死二塁とされた。しかし、変化球を駆使して二者連続三振。島田は三回まで無安打ピッチングを見せた。

 五回裏、投手戦を続けていた試合がついに動いた。先頭の渡辺(國學大)に初球を捉えられ、右翼フェンス際へのソロ本塁打を打たれ先制を許した。島田は「入りを少し気が抜けてしまった」と後悔の残る一球となってしまった。しかし、ここで崩れないのが島田だ。四球を与えるもまたも二者連続三振で追加点を許さなかった。


大学初本塁打を放った政所 


 六回の攻撃前。「絶対点取るよ!」という主将・池田の掛け声が球場に響き渡っていた。

 まずは1点。先頭はここまで島田をリードし続けている政所だ。ボール球をしっかりと見極めた4球目。エース・當山の直球を捉えた。打球はどんどん伸びて左翼フェンスを越え、本塁打!政所自身も少し驚きを見せながらダイヤモンドを一周。笑顔でベンチに戻り、チームに活気を取り戻した。公式戦の本塁打は高校2年の秋に放って以来の実に5年ぶり。試合後のインタビューでは「応援に来ている親にホームランボールを渡したい」と両親への感謝とともに喜びをにじませていた。このまま勢いに乗りたい東洋大は1死から宮下(総4=北海)がフェンス直撃の二塁打で続き、得点圏に走者を置くことに成功。その後、池田の一ゴロの間に三塁へ進塁しチャンスメイク。ここで山内(総2=東海大相模)に代わり山田(総3=木更津総合)が打席へ。初球から積極的に振っていくも相手のショートの好守備に阻まれ逆転とはならず。同点止まりとなった。


フェンス直撃の二塁打を放った宮下


 八回裏、安打と犠打で1死二塁のピンチ。ここで井上監督がマウンドに向かい、内野手を集めた。監督からの声掛けに東洋大ナインが再び引き締まった。その直後、一塁・髙中が好プレーを見せる。代打・黒木(國學大)の勢いのある打球を一直に抑えた。しかし、その後意表をつかれ三盗をきめられる。この時、國學大の落合が足を攣ってしまった。ここで冨安(営3=履正社)がすかさず駆けつけ、ドリンクを渡す。真剣勝負の中でも相手選手への思いやりを忘れないフェアプレーに球場が和んだ。その後、三塁に走者を置いたピンチも遊飛に打ち取りスリーアウト。ここまで冷静な表情を見せていた島田、そして池田が吼えた。


九回、完璧な本塁打を放った池田


 九回表、どうにか國學大のエース當山を打ち崩したい東洋大。先頭の宮下が積極的に初球から振っていくもフェンスギリギリの右飛に。そして、バッターボックスにはこの夏、長打率をあげてきた池田。「後ろにつなぐ」意識で打席に入った。そして、當山のスライダーを完璧に捉えた打球は打った瞬間確信の本塁打。今季2本目の本塁打に球場が盛り上がりを見せた。そして何よりここまで100球を超えながらもマウンドに立ち続けていた島田の力投に応えた。


9回2失点と好投を見せた先発の島田


 1点リードで九回のマウンドにも島田が向かう。このまま逃げ切りたい東洋大だが、國學大・緒方に初球を左翼席まで運ばれ、同点とされてしまった。この一球を島田は「厳しいところに投げすぎないという意識が甘くなってしまった」とストライク先行の積極的な投球を心がけていたが故の一球となった。その後安打で出塁を許すもバントをさせず、三振とする。そして、1死一塁で5番・中西(國學大)の打席。ここで一塁・髙中(総2=聖光学院)が上手く捕球し、すぐさま二塁へ送球。この好プレーが併殺打となり、逆転は許さなかった。

 そして試合は延長タイブレークへ。一塁に髙中、二塁に花田(総4=大阪桐蔭)をおき、打席には秋元(総4=木更津総合)が向かった。まずは1点を取りたい東洋大は送りバントの構え。そして息を殺した打球は投手と三塁手の間へ。打球を取った投手が送球を迷っているうちに秋元は一塁へ全力疾走。これがセーフとなり、無死満塁のチャンスに球場もこの日一番の盛り上がりを見せた。しかし、その後後続がつなぐことができずまさかの無得点。苦しい状況で十回の守備へつくこととなった。


延長十回、タイブレークで登板した向髙


 1点も取られてはいけないマウンドを託されたのは向髙(営4=報徳学園)だ。犠打を決められ1死二、三塁。そして打席には國學大の落合。初球を上手く打たせ、高くバウンドした打球は遊撃手の宮下のもとへ。しかし、スタートを切っていた三塁走者が一気にホームへ駆け抜けたため、捕球した時点で投げることができなかった。これがサヨナラの一打となり2対3で試合終了。無死満塁のチャンスを生かせなかったことが敗戦につながってしまった。

 これで東洋大は開幕から3連敗。「もう絶対に負けられない」試合後の選手のまなざしには明日の勝利へ強い意志がにじんでいた。まずは秋季リーグ「1勝」を全力で取りに行く。


TEXT=山本華子 PHOTO=福田和奏


■コメント

・井上監督

ーー九回まで島田さんでいきましたが

このゲームの流れでいったら変えられないでしょう。もうだいぶへばっていましたからね。(延長十一回に)島田がいっていても、結果は同じだったと思いますよ。


ーー開幕は2戦目で先発、今回は1戦目というのは状態は上がってきている?

まあ上がってきてるんじゃないですかね。


ーー島田さんの今日良かったところは

真っ直ぐもそこそこ走ってましたし、意外とストライクゾーンにまとまって投げていたので。ちゃんとストライクゾーンに投げれば基本打たれないので。結局、打たれている時はファーボールが多くて。打たれて点を取られているわけじゃないので。自滅ですよね、結局は。でも今日はね、しょうがないですよ。本当に野手が不甲斐ないです。涙が出るまでバット振った方がいいです。



・島田舜也(総4=木更津総合)

ーー今日は九回まで投げられて、どういう点が良かったか、どのように状態が上がってきているのかを教えてください

今日は結果的には負けてしまったんですけど、前回は狙い球を絞られやすい配球の仕方だったんですけど、今回は試合をやっていくにつれて前の打席の内容とか打ち取り方やどの球で打ち取ったかっていうのを1打席ずつ毎回終わったら確認という作業をしてその中で配球をうまく変えてやっていました。ホームランを打たれてしまったんですけど、こういうロースコアで試合を進めていけた点は前の試合から考えて野球できるようになったと思います。


ーー監督が今日の島田選手はストライクが前よりも走っている、ストライクゾーンにしっかり投げられているとおっしゃっていましたが

悪いカウントもあったんですけど、真っ直ぐ、変化球を問わずに基本ストライク先行でいけることができました。今日は真っ直ぐ自体が少し本調子ではなくて、ストレートは見せ玉みたいな感じで変化球中心で組んでいった配球の形で今日はそれがうまくはまったという感じです。


ーーリーグ開幕前は怪我もあったと思いますが改めてご自身の一番いいところ、勝負できる信用している球、アピールポイントは

今日の失点もホームランだけで、得点圏にランナーを進めた時、三振を取りたい時にギアを一つ上げて、三振が取れるというところが自分の強みでもありますし、基本試合を作るのが先発の仕事なのでそういうところの仕事もしっかりこなせるようになってきたのは自分の強みとしていいと思います。


ーーもし勝負できる球を1個あげるとしたら

日によって違うんですけど今日の場合はスプリットがすごく良かったので空振りや三振も取れていて、カウント玉としても使えていたので今日はスプリットが良かったです。


ーー特にストレートにこだわりを持っているとかそういうわけではない?

いやこだわりはありますけど、今日のストレートが走っていなかったという状況だったので、その中でスプリットを選んで試合で使っていったという形です。


ーー球種は何球種持っている?

ストレートとカーブとチェンジアップとスライダーとスプリットとフォークです。


ーードラフトを1ヶ月後に控え、その辺りの思いは

ドラフトに関しては春を意識して自分のピッチングがうまくできてなかったので、今はドラフトのことを一切考えていないというわけではないですけど、試合中はなるべく考えないようにして、その試合をシンプルに楽しむということを大きなテーマとしてやっています。


ーー最終的な目標は

今、負けが続いているんですけど、その中で自力優勝というのは難しくなってきたというチーム状況であるんですけど、その中でも勝ってチャンスがあれば狙っていきたいです。ドラフトはもちろん1位を目指してます。その1位になるピッチャーとしてふさわしい投球もこれから心がけてやっていきたいと思ってます。


ーー前回の登板から、一番修正してきたポイントは

配球ですかね。先週の駒澤戦は、真っ直ぐ一辺倒の配球になって、狙い球絞られてしまい、体力がなくなってきたところの真っ直ぐを捉えられてという終わり方だったので、今日は変化球を混ぜて、球を絞られないような配球を心がけてやっていました。


ーー秋に向けてやってきたことは、今日出せた?

出せたと思います。変化球の精度や各球種の精度を求めてやってきていて、全ての球種で勝負できるというのを練習してきたので、それは良くなっていると思います。


ーーホームランは2本とも見る方としてもったいなかったかのように見えるんですが、自身の反省点はありますか

1本目のホームランは先頭の初球の入りで少し気が抜けていたというか、入りが甘かったなと終わってみればの感覚で。九回のホームランは、入る前に厳しく構えすぎてもボール先行になってカウントを悪くするだけなので、真ん中付近でカウントをよくしようとキャッチャーと話して、厳しいところに投げすぎないという意識が甘くなってしまいました。気が抜けていたわけではないんですけど、厳しく投げないという思いが逆にああいう形になったと思います。


・政所蒼太(営4=天理)

ーー今日の試合を振り返っていかがですか

序盤から低めの変化球を振ってしまっていたので、打線がつながらなかったかなと思います。


ーー大学初本塁打?

はいそうです。


ーー公式戦での本塁打はいつぶりですか

高校2年の秋ぶりです。


ーー本塁打を放った1打席を振り返っていかがですか

低めの変化球を見逃すことができて、真っ直ぐきたボールが上手くあたったという感じです。


ーー打った打球は

真っ直ぐです。


ーー打った瞬間確信のあたりでしたか

全然、思わなかったです。


ーー本塁打ボールはどうしますか

親が来ているので、親に渡そうと思います。


ーー今日の島田さんの投球はいかがでしたか

前回から2人で話し合って配球も変えてました。ホームランを2本打たれたんですけど、内容的にはめちゃくちゃ良かったと思います。


ーー明日の第2戦に向けて意気込みをお願いします

もう負けられないので、絶対に勝てるようにチーム一丸となって頑張ります。


・池田彪我(営4=三重)

ーー今日の試合を振り返っていかがですか

先制された次の回に返せたので、その点に関しては良かったんですけど、最終回の入りが甘くなってしまったので、そこを全員で集中して入っていければなと思います。


ーーこの1週間で取り組んだことや、主将としてチームにかけた言葉は

バッティングが前の週に打てなかったのでそこの取り組みをしたんですけど、今日もなかなか結びつかなかったので、もう一回全員でミーティングしてやっていければなと思います。


ーーあの九回の1打席を振り返っていかがですか

後ろにバッターがいたので、自分がホームランというよりかは、つないでつないでという気持ちで打席に入りました。


ーー打った打球は何ですか

スライダーです。


ーー打った瞬間確信のあたりでしたか

角度が良かったので入ったかなと思いました。


ーー明日の第2戦に向けて意気込みをお願いします

もう負けられない試合が続くので、勝てるように頑張ります。