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2025.10.12
硬式野球

[硬式野球] 宮下が待望の一発、島田の快投も報われず敗戦  連敗脱出へ「4年生で勝ちに行く」/亜大1回戦

[硬式野球]東都大学野球 秋季1部リーグ戦・亜細亜大1回戦

10月7日(火)明治神宮野球場

●東洋大1ー6亜細亜大


1011
亜細亜大
東洋大


島田、石澤、向髙、伊藤ー政所


本塁打:宮下(四回)

二塁打:花田(九回)


・打者成績

打順守備名前打数安打得点打点
(三)池田彪我(営4=三重)
(指)高山亮太(総2=三重)

打→指金刺武蔵(営2=横浜)

打→指馬場涼輔(総3=九州学院)
(右)山田隼(総3=木更津総合)
(一)髙中一樹(総2=聖光学院)
(遊)宮下朝陽(総4=北海)
(中)花田旭(総4=大阪桐蔭)
(左)金丸健司(営3=上尾)

打→左秋元俊太(済4=木更津総合)
(捕)政所蒼太(営4=天理)

山内教輔(総2=東海大相模)
(二)吉田元(営4=龍谷大平安)


34


・投手成績

勝敗名前回数球数被安打四死球三振失点自責点

島田舜也(総4=木更津総合)96

石澤順平(総1=木更津総合)1/3
向髙滉人(営4=報徳学園)3 1/345

伊藤充輝(総2=浦和学院)1/316


7回3安打無失点と快投した島田

待望のソロ本塁打を放った宮下

2ストライクから冷静に犠打を決めた吉田

ハイタッチを交わす向髙と池田


  エース・島田(総4=木更津総合)が7回3安打無失点と、先発として申し分ない投球を見せ、宮下(総4=北海)のソロ本塁打で一時リードした東洋大。しかし、八回表に1点を返され、そのままタイブレークへ持ち込まれた。延長十回を0点に抑え、その裏に無死満塁という絶好のチャンスを迎えるもあと1本が出ず。島田の力投と継投で亜細亜大打線を1点に抑えてきたが、十一回表に糸が切れたように連打を浴び、5点を失い万事休す。國學大戦から3戦連続のタイブレークでの敗戦となった。


  三回裏。8番・政所(営4=天理)が中安打を放つと、吉田(営4=龍谷大平安)が2ストライクに追い込まれるも落ち着いて犠打を決める。続く池田(営4=三重)も四球を選び出塁する。2番・高山(総2=三重)は空振り三振に倒れるも、相手の暴投、そして3番・山田(総3=木更津総合)が四球が選び、2死満塁。先制のチャンスで打席を迎えたのは、髙中(総2=聖光学院)だ。チャンスを物にし4番としての仕事を果たしたいところだが、捕邪飛に倒れスリーアウト。チャンスを生かすことが出来なかった。


  四回裏の攻撃、宮下に待望の1本が出た。齋藤(亜大)が投じた外角へのストレートを捉えた打球は、そのまま右翼スタンドへ。宮下にとっては、これが1部リーグでの初ホームランとなった。


  試合も終盤に差し掛かった七回表。先頭打者に右安打を許すと、犠打を決められ1死二塁と得点圏に走者を置かれてしまう。しかし、島田は続く打者を左飛と二ゴロに抑え、ガッツポーズをし雄叫びを上げた。走者を出しても本塁は絶対に踏ませない力強い投球は、チームの士気を高めた。


  八回表、これまで完璧な投球で亜大打線を0点に抑えてきた島田がマウンドを降り、2番手はルーキー・石澤(総1=木更津総合)に引き継いだ。石澤は立ち上がり、先頭打者にいきなり死球を与え、出塁を許す。その後、犠打と左安打で1死一、三塁のピンチを背負い、指揮官は素早く投手交代を決断。向髙(営4=報徳学園)がマウンドを託された。石澤は苦い表情を浮かべてベンチへ戻って行った。向髙は的場(亜大)を三ゴロに打ち取ったが、その間に三塁走者が生還し1点を献上。続く打者を一邪飛に抑え最小失点でこのピンチを切り抜けたものの、試合は振り出しに戻った。


  九回に点は入らず、試合の決着は延長タイブレークにもつれ込んだ。十回表を0点に抑えて迎えた、その裏の攻撃。代打に送られた馬場(総3=九州学院)が死球を受け、無死満塁のチャンスをつかんだ。ベンチは盛り上がりを見せ、サヨナラへの期待が高まる。しかし、山田、髙中と立て続けに三振に倒れ2死。1打出ればサヨナラの場面で、打席には四回に本塁打を放っている宮下。粘り強く比嘉(亜大)が投じた球に食らいつくも、バットは空を切り、悪夢の三者連続三振。宮下は、「ホームランが打ててもここで打てなければ意味がない」と悔しさをにじませた。


  延長十一回表、流れは完全に亜大へ。犠打と申告敬遠で無死満塁というピンチ。ここで指揮官はマウンドへ行き、向髙に続投の意思を問う。「大丈夫です」と続投を決意した向髙であったが、上原口(亜大)に押し出しの四球を与え、1点を失った。ここから亜大打線が襲いかかる。4番手の伊藤(総2=浦和学院)が、走者一掃の適時三塁打と左適時打を浴び、4失点。この回一気に5点を失った。


  その裏。もう後がない東洋大は、打線をつないで何とか意地を見せたいところ。しかし、花田(総4=大阪桐蔭)、秋元(済4=木更津総合)が連続して空振り三振に倒れた。ここで打席には、代打・山内(総2=東海大相模)が送られた。打球は右翼線に打ち上がり、結果は右飛でスリーアウト。3時間33分の激闘の末、敗戦した。


   國學大戦から3戦連続のタイブレークでの敗戦となり、これで開幕から5連敗。井上監督は、「持っているものがあっても発揮できなければ意味が無い」と語る。選手それぞれが持っている実力を発揮することが、まずは一勝をつかみ取るためのカギとなるのかもしれない。連敗という長いトンネルを脱し、巻き返しを図ることができるのか。選手たちの奮起に期待したい。


TEXT=佐藤結芽、PHOTO=高梨美遼


◇コメント

・井上監督

ーー試合展開を振り返っていかがでしょうか

やっぱりずっと打てないというところがね。観ている人は分かると思いますけど、ノーアウト満塁で点が入らないんですから話にならないというか、どうしようもないですよね。


ーー終盤の攻撃であと1本が出なかったが

そうですよね。


ー九回で点を取れず、十回のタイブレークの時にアドバイス等はしたのか

いえいえ。今日は試合前に短く持っていこうよと、追い込まれたらさらに短く持って引っ付いていこうと、その結果打てなかったらしょうがないと言いました。でもやっていないですよね、はっきり言って。だからこういう結果になるんですよ。


ーー十回の無死満塁をものにできなかったということは、監督としてどう受け止めているか

選手のせいにするわけじゃないですけど、当然私の甘さもあります。ただ甘すぎますよね。じゃあどんな場面だったら打てるのっていう話ですよ。


ーー明日も亜細亜大学との対戦が続きますが、明日に向けて打撃面の改善は

改善は選手がすることなので。でも、改善なんてしたってすぐに良くなるわけではありませんから。気持ちだと思いますよ。気持ちと考え方だと思います。


ーータイブレークで負け続けているが、その点はチームとして戦いにくいのか

お互い条件は一緒なので、要は気持ちが弱い奴が多いっていうだけの話だと思いますよ。


ーー十一回の満塁のところは、向髙投手には何を伝えたのか

左バッターだったので、嫌だったら替えるよ、投げにくかったら替えるよと言ったんですが、いや大丈夫ですと。替えた方がよかったですよね。


ーー島田投手の継投を決断したタイミングの意図は

島田が無理ですと言ったんです。しょうがないですよ。


ーー宮下選手はすごいものを持っているのか

持っているだけでは意味がないので、出さなければ。持っているのは誰でも持っていますよ。それを発揮できるかどうかがすごい選手かすごくない選手かの違いだと思いますよ。


・宮下朝陽(総4=北海)

ーーホームランの場面を振り返って

1打席目のバントでしっかりボールを見れたので、それが次につながりました。


ーー打った球種は

外の真っ直ぐです。


ーー打った瞬間確信のあたりでしたか

右方向を狙ってその通りに打てたので、ギリギリ入るかなと思いました。


ーー十回の満塁の場面、ご自身も空振り三振で三者連続三振という結果に終わりましたが、その点は

ホームラン打ってもあそこで打てないと意味がないので、何とかしたかったです。


ーー1部では初ホームランだと思いますが、自分らしいバッティングができてきたのか

そうですね。この秋の紅白戦で右方向に打てていたので、そのまま試合でできたというのはよかったなと思います。


ーードラフトにかける思いは

自分のことをやればチームが勝てるというのはあるので、まずは自分のことをしっかりとやって、その結果がチームに貢献して勝って、その次のステップに行けると思っているので、ドラフトがどうとかは特に意識していないです。


ーー今まで怪我が多かったが、その経過は

去年の7月に右肘の手術をして、今年4月のリーグ戦1週間前に左足のハムストリングを肉離れして、2節目でもう1度肉離れをしました。


ーー2年生の時に日本代表に選ばれたが、西川選手や宗山選手から学んだことは

渡部聖弥さん(埼玉西武ライオンズ)には結構連絡をして、バッティングを教えてもらっています。


ーー渡部選手からバッティングで1番勉強になったことは

真っ直ぐを入れすぎずに前で打つということです。身体の中に入れてしまうと刺されてしまうので、ポイントの話をしてもらいました。


ーー今日のホームランもその意識だったのか

今日は右に打とうと決めていたので、それがたまたまいいところに来たので結果がそうなったというだけです。


ーー逆方向を狙うという意図は

右にもホームランがオープン戦で出ていて、打てるという自信があるので、ボールをしっかりと長く見て右方向に打つという風に思っています。


ーー右方向に打てるときが自分が調子がいい時なのか

右にフライが上がれば、いい状態というのはあります。


ーーチームがきつい状態ですが、どのような活躍でチームを浮上させたいですか

前半戦全然活躍できていないので、後半取り返さないと後輩たちに迷惑がかかるので、4年生で勝ちに行きたいと思います。