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2025.10.30
硬式野球

[硬式野球]宮下朝陽 横浜DeNAベイスターズから3位指名!信念「百折不撓」でプロの世界へ

「百折不撓」の文字を掲げる宮下

落ち着いた表情で会見に臨んだ

喜びを分かち合う宮下兄弟

指名直後の様子

 ついにプロの舞台へ。10月23日、プロ野球ドラフト会議(以下、ドラフト会議)が行われ、横浜DeNAベイスターズが第3巡目指名で宮下朝陽(総4=北海)の交渉権を獲得した。指名の瞬間、宮下は両手をあげて喜び、その目にはうれし涙が浮かんでいた。チームメイトからは「宮下コール」が沸き起こり、会場は祝福の空気に包まれた。そして最後に宮下のもとに駆け寄ったのは弟の宮下温人(済1=北海)だ。二人は喜びを嚙みしめながら熱く抱き合い、夢の瞬間を分かち合った。


 宮下が野球をはじめたのは小学2年生のとき。札幌ドームで見た北海道日本ハムの試合がきっかけだった。東洋大学入学後は1年春からセカンドのレギュラーに定着し、専修大戦ではサイクルヒットを達成。2部ながらもベストナイン、新人賞を受賞し、幸先よく大学野球をスタートさせた。2年の時にはただ一人2年生として大学日本代表に選出されるなど、才覚を現した。


 しかし、3年次以降はけがに悩まされ、思うように結果を残せない時期が続いた。宮下は「入学したころは、自分の思い通りに結果を出せていたが、3年生からは怪我が増え、試合にもあまり出られず、今年も怪我や結果に苦しんだ。この大学4年間の経験を次のステップに生かしたい」と振り返り、そんな中でも起用し続けてくれた井上監督への感謝の言葉も口にした。


 横浜DeNAベイスターズには、2学年上の東洋大の先輩・石上さん(令6卒=営)が在籍している。宮下は「石上さんともう一度プレーできるのはうれしい」と笑顔を見せ、「ガッツがあって雰囲気の良いチーム。プレーするのが楽しみ」と胸を躍らせた。


 宮下の手には「百折不撓」の文字が刻まれた色紙がある。北海高校時代から大切にしてきた「何回苦しいことがあっても立ち向かう」という信念を示す言葉だ。プロの世界でも、困難に直面することはきっとあるだろう。それでもこの言葉のように、何度でも立ち上がり、強い心で挑み続けてほしい。困難を乗り越えてきた宮下なら、その先にしか見えない景色をきっとつかみ取るだろう。


TEXT=山本華子


◇会見

ーー改めて指名された時の率直な気持ちは

正直、こんな早くに呼ばれるとは自分の中で思っていなかったので、呼ばれた瞬間、今まで目標としてやってきたプロ野球選手という夢が1つ叶い、素直にうれしいです。


ーー先ほどDeNAの2位指名で島田舜也(総4=木更津総合)選手が呼ばれましたが、その瞬間はどのような気持ちで

自分たちのなかでは1位指名されると思っていた選手だったので早くに呼ばれるとは予想していましたが、呼ばれて周りの選手も大きな声を出して喜んでいて、島田自身も地元でもあるのでその面でもいい形で行けることができたんじゃないかなと思います。


ーー島田選手と大学からプロへと同じチームでこれから歩んでいきますが、同じチームで指名されたことについては

知らない人と一緒に行くよりかは一緒に4年間やっている仲間とプロの世界でも一緒にプレーできるというのはすごくうれしいです。


――もし同じ試合に同時に出場することがあれば、島田選手をどんなバッティングで宮下選手が助けてあげたいか

この大学4年間で島田が投げている時に自分が活躍して勝たせてあげられた試合がなかったので、プロでは自分が活躍して島田を勝たせてあげられるようなバッティングだったり守備をして、東洋大学(コンビ)で勝ったという風に言われるようになりたいです。


――DeNAベイスターズのイメージは

2つ上の石上さんもいて、試合なども中継などで見ているので、その石上さんともう一度プレーできるというのはとてもうれしいことですし、チームのイメージとしてはガッツがあって、雰囲気が良く、気合があるイメージです。自分自身、そこまでプレーに対して感情を表に出すタイプではありませんが、そういった元気のあるチームに行くので、気持ちをプロ野球選手になってからはどんどん出していけたらいいかなと思います。


――東洋大学の4年間はどんな4年間だったか

はじめ入学したころは、結果も自分の思ったとおりにうまくいく大学生活でしたが、3年生のころからはけがが増えて試合にもなかなか出られず、この春、秋もけがが続いたり、結果が残せなかったりして悔しい気持ちではありました。悔しさを味わった分、この大学4年間の経験を次のステップに活かせるようにしたいです。


――プロ野球選手としての目標は

大学から入団するということは、即戦力で必要になってくる選手だと球団からも求められると思うので、1年目から1軍にいられる選手になれるように、まずはけがをしない体を作って、将来は日本代表の侍ジャパンに選ばれたいと思っているので、そのうえのレベルを目指して1年1年頑張っていきたいです。


――プロで目標にしているプロ野球選手ですとか憧れの選手は

バッティングなどを参考にしている選手は牧選手です。内野の二遊間を守れて長打のホームランを打てる選手は牧選手が自分の中で1番目に上がるので、牧選手と一緒にプレーできることが今後あると思いますが、しっかり見て聞いたりして自分のものに取り入れたいなと思ってます。


ーー若手選手の台頭が今季あって激戦区に飛び込むと思いますが、激戦区に飛び込むご自身の意気込みを気持ちを教えてください。

自信があるのが守備のスローイングなので、守備を守れないと試合には出れないと思うので、まずは守備をしっかり鍛えてたいと思います。自分よりレベルの高い選手がたくさんいるのでその人を見て吸収して追いつくのではなく、しっかり抜かせるような実力をつけたいなと思います。


◇囲み取材

ーー今の率直な気持ちをお願いします。

呼ばれた瞬間ホッとして、小学生の頃からずっと思ってきたプロ野球選手を今日達成できました。ここで満足せずに次、プロの世界で活躍することが大事になってくるので目標に向かって頑張りたいと思います。


ーーファンから呼ばれたいニックネームや愛称なども含め、目指したい選手像は

あこがれの選手は牧選手です。自分と同じ二遊間を守っていて、長打も打てて、ホームランも打てる選手なのでそういう選手になりたいなと思います。ニックネームは東洋ではあまりなかったのでファンの方につけていただければなと思います。


ーープロを意識し始めたのはいつからですか

野球を始めた時からずっと諦めることなくやってました。


ーー島田選手と宮下選手は横浜DeNAベイスターズとまた同じチームになりましたが、お互い一緒に試合に出たら、宮下選手はどういったバッテイングで島田選手を勝ちにつなげさせられるか

島田のピッチングはフォアボールが多いくて(笑)。自分だけがソロホームランを打っても点数足りないと思うので毎試合ホームラン打てるように。得点圏は1点だけではなく2点、3点と打てるように強いバッテイングしたいと思います。


――お互いだからこそ知っている弱点もあると思うが

結構マイペースな部分も彼はあります。自分だけじゃ勝てないというのはこの大学生活で分かったと思うので、周りから言われたこともそうですし、この経験を忘れないでプロでもやっていければ本当にすごい選手になるんじゃないかなと思います。


――同じチームメートでプロの舞台で一緒にやっていくお互いにメッセージを

ピッチャーと野手で違いますが、相手を意識しつつ、島田は意識が高いので、それを追い越せるようなメンタルで活躍して、ファンも多くつけて、人気のある選手になりたいと思います。


――色紙に書かれた好きな言葉の由来、なぜその言葉を書いたのか教えてください

北海(高校)の時、「質実剛健、百折不撓」という言葉があって、何回苦しいことがあっても立ち向かうという、気持ちの面で折れてしまうと今後やっていけないということが多いと思うので、諦めないで最後までやるという思いを込めて書きました。


ーー神奈川のイメージやベイスターズファンなど自身にとってどのように映っていましたか。

結構自分はハマスタ(横浜スタジアム)に試合を観に行ったりすることが多いんですけど、熱いファンの方がいらっしゃったり、球場全体の雰囲気とかだったり、それが自分の好きな野球場というかファンの方が多いので、そのファンの方に応えられるようなプレーをしたいなと思います。


ーー井上監督と4年間野球をしてきて心に残っているご指導やお言葉は

自分は結果が出せなかったシーズンが多かったのですが、4年生になっても使い続けてくれたのは感謝しかないなと思います。


ーー最後に同じリーグで戦うお互いに応援メッセージがあれば

島田は東洋のエースで今まで結構助けてもらった部分があります。同じチームになるのは運命でしかないと思うので東洋のきずなをベイスターズでも高めていけたらなと思います。


◇井上大監督

――宮下選手にコメントを

宮下も花田も島田も共通して言えることは謙虚に感謝の気持ちを忘れず、いつもそういう気持ちを持って練習とか試合に臨めば自ずといい結果の方に結びつくと思ってるので、それは共通して言えることだと思います。頑張って欲しいです。