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2025.12.03
ラグビー

[ラグビー] 東洋大、最終節を白星で飾るも、歓喜はお預け。次なる舞台で真価を示す

関東大学リーグ戦最終節・大東大戦

秩父宮ラグビー場


〇東洋大 34{24ー0、10-12}12 大東大






番号

Pos.

名前

1

PR

山下源也(総2=熊本工)

2

HO

小泉柊人(済4=目黒学院)

3

PR

岡田恭和(スポ2=脇町)

4

LO

アルメイダ聖(総1=日本航空石川)

5


ジュアン・ウーストハイゼン(総4=Helpmekaar College )

6

FL

ナモア・ファタフェヒ(総3=桐生第一)

7


森山海宇オスティン(総4=目黒学院)

8

NO8

ステファン・ヴァハフォラウ(総4=札幌山の手)

9

SH

佐々木健人(総4=札幌山の手)

10

SO

天羽進亮(済4=城東)

11

WTB 

中山二千翔(総2=日本航空石川)

12

CTB

浅尾至音(スポ3=城東)

13


アダム・タマティ(総4SacredHeartCollege)

14

WTB

梅木颯斗(総2=黒尻沢工)

15

FB

池渕紅志郎(総2=城東)

16

Re.

宗形神羽(済4=目黒学院)



岩崎ヴィージェ―純(総1=目黒学院)

18


渡邉裕太 (総4=開志国際)

19


山口英之介(総2=熊谷)

20


金井悠隼(スポ3=東海大相模)

21


坂本琥珀(総3=仙台育英)

22


小澤壱颯(総4=関商工)

23


井戸川ラトレル(総1=國學院栃木)


準優勝の賞状を手に持つヴァハフォラウ


勝利を告げるホーンが鳴り響いても、東洋大フィフティーンは喜びの表情を見せなかった。


11月30日、秩父宮ラグビー場を舞台に関東大学リーグ戦最終節・大東大戦が行われた。この試合に先立って行われた東海大学ー流通経済大学戦で東海大が勝ち点6を積み上げたことにより、キックオフ前に東洋大の2位が確定。それでも鉄紺戦士たちの勝利に対する気持ちは変わらなかった。「リーグ戦の結果は気にしない。大学選手権に向けた一戦だと思って目の前の試合を勝ち切ることだけ」と、心はすでに次なる舞台へ向いていたからだ。「一戦必勝」の思いをもって臨み、最終スコアは34ー12。2週間後に控える大学選手権につながるような一戦となった。


太陽の光が照り付ける聖地で、リーグ戦最後の80分間がキックオフした。先にスコアを動かしたのは東洋大。6分、敵陣でのラックからSH(スクラムハーフ)佐々木健人(4年)がパスを送り出すと、SO(スタンドオフ)天羽進亮(4年)からサイド際のWTB(ウイング)梅木颯斗(2年)へ。相手ディフェンスをハンドオフで押し返し、相手を寄せ付けないスピードで先制トライを決める。


勢いは加速していく。敵陣で圧力をかけ続けた18分、FL(フランカー)森山海宇オスティン(4年)がディフェンスに絡まれながらも押し進めて、LO(ロック)ジュアン・ウーストハイゼン(4年)がギャップを突くトライで12ー0。


24分には大東大のシンビンにより7点が追加された。相手が一時的に14人体制となり、東洋大が優位な状態でプレーを再開すると、再び敵陣を侵略。28分に梅木がライン際を爆走し、その差を24点にまで広げて前半が終了した。


インゴールへ滑り込む梅木



ハーフタイムが明けた後半も東洋大の勢いは衰えない。グラウンド中央から攻撃を仕掛けていくと2分、森山がタックルを受けながらパスを送ると、受け取った天羽がゲイン。最後はWTB中山二千翔(2年)にボールを委ね、インゴールに沈めた。


10分、東洋大はマイボールラインアウトからのモールで力強く押し込み、スコアを34ー12とする。ここまで主導権を握り続け、モスグリーン軍団を0点に抑えていた鉄紺戦士たち。しかし、試合はここから大東大の反撃を受ける展開へと移っていく。


終盤に差し掛かった30分。グラウンド中央でパスを回していたところを相手のタックルが刺さり、ボールを奪取されてそのままトライを献上する。


さらに34分には、ディフェンスラインに生まれた隙を突かれ、連続トライ。猛攻を仕掛けてくる相手に対し、東洋大は苦しい時間帯を迎えた。


ロスタイムに突入した際には、自陣深くまで攻め込まれる場面もあった。相手のモールが前進し、窮地に追い込まれるが、粘り強くトライラインを堅守し、ペナルティを誘発。この局面をしのぎ切った。


続くラストワンプレーでは、東洋大が攻撃に転じる。CTB(センター)アダム・タマティ(4年)がインゴール直前まで運んだが、最後はディフェンスに絡まれてボールがタッチを割り、ノーサイド。最終節は34ー12で幕を閉じた。



合計勝ち点は過去最多の34に、2年連続準優勝。しかし、東洋大フィフティーンに喜びの表情はなかった。


「今年のチームには本当に自信をもって、春から取り組んでいた。うれしいというよりも、悔しい気持ちが大きい」


試合後に語った福永昇三監督の言葉には、初優勝を目指してきたチームの努力の重みが宿っていた。


しかし、その悔しさの裏で、チームの視線はすでに次なる舞台へ向いている。


「喜べるのは大学選手権で1勝を挙げてから」と指揮官。


福永監督が就任して以降、29年ぶりのリーグ戦1部昇格や同リーグ初の準優勝などチームは躍進を続けてきた。


福永体制8年目。今年はどんな結末を迎えるか。まずは、12月14日に初戦を迎える大学選手権で初勝利を目指す。


■選手コメント

◇森山海宇オスティン

ーー今節の振り返り

最終戦は結構ミスが多かったので、簡単なハンドリングミスとかコミュニケーションミスとかをしっかり修正していきたいと思います。


ーー試合が始まる前に2位が決定している中でどういった気持ちで試合に臨まれたか

2位って決まったんですけど、絶対勝ち切るってことはみんな一層意思統一していました。相手を甘く見ないのもそうですけれども、しっかりと凡事を徹底するっていうことを意識しました。


ーーどちらかというと2週間後の選手権に重点を置く形か

そうですね。ただ、この目の前の試合もしっかりと勝ち切るっていうのはしっかり意識しています。


ーーこのリーグ戦を通して優勝を目指してたと思うんですけれども、2位という結果になってその点においてはどう考えているか

 優勝を目指していたんですけど、東海に負けて、その時点で流経と東海戦の結果次第とはなったんですけど、東海と流経戦はもう気にせずに、まずはこの選手権に向けてこの一戦を戦っていこうと。


ーー2週間、まだ対戦相手も決まってないという状況ではあるが、チームで高めていきたいことや重点的に練習を積み上げていきたいところは

今日もミスが多かったハンドリングミス、一人ひとりのタックル精度とか。ここからは組織というより、一人ひとりがどれだけ小さいところを練習できるかと、そういった一人ひとりのモチベーションをみんなで練習していこうと思います。


ーー森山選手はベスト15に選出、今シーズンを通して自分のプレーの手応えは

フィジカルの部分では結構通用した部分があったと思うので、これからの試合に向けて一番自分がチームを引っ張って行くような存在になりたいと思っています。



◇福永昇三監督

最終戦ということで、非常に重要な試合という気持ちを込めてしっかりと2週間厳しい練習を重ねて準備をさせていただき、今日また勝利という形で終われたことは、うれしく思っております。今日はありがとうございました。


ーー今年のチームと去年と比べて、去年のチームから見てどういうところが嬉しいですか?

今年のチームには本当に自信を持って、春から取り組まさせていただいたので、どちらかで悔しい気持ちが強いです。


ーーベスト15に4人が選ばれていましたが、選手たちの頑張りをどう見てましたか?

本当に日々の努力の積み重ねがすごい。一番近くで見させてもらっている中で、本当に努力し、練習する4年生中心に下級生もいい伝統を築いてきている状況であるということはすごい意識しています。特にキャプテン中心にすごいリーダーシップを発揮してですね、本当に正直言うと優勝させてあげたかったな、という気持ちは本当に強いですね。


ーーステファン選手のリーダーシップをどう見られているか

我々世代というか、自分から声を張り上げて、体でも含めて一生懸命先頭に立っていくリーダーです。




◇ステファン・ヴァハフォラウ

困難もあって辛い時間があった中で、その辛い時間をどれだけ楽しむっていうことをみんな仲間としていい練習してきて今日は良い結果になりました。選手権に向けていい準備をしていきたいと思います。


ーー選手権に向けてどういう準備をしていきたいか、どういうことを中心に考えていくのか

選手権はもう十分な経験があるので、相手にあまりフォーカスしないで自分たちにフォーカスして、強みをちゃんと積み重ねて来週、再来週に向けてフィジカルの部分でも、スマートな部分でもしっかり凡事徹底というところをちゃんと意識してやっていきたいと思います。


ーー強みと思うところは

誰でもボールをもらえますし、セットプレーでも圧倒してるので、セットプレーで必ず自分たちのボールを守って、トライにいきたいところです。



TEXT=北川未藍 PHOTO=北川未藍、土田夏帆