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平成27年度東都大学野球秋季1部2部入れ替え戦・駒大2回戦
11月9日(月) 神宮球場
東洋大8-4駒大
4安打を放ち打線に火を点けた阿部健
「自分が塁に出れば点が入る」。まさにその言葉通りの展開だった。初回、先頭の阿部健(営3=帝京)はうまく中前へ弾き返し好機をつくると、そのまま先制のホームを踏んだ。無安打に終わった1回戦を振り返り、「原さんを見殺しにしてしまった」と自分の無力さに唇を噛みしめた。「何としてでも塁に出る」。そんな強い気持ちを持って臨んだこの日は、5打数4安打1四球と5打席で出塁。チームの誰よりも塁上を駆け回った。
打撃面だけではない。守備面でも持ち前の堅実なプレーと、人一倍強い責任感を見せた。この日、三遊間を組んだ高校からの後輩・田中将(営2=帝京)とは試合中、何度もアイコンタクトで意思の疎通を図った。しかし九回、その田中将のミスから相手に流れが傾き失点を招いてしまう。すると、すぐさまマウンドの原(営4=東洋大姫路)のもとに駆け寄り「すみません」と謝罪の言葉を述べた阿部健。「自分は内野の要をやらせてもらっている立場なので」と仲間のミスにも責任を負った。3年ぶりの1部復帰に燃えるチームにとって何とも頼もしい存在だ。
試合後、久しぶりの神宮での試合に「やっぱり気持ちが良かった」と思わず笑みがこぼれた。東洋大へ入学してからずっと夢見てきた舞台まであと1勝。「絶対に勝って来年は1部でプレーしたい」。攻守において存在感を放つ男が、2年前につかみ切れなかった神宮への切符を今度こそ手に入れる。
■コメント
・阿部健(営3=帝京)
自分が塁に出れば点が入るというのは分かっていることなので、何としてでも塁に出ようという気持ちでやった。その結果が今日の4本につながったと思う。一昨日、ああいう形で原さんを見殺しにしてしまったので、チームとしては今日勝って明日原さんで勝つというのがあったのでとりあえず今日は野手で勝てて良かった。将也(田中)との三遊間は高校から一緒にやっているのでやりやすかった。九回は内野のミスでああなってしまって、自分は内野の要をやらせてもらっている立場なので原さんに「すみません」と言った。久しぶりに神宮で試合をしてやっぱり気持ちが良かった。どんな結果であろうと明日で最後なので応援してくれる人たちの分もしっかり考えて、絶対に勝って来年は1部でプレーしたい。
TEXT=枦愛子 PHOTO=美馬蒔葉