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平成27年度東都大学野球秋季1部2部入れ替え戦・駒大3回戦
11月10日(火) 神宮球場
東洋大10-1駒大
宿敵・今永から初得点となる先制適時打を放った田中将
一塁上で、力強くこぶしをにぎった
ガッツあふれるプレーでこの日もチームを元気付けた
「やっとチームに一つ貢献することができた」。両チーム無得点の三回1死一、二塁で打席に向かったのは田中将(営2=帝京)。捉えた打球が右前で弾むと右翼手が処理を誤る間に二走の安西(営3=聖光学院)が生還。一塁ベース上で大きく右こぶしを突き上げ、何度もガッツポーズを見せた。
前日までの2試合で安打はなし。昨日の試合では勝利したものの、九回に失点につながる失策を犯し、首脳陣から「しっかりしろ」とゲキを飛ばされていた。ふるわなかった過去の2戦を忘れ、「やるしかない」と開き直って勝負しに行った。この打席で対峙する今永とは1回戦での対決も含め、この試合の1打席目まで4打席連続の三振。直球に全くタイミングが合わず大振りしている姿が目立った。その反省から「コツコツ芯に当てていって、次につなげていく。監督からも逆方向、センター返しを意識しろと言われていた」と意識を変えて臨んだ。雪辱を果たすには絶好の場面で、意識の変化が最高の形となって表れた。それでも「いいところで一本打てたので良かったけれど、自分が打っていればチームを楽に勝たせることができた試合もあった」とあくまで謙虚だ。その分、勝利の瞬間は「1戦目2戦目が悔しいというか不甲斐なさすぎた。うれしいというよりもほっとした」と涙を流していた。
この試合で、共にプレーするのが最後となった4年生へ向けて「すいませんでしたという気持ち。もっと自分が働いていれば」と胸の内を語った。だが、田中将の台頭があったからこそ、入れ替え戦を制することができたといっても過言ではない。来年からは主力の一人になる。「先輩方のおかげ」で手にした神宮の舞台で、元気にプレーする姿を見せることが、4年生への一番のプレゼントになるはずだ。
■コメント
・田中将(営2=帝京)
昨日まで上手くいかなかったので、やるしかない、と開き直ってやってこういう結果になって良かった。(1部昇格が決まったが)昇格がどうこうというより、1戦目2戦目が悔しいというか不甲斐なさすぎた。嬉しいというよりもホッとして涙が出てきた。 (昨日の試合中、首脳陣と話していたが)自分が情けないばっかりにチームに迷惑しかかけてこなかった。しっかりしろ、とゲキを飛ばされた。(今永投手に対して)今までのスイングじゃダメだと思った。コツコツ芯に当てていって、ゴロを転がして何とか次につなげていく、そういう気持ちで打席に立ったらいいところに飛んでくれて、ああいう結果になった。(右方向への打球が多かったが)それまでは速いボールに対して、引っ張りに入っていたところがあった。監督からも逆方向、センター返しを意識しろと言われていていた。(先制適時打を放ったが)これもうれしいというより、ホッとした。まずは一本出て、やっとチームに一つ貢献することができた。(4年生とのプレーは今日で最後だが)こういう形で終われて、本当に良かった。1年生の時も今年の春も怪我をしてしまったので、秋は怪我をせずになんとしてでも貢献しようと思っていた。今季の打点は全ていいところで打てたと思う。今日もいいところで一本打てたので良かったけれど、自分が打っていればチームを楽に勝たせることができた試合もあった。1部に上がれるのは先輩方のおかげ。1期で落とさないようにしたい。日本一につながる道もできた。(4年生にはどんな言葉をかけたいか)すいませんでしたという気持ち。もっと自分が働いていればというのはあった。今までお世話になったところはありがとうございましたと、自分が力を出せなかったところはすいませんでしたと言いたい。
TEXT=菅野晋太郎 PHOTO=千野翔汰郎