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2025.12.31
陸上競技

[陸上競技] 第102回箱根駅伝前インタビュー/酒井俊幸監督

 “鉄紺の結束”。掲げたチームが、箱根路に挑む。

 20年連続シードを守った前回大会。伝統をつないだ“結束”をもとに、今年のチームで総合5位以内を目指す。

 “戦国駅伝”とも呼ばれ、激しさを増す大学駅伝界。そのなかで強い鉄紺の伝統をつなぎ続けてきた酒井俊幸監督に、箱根駅伝を前にしたチーム状況やこれまでの日々を伺った。(聞き手=近藤結希、取材日=12月8日)

 

 

 

 

 

 

◇酒井俊幸監督

  

ーー今年のチームの流れを振り返って

 

 体調不良が冬は多かったのですが、全日本大学駅伝の予選会が暑さ対策のために1か月早まって、その影響で大会の準備が間に合いませんでした。18年ぶりに出場権を逃してしまいましたがその分、強化期にあてました。今季は故障しないで、体調も秋以降崩さないような自己管理をずっとやってきました。

 

 夏合宿は例年よりも日数を多くして、準備の段階で7月からしっかり準備をしました。8月、9月と夏休みが終わったシルバーウィークのところでも合宿をしたりして、例年よりも走り込みをしっかりと行いました。

 


 

ーー夏合宿が増えたということで、例年と変えた部分はあるか

 

 私と瑞穂コーチが6年ぶりに世界選手権や五輪に帯同せずに、すべての合宿同行を行いました。走り込みの練習の内容を充実させる一方で、栄養やケアなどもしっかりと合わせないと回復していかないので。合宿もたくさんやりますが、その中で回復することも大事にしてきました。

 

 また、世界大会に行ったのは卒業生の競歩の選手たちに帯同していました。世界選手権でのメダルや、五輪では入賞もしましたが、そこで学んだ知見や経験を学生たちに還元しながら、もう一度世界大会に出られるような選手を育成するための土台を作っているところです。この5年間で得た経験値を、今度は長距離の駅伝の方に注いで作っていきます。

 


 

ーー監督から見た今年のチームの特徴は

 

 「その1秒をけずりだせ」というチームスピリッツは一緒です。学年ごとに毎年スローガンが挙げられますが、今年は「鉄紺の結束」というスローガンを掲げています。特にチーム全体としては、網本主将を中心に「みんなでしっかりと狙っていこう」という雰囲気を作っています。

 

 各学年の個性もありますが、4年生が非常に個性的であり、3年生、2年生に非常に伸び盛りの選手たちも多く、1年生がレギュラーになりにくい状況になっています。1年生が複数人も選手になれるようなレベルでは、上位では通用しません。また、2年生たちも昨年箱根駅伝を経験した3人以外の選手たちも伸びてきているので、そういった意味では今年は「成長力」を感じる年だと思います。

 


 

ーー出雲駅伝は2年生が中心でしたが、チームを引っ張っているのはやはり4年生か

 

 そうですね。精神的に引っ張っているのは4年生です。最近は西村真周が非常に調子が良くて、松井海斗ら力のある選手の練習を引っ張っているのは真周です。そこはやはり4年生がいかないといけないという気概が出ています。2年生が伸び伸びと成長できるのも、4年生がそういった“傘”をつくってくれているからです。

 


 

ーー4年生の状態はあがっているか

 

 西村、緒方、網本はだいぶ良くなっているので、あとは岸本だけですね。彼らがしっかりあがってくれば万全になってくると思います。岸本はウイルス性のいぼで今季は苦しんでいるので、ギリギリまで様子をみたいと思っています。

 


 

ーー先ほどスローガンのお話もありましたが、昨年も結束力の強いチームだったと思いますが、今年のチームは

 

 昨年は石田洸介というカリスマがいて、梅崎蓮という寡黙でありながらも走りで引っ張るキャプテンがいました。昨年の卒業生はすごくまじめな学年であり、彼らのために結束したところがありました。梅崎や石田が出られなくても彼らの存在が本当に力になり、20年連続シード権獲得ができました。その流れを今受け継いで、今年「結束とは」や、結束の仕方といったものを、さらに目に見えるように体現していってほしいという狙いも込めています。昨年との比較というよりも、昨年垣間見えたところが、チームがピンチでもシード権を獲得できたかなと思うので、そういった結束力というのを、東洋大学としてはチームの特色として継続していきたいなと思います。

  


ーー今年は21年目の連続シードがかかるが、シード権の重みを監督自身はどのように感じているか

 

 私も学生の時には4年間のうち2回シード権を取りました。当時は15校が参加する大会で、9位までがシード権でしたが、4年生のとき、私は主将を務めていて、体調不良で出場することができませんでした。自分が出場できなくても、チームはアンカーでシード圏内に入り、シード権を獲得しました。優勝、3位以内ももちろん大切ですが、シード権をとったうえで後輩たちにタスキを渡すということもすごく大事なことです。

 


 

ーー監督という立場になってみても、その伝統は重いものか

 

 優勝争いをしている時は、正直シード権というのは考えていなくて、優勝すること、最低でも3位以内というのを考えていました。11年連続で3位以内を達成しましたが、次の年、相澤晃の学年で10位になってしまいました。それでもその翌年は3位に返り咲きました。やはり、3位以内を常に目指せるチームをもう一度作っていきたいと思っています。


 

ーー今大会もシード権というよりも上位を目指して挑んでいく

 

 上位を狙う気持ちでないとシード権すら取れなくなってしまいます。各校、箱根駅伝への強化を進めています。その中で目標を下げざるを得ないではなくて、下げずに目指せるようなチームを作っていきたいと思います。

 


 

ーー特にポイントとなる選手は

 

 やはり4年生が最後までどれだけチームを引っ張っていくのか。その中で伸び盛りの下級生たちが大舞台で魅了する走りができるかどうか。下馬評は低いですが、鉄紺が目立てるような走りを目指します。

 


 

ーー最後に改めて箱根駅伝に向けての意気込みを

 

 箱根駅伝は全国の校友の方も含めて、東洋がひとつになれる舞台だと思います。鉄紺を応援、支援していただく方々と「鉄紺の結束」をしたうえで、箱根駅伝という舞台にみんなで望んでいければ幸いです。