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第59回全日本大学空手道選手権大会
11月23日(月) 大阪市中央体育館
男子団体組手 ベスト16
女子団体組手 2回戦敗退
東出は課題の残る試合となった
チームに勢いをつけた宮坂
今年度最後の大会。男子は2回戦まで好調に快勝を重ねたが、その後は経法大相手に3回戦で敗退。女子は強豪・関西大に当たり2回戦止まりとなった。
今年度の集大成であり、4年生にとっては引退試合となった今大会。男子は1回戦、1年生の活躍もあり4勝1分けで快勝。しかし調子のよかった1年生に比べて、思うように試合を運べなかったのが川村(法3=保善)と東出(法2=青森北)だ。次で結果を出すことを求められた。続く2回戦、先方は好調の成海(法1=仙台城南)が5対0でつなぎ、東出は次鋒で出場。開始13秒、上段突きで有効を決める。途中、1ポイントを返されたが、すぐ奪い返し、ラスト40秒で一本を2度決め、1回戦の屈辱を晴らす7対1でバトンを渡した。「よくもなく悪くもなかった」と自身の試合を振り返った工藤主将(法4=東洋大牛久)だが、大事な局面でも着実にポイントを重ねていき、3対0の完勝で3回戦へ進めた。この流れを保ちたかったが、経法大相手にストレート負けを喫す。東出が0対0の攻防戦が続いた後の敗退であったことに加え、川村は逆転負けということもあり悔しさが残る試合であった。
前回大会3回戦まで進んだ女子は、2回戦で敗退。昨年以上の成績を残すことができなかった。
1回戦を危なげなく突破し、迎えた2回戦。相手は関西の強豪・関西大だ。宮坂(法1=日本航空)は「勢いもあって技術力の高い相手だった」と語る。しかしそんな相手にも宮坂は、果敢に立ち向かった。試合時間残り40秒を切ったところで、相手に得点を取られてしまう。それでも宮坂は焦ることなく、冷静に有効を重ね勝利。試合後は満面の笑みを浮かべた。「今日はいけるなという自信があった」。全国大会という大舞台を楽しむ強い精神力が、結果につながった。しかしその後の中堅、大将が敗れたため3回戦進出とはならなかった。
今季最後の試合、納得のいく結果とはならなかった。しかし男女共に今回の出場選手は、下級生が中心となっている。工藤主将は、「戦力的にはそんなに変わらないと思う。むしろ学年が上がって戦力が上がっていく」と語る。また芳賀女子主将(法4=横浜創学館)も、1年生の宮坂の活躍を評価した。今ある戦力をより充実したものにし、来季こそ全国の上位を狙う。
■コメント
・工藤主将(法4=東洋大牛久)
1、2回戦でなんとか勝ち進んできた。1回戦は調子がいい人とそうでない人の差がはっきりしていた。1年生は6対0で勝ってよかったが、上級生の調子はあまり振るわなかった。東出は試合後の監督からの叱咤を受け、2回戦ではあそこまで調子を上げてくれたので、3回戦もいけるかなと思ったが、なかなか厳しかった。経法大は高校から強いような選手を集めている相手なので強い大学だが、勝てない相手ではなかった。1年生の成海は1、2回戦はベストの状態で戦えていたが、3回戦は中途半端に攻めていたところを返されていた。詰め方が甘かったと思う。正直な気持ちでは3回戦はせめて自分が出ておきたかった。(今年の総括)東日本で3位というのはいい記録だがで他は例年と同じような結果。勝てる試合もあっただけに物足りない。今度はこの休み期間での練習で組織力を上げてもらえばと思う。(来年について)来年は普段出てるメンバーからは自分が抜けるくらいの変化しかない。今日出ていない選手もたくさんいるので、そこに誰が入っても戦力的にはそんなに変わりがないと思う。むしろ学年が上がって戦力が上がっていく。期待できると思う。(自身の4年間の総括)チームの脚を引っ張ることも多かった。勝てるところで勝てなかったり、勝っても点差がつけられなかった。1、2年生のころはよかったが、3年生ぐらいで少しスランプのような期間に入って、苦しいこともあった。まだ終わった実感がしない。(後輩に向けての言葉)自分たちが残した記録は完全に越えてもらいたい。
・東出(法2=青森北)
今日の試合結果は本当に悔しい。1試合目は、他がどうにかしてくれるだろうというような心の緩みがあったが、2、3試合目は全力を出し切ったつもり。工藤さんの最後の試合なのに出してあげられなかった。自分が負けるべき試合ではなかったので正直に悔しい。敗因は、単純に勝負の中の判断ミス、作戦ミスだと思う。1点取られるべきところではなかったし、取れるところで取りきれなかった。負けたのは自分のせいだと責任を感じている。4年生とは1試合でも長く一緒にやりたかった。特に3回戦では次鋒の自分が負けてしまって、川村先輩(法3=保善)にかけるしかなかったので、とにかく次につなげて、と思って見ていた。先鋒で悪くなってしまった流れを変えるのが自分の仕事なのに、それができなかったことは関東、関西でやり方が違うということとは関係ない。せめて1勝して、工藤先輩に回す、ということすらできなかったことが情けない。来年は3年生になるので、残り少ない空手人生をしっかりやっていく。
・成海(法1=仙台城南)
初めての全日本で、1年生ながら5人のメンバーの中に選んでもらい、先鋒という大事なポジションを任せられたことに責任感を持ちながら臨んだ。1回戦、2回戦はポイントに差を付けて、後ろに楽をさせられるように戦えたが、3回戦では不甲斐ない試合をしてしまった。相手も1年生で、中学の頃から知っている選手だった。自分が全国3位になった時の、もう1人の3位の選手だった。負けられないと思っていたが、少し詰めが甘かった。自分が先鋒で波を作らなければいけないのに、その波を沈めてしまった。自分のせいだと責任を感じている。前回の大会では不甲斐ない試合をしてしまって、団体でも個人でも今回は活躍しようと思っていた。それを目指して練習に励んでいたが、こんな結果になってしまって、来年は勝ちたい。今日は足をけがしていたが、前回の試合ではアップが足りていなかったと思ったので、今回は周りが始めるより早く体を動かしたりしていた。自分の動きはできていたと思う。自分の調子としては満足できるものだった。それなのに工藤さんに回せなかったのは悔い。申し訳ないとずっと感じている。来年は同じ思いをしないように、せめて負けたとしても先輩までは回せるようにしたい。関西の人と当たるのはあまり慣れていないけれど、相手を自分のペースに合わせさせるようなつもりでやらなければいけない。西も東も差はない。来年は今年より、1つでも多く勝ち残っていきたい。
・宮坂(法1=日本航空)
先鋒として勢いをつけて後ろにつなぐことを意識した。2回戦目の相手は強かった。勢いもあって技術力も高い相手だった。なので、ただかむしゃらにやるだけではなくて、むやみに技を出さずに我慢することを心がけた。(2回戦目で1点先制されてどのような気持ちだったか)いつもだったら頭が真っ白になってそのままバタバタした試合をして負けることが多い。しかし今日はいけるなという自信があった。焦りがなく、楽しいなと思っていた。そういうときはいつも勝てる。大学での全国大会は初めてだった。関西勢とやって、関東と比べて勢いがあっるので勉強なった。(来季について)今は先輩たちに頼って自分のやりたい組手をやってるだけだが、来年は1年生が入ってくるので自分が後輩を支える立場になって安心できる組手をしたい。先鋒は1年生が毎年やっている。先鋒は自分が負けても後が勝てば勝てる。なので自分が後ろを任されたとしても、先鋒の1年生が安心して負けても勝っても思い切った試合をできるような環境を作っていきたい。
TEXT=酒井桃子、内田りほ PHOTO=佐田毬絵、松井彩音