記事
秩父宮賜杯第58回全日本大学駅伝対校選手権大会
関東学生陸上競技連盟推薦校選考会
1組
13着 陳内紫音 30'36"65
27着 小野真和 31'04"82
2組
1着 松井海斗 29'23"60
8着 内堀勇 29'50"57
3組
15着 林柚杏 29'51"46
20着 濱中尊 30'03"94
4組
8着 宮崎優 28'53"82
11着 迎暖人 29'07"02
チーム総合結果
5位 東洋大学 3:58'51"88 本戦出場!
5月4日、レモンガススタジアム平塚にて秩父宮賜杯第58回全日本大学駅伝対校選手権大会関東学生陸上競技連盟推薦校選考会(以下、全日本予選)が行われた。昨年の全日本予選で東洋大は、わずか11秒差で出場権を逃している。
この全日本予選では、4組行われる10000mのレースに各大学2人が出場し、計8人の合計タイムを競う。参加20校のうち、上位7校が本戦への切符を手にし、11月に行われる全日本大学駅伝へと進む。
伊勢路をかけた戦いが幕を開けた。

1組目のスタート直後の様子
1組目には、小野真和(理工2=浜松日体)と陳内紫音(済3=小林)が出場。レースは互いにけん制し合い、スローペースで展開した。大濱逞真(大東文化大)が集団を引っ張るが、4000m手前で後方に下がると大幅にペースダウン。
このタイミングで檜垣蒼(東海大)が飛び出すと、集団がバラけはじめ縦長の隊列に。そんな中でも、小野は冷静な表情を保ったまま集団前方に位置取り、陣内は集団後方に下がった。

先頭に食らいつき前を追う陣内
残り3周半としたところでペースが再び上がると、スパート合戦へ。小野は苦しそうな表情を見せ、集団から離れ始めるなか、 陣内はなんとか集団に食らいつき必死に前を追う。陣内は13着、小野は27着でフィニッシュした。
レース後、小野は「チームに迷惑をかける走りになってしまった」とトラックを叩き、悔しさをあらわに。陣内も「位置取りに苦戦し、勝負に参加できなかった」と悔しげな表情を見せた。1組目総合14位、チームは2組目以降での巻き返しを図る。

最後まで力を振り絞る小野
2組目には、満を持してエースの松井海斗(総3=埼玉栄)と内堀勇(総3=巨摩)が出場。スタート直後、「結果で応えたい」と意気込んでいた内堀がさっそく先頭へ出て、レースの主導権を握る。「状態は70%くらい」だったと語る松井は、集団の最後方に位置取り、感覚を確かめるようにして走りを進めた。
1000mを過ぎたところで、松井と内堀がそろって前へ。目を合わせ、2人で先頭を引っ張る。「東洋が来たぞ」と言わんばかりに、レースを支配した。

2人で先頭を引っ張る松井と内堀
7000m手前、ペースが落ちかけたタイミングで「(集団を)分断して少しでも他のチームと差をつけたい」と松井が飛び出し、近江亮(大東文化大)との一騎打ちに。ぴったりと後ろにつかれしばらく並走が続いたが、8000mにさしかかったところでもう一段ギアを上げ、引き離しにかかる。口が空き、苦しそうな表情にはなったものの、みるみるうちに後続を引き離した。

トップを駆け抜ける松井
「今の状態では最高の走りができた」という言葉の通り、堂々の1着でフィニッシュ。内堀も粘りの走りで8着でゴールした。レース後、2人は熱い握手を交わし、互いの健闘をたたえ合う。カ走のかいあって総合3位と大きくジャンプアップし、3組目へとつないだ。

レース後、握手を交わす内堀と松井
3組目には、林柚杏(総1=札幌山の手)と濱中尊(総4=西武台千葉)が登場。全4組の中で、1周目の通過が遅いペースでレースは始まった。まさかの展開に濱中も、「想定外でした」と振り返る。
スローペースのままレースは進み、2800mを過ぎたところで、東海大の2選手が一気にペースアップ。集団は縦長に変化し、濱中は集団前方、林は集団後方でレースの動きを伺った。

唯一の4年生としてレースに臨む濱中
しかし、8000m手前で濱中が集団から離れ始める。その後、先頭集団がペースアップすると、林も少し苦しくなり第二集団に。ペースの上げ下げが激しいタフなレースとなり、林は「苦手なレース展開だった」と語る。それでもなんとか食らいつき、15着でゴール。濱中は表情を歪めながらも、出場メンバー唯一の4年生としての意地を見せ、20着でレースを終えた。後輩に助けられる形となった濱中は、「力不足だった」と語り、今後への課題を口にした。
総合5位で、運命の4組目を迎える。

レース後、冷静に後続の様子を確認する林
全てが決まる最終組。第4組には、宮崎優(総3=東洋大牛久)と迎暖人(総3=拓大一)が出場した。強風が吹き荒れるトラックには、張り詰めるような緊張感が漂う。レースは序盤から外国人選手がハイペースで飛ばし、早々に集団が分断。2人は日本人集団の後方に位置し、淡々とペースを刻む。
3000m付近、集団から飛び出し2人で前を追い始めると、単独走となっていた選手を吸収していく。その後順調にレースを進めていたが、6000mを過ぎたところで、迎の表情が苦しくなり集団から離れ始める。宮崎は8000m付近からだんだんと集団でのポジションを上げ、ついに最後の1周へ。
ラストの叩き合いとなった中、昨年ケガの影響でこの全日本予選を欠場し、悔し涙を流した経験を胸に前へ前へと必死に腕を振る。28分53秒82の自己ベストをマークして15着でフィニッシュ。「俺がチームを勝たせるんだ」という強い覚悟を感じさせる走りを見せた。

自己ベストをマークした宮崎
一方迎は、周回を1周誤ってしまうという想定外のアクシデントに見舞われる。これについて迎は、「精神面の弱さが原因の必然的なミス」と悔しさをにじませた。それでも最後まで諦めず懸命に走り抜き、18着でゴールした。
粘り強く走り切った迎
レース後、悔し涙を浮かべる迎のもとへ宮崎がかけより、手を差し伸べた。各校のエースが集まるという最終組大きなプレッシャーを抱えながら戦い抜いた彼らに、ファンからは「ありがとう!」と温かい声援が贈られた。
レース後、迎に声をかける宮崎
ついに迎えた結果発表。大型スクリーンに順位が映し出され、会場の視線が集まる。東洋大は総合第5位で、2大会ぶりに本戦の出場権を獲得した。選手たちは安堵の言葉を口にする一方で、「現状では本戦で全く通用しない」と危機感も抱いたという。
この本戦出場は通過点であり、ようやくスタートラインに立ったにすぎない。強豪校としての誇りを取り戻すため、鉄紺を背負う選手たちの戦いは続く。
彼らの今後の活躍に目が離せない。
◾︎陳内紫音
ーー本戦出場が決まった率直な気持ちは
出場権を獲得できたことは嬉しいですが、現状では本戦で全く通用しないので危機感も感じています。
ーーレースを振り返って
スローペースで進む中でラストスパートに備えていましたが、位置取りに苦戦し無駄な体力を消耗してしまい、勝負に参加できず悔しい走りとなりました。1組目として流れを作れず2組目以降の選手に負担をかけてしまったなと反省しています。
ーーペースアップした時の心境は
途中でレースが動くことは想定していたので特に焦りなどはありませんでした。寧ろ(むしろ)スローすぎたのでペースが上がってくれた方が走りやすかったです。
ーー今後に向けて
予選会の難しさや自分の弱さを痛感するレースとなりました。個人としてもチームとしても悔しい結果となりましたが、本戦への切符は掴(つか)めたので、そこで勝負が出来るレベルまで成長していきたいです。
◾︎小野真和
ーー本戦出場が決まった率直な気持ちは
ほっとしました。
ーーレースを振り返って
チームに迷惑をかける走りになってしまい申し訳ないです。
ーーレースプランや戦略は
集団の前の方で走ってラスト2000mからが勝負だと思っていました。
ーー今後に向けて
最近のレースではチームに貢献できていないので、結果で貢献できるように頑張ります。
◾︎松井海斗
ーー本戦出場が決まった率直な気持ちをお聞かせください。
とても嬉しく安堵(あんど)の気持ちが強いです。
ーー2組目での出走になった理由や意図、決まった時の心境は
状態が万全ではなく後半の組で走れる状態ではなかったので2組目になりました。3、4組目を走らなければいけない立場で3、4組目のみんなには迷惑をかけてしまったなと思います。
ーーレースを振り返って
1組目で少し遅れを取りましたがその分取り返し、3、4組目に少しでも楽できるようにという走りができたので良かったです。
ーー仕掛けるタイミングについては想定通りだったか
引っ張るつもりはあまりありませんでしたが、スローとなったので分断して少しでも他のチームとの差をつけられるように頑張りました。
ーーご自身のコンディションや調子は
70%くらいでしたが、その中での最高の走りができました。
ーー今後に向けて
今後は箱根予選もあるため万全の状態で走れるように夏を頑張りたいと思います。
◾︎内堀勇
ーー本戦出場が決まった率直な気持ちをお聞かせください。
率直に嬉しい気持ちが一番大きいです。ただ、それ以上にここがスタートだと思っているので、本戦に向けてさらに状態を上げていきたいという気持ちです。
ーー2組目での出走が決まった時の心境を教えてください。
チームの流れを作る重要な位置だと感じていました。自分がやるしかないという気持ちでした。任された以上は責任を持って、しっかり結果で応えたいと思っていました。
ーーレースを振り返って
積極的にレースを進めることはできましたが、終盤にかけての粘りなど、まだ課題も感じています。ただ、今の自分の状態の中でできる走りは出せたと思いますし、次につながるレースだったと思います。
ーースタート直後、飛び出し先頭を引っ張った意図は
レースの主導権を握りたかったのと、自分のリズムでレースを進めたかったからです。また、東洋が来たんだぞって見せつけたかったのが1番です。
ーー今後に向けて
今回出た課題をしっかり修正して、本戦ではチームにしっかり貢献できる走りをしたいです。個人としてもさらにレベルアップして、任される選手になれるように取り組んでいきます。
◾︎林柚杏
ーー本戦出場が決まった率直な気持ちは
トップ通過を狙っていたのでそこは悔しいです。本戦で戦える準備をしていきます。
ーー1年生で唯一の出走となっが、出走が決まった時の心境は
チームの為に貢献したい気持ちが強かったです。
ーーレースを振り返って
かなりタフなレースで上げ下げがあり、自分の苦手なレース展開となりました。
ーー位置取りやレースプランについて
位置取りは前の方で進めて、ラスト2000ぐらいであげる予定でした。
ーー今後に向けて
全日本、箱根駅伝予選会に向けてさらに仕上げていき、もっと強くなって自分の仕事をして、チームに貢献する走りをしていきたいです。
◾︎濱中尊
ーー本戦出場が決まった率直な気持ちは
最低限の目標であった予選通過ができ、まずは心から安堵しています。しかし個人としては、後輩たちに救われる形で掴み取った通過だと痛感しています。
ーーレースを振り返って
今回、唯一の4年生として出場しましたが、チームの勢いを止めてしまう不甲斐(ふがい)ない走りとなり、レース中の状況判断やメンタル面に課題が残りました。特に同組の1年生の林に対して、4年生として安心感を与えるどころか、不安にさせてしまったことは自分の力不足だと感じています。
ーースローペースでの展開となったが
後半組ということもあり、正直スローペースは想定外でした。想定外の展開になった際の対応力や精神的な余裕が、自分には欠けていると思い知らされたレースでした。
ーー今後に向けて
レース中の状況判断やどんな展開でも崩れない精神的な余裕を普段の練習から意識していきたいと思います。3年生以下に頼り切りになるのではなく、今後は4年生として必ずチームに貢献できるように取り組んでいきます。
◾︎宮崎優
ーー本戦出場が決まった率直な気持ちは
本戦出場が決まったことは嬉しいです。昨年は悔し涙を流して出走することができず、自分のせいで連続の出場権を逃してしまったので、嬉しい気持ちとまだ課題も多く力不足だと感じました。
ーー4組目での出走が決まった時の心境を教えてください。
昨年は選手として出走することができなかったため、緊張をしましたが同じくらい楽しみな気持ちでした。俺がチームを勝たせるんだという気持ちでした。
ーーレースを振り返って
序盤は冷静にペースを刻みながら前の集団を追ったり、力みなく走ることができました。中盤からは目標タイムに比べると遅いラップになってしまい前に出る走りが出来なかったことや、ラスト競っていた集団で勝ちきれなかったことなど課題も多く見つかったレースでした。
ーー外国人選手はじめ高速レースとなったが、レースプランや戦略等は
最初の5kmは14分10秒で走るイメージを持ち淡々と刻み、ラスト2kmはペースを上げていくプランでした。
ーーラストスパートの原動力は
原動力は1秒でも速く、チームのために最後まで諦めないという気持ちで動かしています。また、応援やサポートして下さっている方に恩返しの走りをしたいという気持ちでギアをあげています。
ーー今後に向けて
秋には箱根駅伝予選会や全日本大学駅伝、そして箱根駅伝本戦も控えているためチームの目標に貢献する走りができるように自分の課題や弱さと向き合って淡々と積み重ねていきたいと思います。
◾︎迎暖人
ーー本戦出場が決まった率直な気持ちは
安心しましたが、あくまでも通過点と捉えて今後も練習に励んでいきたいと感じました。
ーー4組目での出走が決まった時の心境を教えてください。
プレッシャーはありましたが、他大のエース達に対して張り合うつもりでした。
ーーラストスパートの原動力は
去年の悔しさを胸に、集団から離れてしまいましたが1秒でも速くゴールすると考えていました。
ーー周回を間違えてしまうアクシデントがありましたが、その点については
自分の精神面の弱さが原因となった必然的なミスです。1~3組目の選手がつないできた中で、棄権になってしまう可能性もあったため、チームメイト、関係者、応援してくださった方々には大変申し訳なく存じます。
ーー今後に向けて
どんなに苦しい時でも、最低限周りを気にすることのできる余裕を持つことができるようにしたいと思います。本戦では今回のミスを取り返す走りをします。
TEXT=佐藤結芽 PHOTO=覺本千莉、窪内彩乃

