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第88回日本学生氷上競技選手権大会
1月7日(木) 栃木県立日光霧降アイスアリーナ
◆男子AクラスFS
20位 板井(社3=武蔵野)
◆男子Aクラス総合成績
20位 板井 130.52
◆女子AクラスFS
17位 阿久澤 (社2=日本橋女学館)
20位 濱谷 (社1=富士見丘)
◆女子Aクラス総合成績
18位 濱谷 108.18
19位 阿久澤 106.86
◆女子Aクラス団体
5位
著しい成長を遂げた阿久澤
濱谷は悔しいインカレデビューとなった
観客との一体感で空気を自身のものにした板井
ショートプログラムで出場権を得た板井、阿久澤、濱谷の3人がフリーの演技に挑んだ。上位入賞には届かなかったものの、女子Aクラスの阿久澤がショートから順位を大きく上げるなどの成長も見られた。
秋に行われた東日本インカレでスピンの取りこぼしや転倒に悩んでいた阿久澤の姿はもうなかった。体勢に乱れはあったもののジャンプの着地をすべて成功させるなどして17位につけ、前日のショートから6つ順位を上げるなど大きく飛躍する。「中村主将(社4=小松原女子)と出られる最後の大会だったので、先輩の分も頑張って滑ろうということだけ考えていた」と真剣な眼差しを浮かべ、演技に関しても「インカレ間近にフリーの構成のレベルを失敗しないように下げたらほぼぶっつけ本番になってしまったが、逆にその状況がいつもと違う緊張感になって、良い結果につながったのかもしれない」と分析した。
一方、初のインカレに挑んだ濱谷は、前日のショートから5つ順位を落とし総合18位に沈む。「こんなに1つのプログラムでミスをしたことがない」と振り返るように、滅多に外すことがなかったという一発目のジャンプで手を付いてしまい、その動揺が演技にも表れてしまった。しかし、阿久澤同様に“4年生を気持ちよく送り出してあげたい”という思いが強い濱谷。「人のために滑ろうと思えるのは団体戦ならでは」と、初めて大学の団体戦を経験し、インカレデビューを締めくくった。
男子Aクラスの板井は、春の関東大会から調子を上げてきている「オペラ座の怪人」でフリーに挑んだ。前半はジャンプの転倒が目立つも観客からの大きな声援が板井を支え、のびのびとしたスケーティングで最後まで滑り切った。順位は伸び悩んだものの、「欲を言えば上の順位を狙いたかったが、まずはインカレに出られることに感謝したい」と笑顔を見せた。
今年度のシーズンを終えたフィギュア部門の選手。それぞれ明暗は分かれる結果となったが、後輩たちの4年生への思いはフィギュア部門の学年を越えた仲の良さを表していた。「自分が引退したときに周りから愛されるような選手になりたい」(濱谷)。4年生が紡いできた絆は次の世代へと受け継がれている。
■コメント
・阿久澤(社2=日本橋女学院)
中村主将はショートで落ちてしまったが、先輩と出られる最後の大会だったので、先輩の分も頑張ろうということだけ考えて滑っていた。(東日本インカレでの改善点であるスピンのとりこぼしや転倒は)改善できた。ジャンプもうまくいった。インカレ間近にフリーの構成のレベルを失敗しないように下げたらほぼぶっつけ本番になってしまって、でも逆にその状況の緊張感がいつもと違う気持ちでできて、良い結果に繋がったのかもしれない。ショートでミスしたのでスタートはギリギリ通過になってしまったのは自分でも納得しているけれど、フリーは17位、合計19位で、結構順位を上げることができたので良かった。
・濱谷(社1=富士見丘)
こんなに1つのプログラムでミスをしたことがなくて、情けないというか、悔しいを通り越して、やってしまったな、という感じ。フリーに進めなかった4年生の未夏ちゃん(中村主将)のために絶対やってやると思っていたが、結果にならなくて、終わった瞬間涙が止まらなかった。インカレに照準を合わせていきたかったが、自分の演技が全く出来ていなかった。でもこうやって人のために滑ろうと思えるのは団体戦ならではなので、東洋大に入って良かった。ショートは結構シビアな試合で緊張したが、フリーは順位というよりも未夏ちゃんへの思いを乗せて頑張ろうと思った。(初インカレの緊張は)一発目のジャンプはいつも絶対に外してこなかったのに、外してしまったことによって動揺してしまった。(先輩の演技を見て)4年生はこの大会が最後の人もいて、気迫みたいなものが全然違った。自分が引退したときに周りから愛されるような選手になりたいなと強く思った。
TEXT/PHOTO=玉置彩華、坂口こよみ