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2016.01.27
ボクシング

[ボクシング]突然のオリンピック選考試合、夢にはあと一歩及ばず

アジア・オセアニア地区リオオリンピック予選


1月25日(月)味の素ナショナルトレーニングセンター


【W】●金城(判定)佐藤○


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2カ月ぶりの公式戦に挑んだ金城㊨

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緊張感に満ちた代表発表の瞬間


  オリンピック出場への切符をかけた選考試合に金城(営4・那覇)が出場した。引退から2カ月というブランクもあり本領を出し切れず満足のいかない試合で敗退。代表には一歩届かずリオオリンピック出場の道は断たれた。


  会場には異様な緊張感が漂っていた。オリンピックのオセアニア地区大会に出場できる日本代表を選考する大きな大会で報道陣の注目も集める中、試合は始まった。金城はウェルター級での出場となった。相手は対戦経験がある佐藤龍(自衛隊体育学校)。1ラウンド目にはよく動いていた足も、2ラウンド目から徐々に鈍くなり、スタミナが持続できず相手のペースに翻弄されてしまった。「(対戦経験があったものの)相手の研究や、どう攻めていくかが自分の中で固まっていなかった」と金城は敗因を分析した。


  11月に行われた全日本で引退していた金城にとってオリンピック選考試合は突然すぎた。なんと日本代表候補に決まった連絡が届いたのはほんの20日前。竹田コーチも、「急に決まって練習不足というのもあり、技術を強化していくというよりも、まずは体を絞るところがメインだった」と準備の不完全さを嘆いた。


 「選ばれるとは思わなかった」と驚いた様子だった金城だが、「大きなチャンスが回ってきたと思った。緊張しても仕方がないしやれることをやりきろうと集中した」と試合を振り返る。オリンピックも視野に入れて続けてきたボクシング。今回は残念ながら代表にはなれなかったが、「東京オリンピックまでは、オリンピックの舞台を目指したい」と意気込んだ。


 東洋大からオリンピックの日本代表候補が出されるのは滅多にあることではない。また今回選考試合に金城が選ばれたことによって部全体の士気が上がるに違いない。コーチは「これからまだオリンピックを狙える選手」と金城を称え、「新キャプテンの秋山(営3=淀川工科)なんかも十分にオリンピックを目指せる」と期待を抱いている。今後世界でも東洋大選手の活躍を見られる日もそう遠くないかもしれない。


■コメント

・竹田コーチ

選考試合には基準として全日本優勝者、またはそれに準ずる選手が選ばれる。例えば期待されていたり注目されている選手。東洋大で選ばれたのは珍しい。あまりいなかったと思う。選考が20日前と、急に決まったので練習不足というのが少しあった。引退していて間も空いていたので体を絞る、体重を落とすというところがメインになって、技術を強化していくというトレーニングに手が届かなかった。作戦としては、相手の選手が近い距離を得意とする選手なので、足を使って打って離れて打って離れてというのを繰り返したかった。相手のペースにもっていかれたという印象。(また選考試合に選ばれる可能性は)まだまだある。期待できる。


・金城(営4・那覇)

(相手は)対戦経験がある。相手の研究、どんな戦い方で勝とうかというところが自分の中で固まっていなかったのが負けにつながった。(20日前に選考が決まったことは)全日本が終わってもう引退していて練習をしていなかった。一番強い人が辞退したので急遽自分が選ばれた。選ばれるとは思っていなかった。でも選ばれた時はオリンピックに出られたら人生が変わるし、大きなチャンスがまわってきたと思った。(オリンピックは視野に入れていたのか)視野には入れていたが、まだ日本一になったことがなかったのでそれが先かなと思っていた。緊張しても仕方ないのでやりたいことをやれるよう集中してやった。(コーチからは)足を使えと言われたが焦って打ち合いにいってしまい、打ち合いで分がわるかったのでもっと我慢してやればよかった。


TEXT=玉置彩華 PHOTO=高橋雪乃