記事
第92回 日本選手権水泳競技大会 競泳競技
兼 第31回 リオデジャネイロオリンピック競技大会 代表選考会
4月4日(月)~10日(日) 東京辰巳国際水泳場
(5日目・予選)
◆男子200m背泳ぎ
3組
5着 小鶴 2’04”66
◆女子200m平泳ぎ
4組
5着 金指 2’29”16
→全体12位で準決勝進出
5組
1着 青木 2’27”82
→全体5位で準決勝進出
◆男子200m個人メドレー
5組
1着 萩野 1’58”88
→全体1位で準決勝進出
6組
2着 若林 2’04”29
◆女子800m自由形
3組
2着 濱田 8’48”02
→全体8位で決勝進出
4組
2着 菊池 8’42”62
→全体2位で決勝進出
DNS 清水
(5日目・準決勝)
◆女子200m平泳ぎ
1組
3着 金指 2'27"68
2組
6着 青木 2'27"67
→全体8位で決勝進出
◆男子200m個人メドレー
2組
1着 萩野 1'55'98
→全体1位で決勝進出
(5日目・決勝)
◆女子100m自由形
1位 内田 53"88
→女子4×100フリーリレー代表権獲得
◆男子200mバタフライ
5位 三好 1'57"16
◆男子200m平泳ぎ
7位 毛利 2'11"23
日本新記録賞とともに表彰台の中央で笑顔を見せる内田
三好は2度目の決勝の舞台で自己ベストを更新
前日スイムオフを勝ち抜き決勝に挑んだ毛利
萩野は準決勝1位通過で決勝へ進む
日本選手権5日目、女子100m自由形において内田が日本新記録で優勝。4×100mフリーリレーでのリオデジャネイロ(以下、リオ)五輪代表権を獲得した。
「うれしいけど、悔しい」。日本新記録を樹立するたびに出るガッツポーズも、今回は不発だった。しかし、レース直後上位4名の合計タイムが4×100mフリーリレ―の派遣標準記録を切っていると分かると、喜びを爆発させた。4人の合計タイムは0.36秒だけ派遣標準記録を上回っており、内田の日本新記録が大きく貢献した。決勝では53”88の、日本記録を0.11秒塗り替える驚異的なタイム。それでも個人での派遣標準記録には、わずか0.07秒足りなかった。派遣標準記録は、世界大会での決勝進出相当タイムで設定されている。そのため、自由形短距離の派遣標準記録は日本記録よりもはるかに高い。個人での代表権を得ることは、なかなか難しくなっている。「最低目標をリオ五輪出場にしろ」と言われ悔しい時期もあった。しかし、4年前から内田の目標は個人で五輪に行くこと。絶対にぶれない。「100mで(派遣標準記録を)切れなかったから、50mで絶対切る」。日本屈指のスプリンターの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
男子200mバタフライ決勝には三好(営3=八幡浜)が登場。結果は5位だったものの、自己ベストを更新。200mで決勝に残ったことは、本命の100mバタフライに向けて自信に繋がった。「せっかくのチャンスなので、オリンピックに少しでも絡んでいけたら」と意気込んだ。今大会好調の三好の泳ぎに注目である。
スイムオフで男子200m平泳ぎ決勝進出を決めた毛利(営3=金沢)は、決勝ではタイムが伸びず。しかしオリンピックイヤー独特の緊張感の中、決勝を泳ぎ切ったことは今後のレースに生かされるはずだ。
日本選手権6日目に行われる女子800m自由形決勝には、菊池(営3=作新学院)、ルーキーの濱田(国1=須磨学園)が進んだ。菊池は「勝ちにこだわる」と、優勝への準備は整った。また、男子200m個人メドレー決勝では、4つ目のリオ五輪代表権をかけて萩野(文4=作新学院)が一発勝負に挑む。「やっとベストを出す時がきた」。日本新記録でのリオ代表権獲得は射程圏内だ。
■コメント
・内田(営4=関東学園大附)
53秒台が出たのはすごく嬉しいが、目標とするタイムが53秒6だったので、派遣標準記録が切れなったのは悔しい。(池江さんが日本新記録を出した試合)全然泳げない時期で上で観戦していた。出るとは思いながらも、いざ目の前で53秒が出るのをみると悔しくてその日はとても泣いた。そこで自分は2番手、と切り替えるのには1週間くらいかかった。でもそうやって切り替えられたのは良かった。いろんな人と話して自分の気持ちを変えられた。いろんな人に(日本人初の53秒台は)美希に出して欲しかったと言われ、応援してくれていることを実感した。今日は泳いだ後は、(派遣記録を)切れなかった悔しさと、リレーで行けるのかという気持ちが入り混じっていた。優勝したのでメドレーリレーのアンカーを泳ぐことができると思う。そこも視野にいれてやるしかない。(去年の世界水泳では)決勝に残れなかったので、決勝に残ることが目標。(リオでは)日本新記録を出して、欲を言えばメダル、現実を言えば5位までには入りたい。決勝のレースは前半25秒台で思い切り入れていれば、周りを見ずにいけたのかな。前半26秒切っていれば、勢いにのっていけたのかなと思う。100mで切れなかったので、絶対に50mで切る。(平井監督から)池江さんのことを気にするなとはあまり言われてはいない気がする。私自身としてもとても忘れたい出来事だったので、忘れてしまった。私はすごくリオ五輪に個人で派遣標準記録を切って出ることを目標にしていたから、監督に最低目標をオリンピック出場に下げろと言われた時は、すごく悔しかった。池江さんに日本新を出された時などは、「日本代表にはあなたが必要」ということを言われて、もう1回ちゃんと頑張ろうと思った。
・萩野(文4=作新学院)
明日につながるレースができた。背泳ぎは水中の泳ぎに気をつけ、平泳ぎは大きな泳ぎで、クロールは余力をもって。決勝は、準決勝のような泳ぎで平泳ぎと自由形で詰められるところを詰めていく。後半は思い切り勝負していく。明日はリオに向けて熾烈な争いになると思うが、自分のレースに集中する。やっと自己ベストを出す時が来た。54秒がでるかでないかぐらいを目指したい。1分55秒1、1分55秒、よくて1分54秒9日本記録を出す。このままでは終われない。準決勝ではある程度決勝を想定したレースをしようと思う。自分もやっとこの選考会の雰囲気に慣れてきたので、決勝頑張りたいと思う。
・三好(営3=八幡浜)
水に入った瞬間はどうかなと思ったが、落ち着いて泳げた。バタフライの100mの練習を積んできたので200mでは決勝は無理かなと思っていたけど、200mでベストを出せたことは、明日からの100mバタフライへも、今後の大会へも繋がっていく。ジャパンオープンなどにもいいきっかけになった。今年のいいスタートが切れた。200mはインター切ることを目指して、100mはいけるところまでやるつもり。せっかくのチャンスなのでオリンピックに少しでも絡めていけたらと思う。
・毛利(営3=金沢)
昨日のスイムオフは緊張しなかった。スイムオフと準決勝との間隔は短かったが、耐える練習をしていたので自信を持って泳げた。決勝を泳いでみて、正直プレッシャーに弱いなと思った。しかし、特別な舞台で泳げたことは自分にとてもいい経験になった。
TEXT=菊池美玖、PHOTO=吉谷あかり