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平成28年度東都大学野球春季1部リーグ戦・専大3回戦
4月8日(金) 神宮球場
東洋大6-5専大
阿部健は俊足を生かし、2本の三塁打を放った
3安打猛打賞、全打席出塁と調子を上げてきた阿部健
やっとこの男が調子に乗ってきた。開幕から2試合で放った安打はわずか1本。6日に行われた第2戦目では、初回に先制を許した直後に出塁するもまさかのけん制死。得意の守備でも送球が乱れるなど、らしくないプレーが続いていた。「自分がやらなければいけない、引っ張らなければいけない」。その思いが阿部健(営4=帝京)に焦りをもたらしていた。
「(1、2試合目は)今この状況で何をしたらいいのかということが考えられていなかった。ふわふわやっている感じだった」と阿部健。しかし、この日は違った。2死二塁の場面で迎えた3打席目。「打たなければいけないという気持ちが先走っていた」という第2戦目では、1死満塁の好機に空振り三振を喫していた。その翌日、高橋監督が言った「もっとチームのためにやれ」という一言が阿部健を変えた。「どうしても打ちたいとなって、力が入って(体が)開いてしまう」という気持ちを抑えるためにこの日は逆方向への打撃を意識。すると、鋭い打球が三塁線を破り、二塁走者が生還。打った阿部は快足を飛ばして一気に三塁を陥れた。ようやく、「チームのために」貢献できた瞬間だった。
だが、阿部健はヒットで塁に出ることだけでは満足していない。八回、遊撃正面の当たりで全力疾走し失策を誘った。「慎重に見ていって、結果的に塁に出られた。自分はそういう野球をチームのためにやっていければいいなと思います」とどんな形でも出塁できたことを喜んだ。
頼れる切り込み隊長のシーズンはまだ始まったばかりだ。
■コメント
・阿部健(営4=帝京)
今日は1年生の山下が頑張ってくれた。ナイスピッチングという言葉をかけてあげたいです。(勝ち点を上げたことについて)嬉しいというよりもしんどかった。2部にいた時も勝つことは難しいと分かっていた。それ以上に、(1部は)雰囲気も一球で変わりやすいと思っています。1試合目2試合目はチームに迷惑をかけてしまった。自分がやらなければいけない、引っ張らなければいけないと思って、結果ばかりを見てしまっていた。今この状況で何をしたらいいのかということが考えられていなかった。ふわふわやっている感じだった。昨日監督さんにも、もっとチームのためにやれと言われた。考えてみたら、自分がどうしてもやらなければいけない、打たなければいけないという気持ちが先走っていた。自分がという気持ちが強かくなっていたのを、チームのためにという考え方に変えた。そしたら、四球やヒットが出たり、バントがヒットになったりといい結果につながった。1試合目2試合目に比べれば、落ち着きは取り戻せてきていると思います。(逆方向の辺りが多かった)意識はしていた。どうしても打ちたい打ちたいとなって、力が入って(体が)開いてしまっていた。なので、練習から意識してやっていました。ヒットが出たことは嬉しいですけど、どういう形であっても塁に出られたということの方が良かったと思います。(8回に失策を誘った)あの打席も、打席に入る前に監督さんに、焦らず落ち着いて塁に出ることだけを考えろと言われて、そこでもう1回打ちたいという気持ちを押さえた。慎重に見ていって、結果敵に塁に出れたので、自分はそういう野球をチームのためにやっていければいいなと思います。
TEXT=菅野晋太郎 PHOTO=菅野晋太郎、伊藤梨妃