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平成28年度東都大学野球春季1部リーグ戦・中大1回戦
4月12日(火) 神宮球場
東洋大2-0中大
8奪三振、完封勝利と見事な投球を披露
試合が終わった瞬間、自信にあふれる笑顔を見せた
昨年登板なしの苦労人が大活躍している。先週行われた専大との開幕戦、自身初の先発を任されると変化球が冴えわたり、完投勝利を収めた石倉(営4=帝京)。今日の試合でも、圧倒的な投球を見せつけた。「専大との対戦で研究されていると思った」と内角の速球をうまく使う投球。開幕カードでは先発登板した2試合ともに初回に失点していたため、「ゼロに抑えることを目標に」とランナーを出しても気を引かなかった。4年生とチームを引っ張る立場となり、「気持ちの持ち方が変わった」と語り、「どう抑えるか、このピンチを切り抜けたらチャンスになるぞ」と今まで弱気になっていた場面での考え方を変えた。この「ゼロに抑える」という思いを毎回続け、結果三塁を踏ませない圧巻の投球で自身初の完封勝利。着々とエースの座を自らのものにしようとしている。
しかし、キャンプ前までこのような役割を担う立場ではなかった。「監督さんから学生コーチの打診があった」。選手として入部したのにも関わらず、コーチという一線引いた立場になることはとても辛いことだ。もちろん、選手として現役を続けたい。何度も監督に選手として復帰することを懇願した。しかし、2月のキャンプになっても受け入れられなかった。転機が訪れたのはそのキャンプ中。投手陣にけが人が出て、思わぬ形で指揮官から「ラストチャンス」が与えられた。すると紅白戦を含め、キャンプ中に好投。オープン戦でも完封勝利を上げるなど結果を残し、ようやく投手として認められた。今までは「チームに貢献できてない」とワンマンプレーを指摘されていた。学生コーチを経験し、チーム全体を見渡したことにより「いろんな選手と話して、いろんな考えを感じた」と自身の変化につなげていた。
リーグ戦はまだ始まったばかり。しかし、この男が勝ち続ければ自然と優勝という二文字は近づいてくる。1部復帰即優勝という偉業をこの左腕に託したい。
■コメント
・石倉(営4=帝京)
7、8回はしんどかった。(初回は)前の2試合とも初回に点を取られてしまったので、ヒットを打たれても四球を出しても、ゼロで抑えるというのを目標にやっていた。結果的にゼロで終わったのでよかった。試合中は狙い球が絞られていると感じたので、いろんな球を使って、コースにしっかり投げ分けるようにしていました。この間の専大との試合を研究されていたら、スライダーを狙ってくると思ったので、きっちり左打者も右打者も内側のまっすぐを使わなければと思っていました。(何か昨年から変わったところは)気持ちの持ち方が一番変わったと思う。打たれたらどうしようとか悪い方向に考えていた。今年になってから、どう抑えるか、このピンチを切り抜けたらチャンスになるぞという考えになっている。3勝できているけれど自分だけの力ではなく、打線の援護があるからだと思います。今日も流れが悪い中で笹川が一本出してくれた。さすがキャプテンだなと思います。1月の後半に監督さんから学生コーチの打診があった。何回か選手でやらせてくださいと監督さんには伝えていた。その時はいつも独りでプレーしていて、チームに貢献できていないと言われた。コーチを経験して、全体を見渡したことでいろんな選手と話して、いろんな考え方というのを感じて、自分の変化にもつながった。2月のキャンプの時に選手に戻った。ケガ人が出て、その代わりでラストチャンスをもらえた。その時の紅白戦で結果が出てそこから今まで流れが続いている。(大黒柱が抜けて)樹理(原・H27年度営卒=東京ヤクルトスワローズ)さんみたいにはなれないかもしれない。でも最上級生として投手陣を引っ張っていけたらいいなと思います。(次戦に向けて)リーグ戦はまだまだこれからなので一戦一戦しっかり戦って、優勝目指してやっていきたいです。
TEXT=青池藤吾 PHOTO=菅野晋太郎、山下華歩