記事
平成28年度東都大学野球春季1部リーグ戦・中大1回戦
4月12日(火) 神宮球場
東洋大2-0中大
(イニングスコア)
1回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
中 大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
東洋大 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 2 |
(東洋大)
○石倉(3勝)―西川元
本塁打:笹川
二塁打;西川元、田中将也、茶谷
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 |
1 | (遊) | 阿部健(営4=帝京) | 2 | 0 | 0 |
2 | (三) | 田中将也(営3=帝京) | 3 | 1 | 0 |
3 | (指) | 中川(法2=PL学園) | 3 | 0 | 0 |
4 | (中) | 笹川(営4=浦和学院) | 3 | 1 | 2 |
5 | (一) | 鳥居(営4=愛工大名電) | 3 | 0 | 0 |
6 | (二) | 津田(総1=浦和学院) | 3 | 0 | 0 |
7 | (左) | 茶谷(営4=東北) | 3 | 1 | 0 |
走左 | 西村(営4=広陵) | 0 | 0 | 0 | |
8 | (右) | 安西(営4=聖光学院) | 2 | 0 | 0 |
9 | (捕) | 西川元(営3=浦和学院) | 3 | 1 | 0 |
計 | 25 | 4 | 2 |
名前 | 回 | 打 | 安 | 責 |
○石倉(営4=帝京) | 9 | 30 | 4 | 0 |
公式戦2年ぶりの本塁打を放った笹川
喜びをかみしめ、ぐっと拳を握った
主砲をベンチが笑顔で迎える
副主将の阿部健(営4=帝京)と共に、声でチームを引っ張る場面も
勝ち点1を取り、迎えた中大戦。4回に笹川(営4=浦和学院)が公式戦2年ぶりとなる本塁打を放つ。先発の石倉(営4=帝京)は8つの三振を奪い、三塁を踏ませないピッチング。同級生の一発を守り切り、自身初の完封勝利を収めた。
打った瞬間これと分かる打球は、相手内野陣が一歩も動じない完璧な当たり。直球を左翼席に運んだ2点本塁打は「主砲・笹川」復活弾となった。指揮官も「きれいなホームランでしたよ」と褒め、4番としての活躍を果たすことができた。
本塁打から離れた542日。過去に2部首位打者を取った男は、スランプに苛まれた。4番が指定席のはずが、昨年には6番に降格した時期もあった。首位打者を取った頃の、のびのびと野球ができる状況から一変、今は主将としての重圧や相手チームから4番打者として徹底マークを受け、野球のやり方を変えざるを得なくなった。そんな中舞い込んだ主将の指名。「しゃべるのは得意じゃない」。口下手な男は、人生初の大役を「原(H27年度営卒=東京ヤクルトスワローズ)さんみたいに背中で引っ張れる主将」を目指す姿にした。調子を聞くたびに、「自分に任された責任は大きい」と何度も発している彼は、悔しさを練習にぶつける。「笹川が1番練習している」と安西(営4=聖光学院)が言うように、夜が更けても打撃練習を怠らなかった。その努力を彼の手のひらのマメが語る。試合中も、先発の石倉に笑顔で声をかけたり、ベンチで大声を出したりする姿に目標の主将像を感じた。開幕前に「チームが勝つにはホームランより打点。個人としてはホームラン打ちたいなという気持ちはあります」と打ち明けた。自身もチームも救った一発に「神宮で打てて気持ちよかったです」と語った主砲。微笑んだ表情でゆっくりとダイヤモンドを駆け抜け、好投している石倉にねぎらいの抱擁をした。
この復活弾で、チームに刺激を与えられただろう。主砲の復活と共に、チームは1部の頂へ、着実に登っていく。
■コメント
・高橋監督
(石倉は)奇跡だね。相手が左打者が多かったので助かりました。3回過ぎてから自分のペースになってきて、緩急というか、同じ変化球でもリズムを変えたりして投げられていたね。(笹川は)初めて仕事しましたよ。原に負けちゃいかんと毎日怒っていますからね、大したもんです。これでちょっと楽になったんじゃないかな。きれいなホームランでしたよ。
・笹川主将(営4=浦和学院)
1カード目は全然打てなくて、みんなに助けてもらった。今日は自分が仕事をするぞと思って朝から臨んでいたので、しっかりと仕事ができてよかったです。1打席目は外の球を狙っていたので、2打席目は少し引っ張ってボールを呼び込むように監督さんに言われた。その通りに狙って打つことができたのでよかった。指一本バットを短く持って、コンパクトに振っていこうと思ってました。(打ったのは)真ん中より内側の甘い球で、打った瞬間手応えはありました。(神宮での本塁打は)気持ちよかったです。自分もいつか打ってみたいなと思っていたので、それが今日できてよかった。(今季から1部に上がって)2部だったチームでもやればできると感じている。まだまだこれからだと思いますが、油断しないでやっていけば自分たちも勝てると分かりました。
TEXT/PHOTO 美馬蒔葉