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神宮球場の電光掲示板に3年ぶりに東洋の文字が躍った今季。投手陣が不安視されていた中、大健闘の勝ち点4。初の1部でのリーグ戦を終え、選手たちはこの結果をどう捉えているのだろうか。7季ぶりの一部で8勝できた理由を9日間に渡ってお届けする。
第7日目は西川元気捕手(営3=浦和学院)。正捕手として初めてのシーズンは自信満々に迎えたが、春季リーグが終わった今は大きな悔しさが残っている。しかし、西川の目はすでに次を見据えていた。(取材日=6月12日、聞き手=伊藤梨妃)
――今シーズンを振り返っていかがでしたか
悔しいシーズンでした。守りでは、点を取られて途中で変えられて、後半はフルイニング出場が出来ませんでした。バッティングでは、チャンスでの打率は結構良かったが、自分でチャンスを作ったり、流れを作ることが出来ませんでした。
――原因は
守りでは、冷静な精神状態、チームとピッチャーを引っ張るというような自分の能力がなかったことです。バッティングでは、チャンスではやってやるという気持ちが強かったが、先頭だったり、ランナーなしで回ってくるときは得点への集中力だったり、精神的な強さを出せませんでした。
――シーズンを通して大切にしていたこと、意識していたことはありますか
失敗してもこれが自分の実力だという風に考えたら、失敗からの切り替えがうまくできました。いいプレーも悪いプレーも納得いくプレーもいかないプレーもすべて自分の実力だと受け止めることを意識しました。
――最終戦の本塁打について
調子が特に良いわけではなかったです。打った瞬間にいったなとは思いました。オープン戦から國學院のカードが始まる前までは守りで悪いとそれを引きずってしまったことが多かったですが、最後は守りと攻撃の切り替えをはっきり切り離して野球をやっていたことがそういういい結果につながったと思います。
――開幕前も神宮でプレーすることは変わらないとおっしゃっていましたが、実際にプレーしてみてもそう思いましたか
球場自体がきれいであったり、戦う相手が変わっただけで、自分が精いっぱいプレーするということは2部とは変わらないです。スタンドからの応援は、仲間の声とかも聞くことが出来たのでそういうところは気持ちよかったです。その応援に応えたいなという気持ちになりました。
――シーズンを通してのチームの雰囲気はいかがでしたか
最初はよかったです。しかし、亜細亜大戦で勝ち点を落とした時はミスもあったりして、ミスがあったから悪くなったのか、悪かったからミスをしたのかそこはわからない。でも、亜細亜大の2戦は本当によくなかったです。
――そこからどう切り替えましたか
最終カードまで可能性としては少なかったが、優勝の可能性が残っていて、そこにみんなであきらめずに戦いに行こうという気持ちを選手ミーティングでもう一度再確認して残りの試合を戦えたことが日大戦や国学院戦につながり、勝ち点をとれたと思います。
――なぜ1部で8勝することができたのでしょうか
去年は原さん(H27年度営卒=東京ヤクルトスワローズ)や増渕さん(H27年度営卒=信越硬式野球クラブ)がいて、少ない点数でも勝つことができて、そういうことを経験してきた人が今の4年生に多かった。去年の入れ替え戦が終わった後に、来年はピッチャーも期待できないし、打ち勝たなければならないという気持ちを秋からずっと持ち続けてきました。そして冬を越えて、オープン戦を通して打線がチームを引っ張るということができました。それが8勝できた要因だと思います。
――一番印象に残った試合は
対中央2戦目です。ずっと、あの試合の前までは勝ち点2は最低取ることが、取ればチームとしても楽になると思っていました。それを目指してやってきて、前日とかもすごい緊張したし、逆転勝ちしたのといろんなピッチャーでつなぎながら、粘って勝ったことで、肩の荷が下り、すごいほっとしたので自分の中で印象深いです。
――それでは最後に秋季リーグに向けての目標と、夏に取り組むことを教えてください
個人では、打率は3割、盗塁阻止率7割以上を目指し、ベストナインに選出されるようにしたいです。チームとしてはリーグ優勝し、全日本でも優勝することです。夏に向けてすることはバッティングの向上と、守りではキャッチングを向上させるとともに、いろんなピッチャーの球を受けてコミュニケーションを取りながら自分がピッチャーを引っ張れるように。そのうえでなおかつチームを引っ張っていくというのを目標に取り組んで、それを必ず秋に成果として出します。