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文部科学大臣杯2016年度全日本学生レスリング選手権大会
8月25日(水)~28日(日) 大阪・堺市金岡体育館
[上位入賞者]
男子グレコローマンスタイル
98㌔級 中村(ラ2=宮崎工) 3位
130㌔級 黒木柾(法4=宮崎工) 3位
130㌔級 山口(済3=いなべ総合) ベスト8
男子フリースタイル
74㌔級 川畑孔(法1=樟南) 3位
74㌔級 南篠(法4=育英) ベスト16
86㌔級 川畑光(社3=樟南) ベスト16
125㌔級 山口 ベスト16
125㌔級 黒木柾 ベスト8
女子
53㌔級 宮原(社4=安部学院) 準優勝
55㌔級 白井(済2=足羽) ベスト8
60㌔級 鈴木芽(社1=市立太田) 3位
69㌔級 朝野(社2=滑川) 優勝
堂々と表彰台に立つ黒木柾主将
黒木柾は4年生の意地を見せつけた
気持ちで負けない川畑孔
男子グレコローマンスタイルでは98㌔級中村、130㌔級黒木柾主将が共にインカレ初の表彰台を上る。女子は69㌔級の朝野が見事優勝し、幸先良くインカレ前半を折り返した。3日目からの男子フリースタイルでは74㌔級川畑孔が3位を飾り、合計メダル6個と重量級を中心に昨年からレベルアップした姿を見せた。
「やっと一つ壁を乗り越えられた」。インカレ万年ベスト8止まりだった黒木柾主将が、ついに念願の3位表彰台に輝いた。キーポイントとなったのは自身が4年間磨いてきたという投げ技。準々決勝では1ピリで2点を先取し、その後注意を受けるも投げ技で得た2点を守り抜いた。準決勝ではオレッグ(山学大)に敗戦するも、4年目にして初のインカレ3位という結果に満足した表情を浮かべた。
男子フリースタイルでは、川畑孔が実力を発揮する。3回戦までを順調に勝ち上がり、「気持ちで向かっていった」という準々決勝。相手は新人戦でも当たった松雪(専大)だ。序盤に足を取られ先制を許すも、すぐにバックを取り巻き返しを図る。2ピリで相手の攻撃により一時は点差を縮められたが、終始攻め続けパワーと気持ちで10―3と引き離し、準決勝へと駒を進めた。準決勝では判定負けするも、インカレという大舞台でも物おじしない姿勢を見せた。3位という結果により全日本選手権への資格を得た川畑孔。「また一つ一つ頑張っていこうと思う」と、全日本ベスト8という新たな目標を掲げた。
黒木柾が「負けたとしても接戦だったり、最後まで粘り切った選手が多かった」と振り返る今大会。女子69㌔級で優勝した朝野はラスト数秒での大逆転勝利。頭で考えるよりも先に体が動き、気持ちでつかんだ勝利だった。男子グレコローマンスタイル98㌔級の中村は準々決勝での激しい競り合いに粘り勝ちで3位。また、表彰台へは届かなかったものの男子フリースタイル125㌔級の山口も消極的注意を取られながらもラスト20秒でバックが決まり、逆転勝ちを収めた。普段の練習では黒木柾を中心とした重量級が引っ張ってきた。その姿勢がそれぞれの成長につながっていることが証明された。
このインカレで4年生はほぼ引退となるが、東洋大の強みでもある重量級の層の濃さが健在する限り、気持ちは前に向かっていくだろう。秋に向けて、下級生の活躍にも注目だ。
■コメント
・若松監督
去年と比べるとメダルを取れたので練習の成果も少しずつ出てきてると思う。本人たちも目標をしっかり持って練習をやっているので、そういうところも結果につながっている。黒木柾はフリースタイルは負けてしまったがグレコローマンスタイルでは3位。自分が勝たないとという主将の意地を見せてくれた。プレッシャーもあったと思うが、勝っていきながらみんなに背中を見せていけたと思う。川畑孔は最低限ベスト4にはなってメダルは取るということをしっかりとできた。最後負けた相手は格上でテクニックも上だったので、具体的な指示は出さないで思いっきり気持ちでやりなさいと送り出した。川畑孔が高校3年生のJOCの時には1Pでテクニカルフォール負けしていたが、今回は判定負けということで少しずつは良くなっている。初めてのインカレとしては上出来。練習も自分から出稽古に行きたいと、自衛隊体育学校のレスリング部や専修大学へ行かせてもらったり、積極的にレベルアップを図っているので、これからもっと上に行ける選手。
・船津コーチ
練習した者は良い結果出してるよ。今回のグレコの重量級はチャンスもつかんでいて良かった。全体的に結果も良くなってきているのかなと思う。去年よりも人の話が聞けるようになったというか、切り替えが上手くなってきた。練習でも重量級を初め徐々に集中力が上がると、軽量級の選手も刺激されて真剣な良い練習になる。黒木柾を中心に重量級の選手が練習を引っ張っていた。(川畑孔について)センスが違うね。高校の3年間のうち1年間は肩の手術で棒に振っている。高校時代に仕上がってない中で成績を残してきて、大学はこれから。礼儀正しく真面目な選手。(今後は)上の層を強くして、下の層を引っ張るようなチームになってほしい。
・黒木柾主将(法4=宮崎工)
個人としてはグレコローマンスタイルで入賞できたことはとても嬉しい。3年間ずっとベスト8止まりだったが、ようやく念願の3位になれたので結果が残せて良かった。やっと一つ壁を乗り越えられた。自分がこの4年間で磨いてきた投げ技がキーポイントになってくれた。全体としてはみんな力がついてきていると思う。負けたとしても接戦だったり、最後まで粘り切った選手が多かった。(キャプテンとして)視野が広くなったと思う。リーダーシップの力を身に付けることができた。(次の大会は)全日本グレコローマン選手権には出ようと思っている。今回自信も戻ってきたので、上位入賞目指して頑張りたい。
・川畑孔(法1=樟南)
(3位の結果について)組み合わせが良かったのでもしかしたらいけると思っていたが、準決勝の相手は全然歯が立たなくて、まだまだだと思った。3位以内で全日本選手権の出場資格が得られるので、とりあえず3位以内を目標にやってきた。次は全日本に出られるのでまた1つ1つ頑張っていこうと思う。(合宿では)暑かったので重点的にスタミナを鍛えた。(新人戦からの改善点は)前の詰めと入ってからの処理を重点的に練習した。接戦になった時にスタミナが持つようになったのでギリギリでも試合は勝てるようになった。今後はグランド技を磨いていきたい。(全日本での目標は)ベスト8。(インカレで得たものは)ちょっとした自信。
TEXT=坂口こよみ PHOTO=木谷加奈子、梅山織愛、坂口こよみ