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第92回関東大学バスケットボールリーグ戦
10月16日(日) 駒大玉川キャンパス
東洋大74-56駒大
24|1Q|12
14|2Q|16
15|3Q|17
21|4Q|11
スターティングメンバー
2山口健大
29岩淵俊也
30川上海斗
33平孝介
88山本大貴
山本は最後まで集中を切らさなかった
山口は攻守にわたって活躍
積極的なプレーが目立った岩淵
終了の笛が鳴った瞬間、勝利への大きな歓喜の声と、安堵の吐息が会場を包んだ。前日喫した黒星で連敗の数は11となり、抜け出せないトンネルは選手たちを苦しめていた。そんな中で開幕2連勝から、47日ぶりにチーム全員でつかんだ勝利。駒大を相手に74ー56と快勝を果たしたが、決して簡単なものではなかった。
対戦相手は順位が1つ上の駒大。勝たなければいけない相手ではあるが、どこであろうとチームには勝利が必要だった。だからこそ絶対に負けられないこの一戦は、序盤から主導権を握る。1Qから攻勢を仕掛けて得点を重ねると、攻守にわたってリバウンドで競り勝ち、試合を優位に進めた。「リバウンドだけは負けられないと思った」と話した平(済3=東海大菅生)は、3連続で得点を決めるなど存在感を示した。相手のシュートミスからボールを奪って速攻を決める形がはまり、1Qを24ー12と大きく突き放した。
2Qと3Qで徐々に相手の得意なスリーポイントシュートが決まり始めると、じりじりと得点差を詰められてしまう。試合を優位に進めながらも、11回重ねた負けの記憶が頭によぎる。その不穏な空気を脱したのが山口(済4=桐光学園)だった。「リバウンドの大事さをわかった」とボールを奪い果敢に攻め込むと、後半から畳み掛けるように得点を量産した。
4Q半ばでのタイムアウト、試合時間もあと数分で13点差。勝利まで目前というところで、選手は笑顔を見せていた。その中でキャプテンの山本はこう声をかける。
「集中切れてるぞ」。
主将が感じていたものは、久々に手にかける勝利への高揚ではなく、過去に喫した悔しさの記憶であった。「トーナメントの早大戦では、4Qで15点差を返されて負けた。うちのチームはそういうことが多い」。実際にリーグ戦でも最下位の法政大に逆転負けを喫して、唯一の白星を献上するなど、勝利目前で手からすり抜けることもあった。「その不安がいい緊張感になった」と主将として山本がチームを引き締めた。焦りを見せる相手に対して、冷静に1Q同様に試合を進める。「1Qから4Qまで自分たちのバスケがやり通せた」と話した岩淵(済3=新潟商)も終盤まで積極的にパスカットを狙いにいく。リバウンドから速攻や、フリースローで確実に得点差をつけて、長かったトンネルを抜け出し勝利を手にした。
「出る選手が、一生懸命ディフェンス頑張ってくれた」と目(さっか)監督はチーム全員での勝利を口にする。前半活躍を見せ後半はベンチから大きな声をかけてメンバーを鼓舞した平も「みんなで盛り上げてみんなで声を出そうといっていた」と話す。東洋大が得点をするたびに大きな歓声が沸いた。選手、監督、スタッフ、マネージャー、応援席に観客席と全ての人が、最高の雰囲気を作った結果がこの勝利である。「チームで楽しんでバスケットができたら」。これは山本が次戦へ向け、よく口にする言葉である。最高の雰囲気と適度な緊張感のもと、楽しんでバスケをした選手たちに勝利の女神は微笑んだ。この先も厳しい戦いは続くが、楽しむことを忘れずに、選手たちは残りのリーグ戦を勝ち抜く。次に目指すは開幕以来の連勝だ。
◼︎コメント
・目(さっか)監督
本当に切らさずにディフェンスを頑張った。(チーム全員でつかんだ勝利だったが)出る選手が、一生懸命ディフェンス頑張ってくれた。何とか1勝できた。この調子で頑張りたい。(勝因は)やはりディフェンスのところ。向こうの得意なスリーポイントを、決められる場面もあったが、ちゃんと追っかけて守れていたこと。あとリバウンドを頑張ったこと。(次戦へ向けて)この流れで残りは全て全勝の勢いで頑張っていきたい。
・山本主将(済4=市立船橋)
周りから見たらただの1勝かもしれないが、自分たちは勝つことが目標だった。本当に苦しい期間だったが、大きな1勝だった。(プレーに勢いを感じたが)負けられない試合だったので、自分と山口がいかに点を取れるかだと思った。個人的にはリバウンドを負けないように、と考えていた。その考えがいい方向に向かった。(リバウンドが今日の勝因か)気持ちの勝負だと思った。絶対に負けないという気持ちでやっていた。(江戸川大戦へ向けて)相手は勢いもあって、サイズも大きい選手がいるが、自分たちのバスケットをやれば勝てる相手。毎回言っているが、チームで楽しくバスケットができたらいい。
・山口(済4=桐光学園)
勝ったことが一番自分たちにとって良かったことだった。最初からリードさせずに勝てたことも良かったので来週にしっかりつながった。(勝因は)練習から意識していたのはディフェンスを激しくやって、走ろうと思っていた。前半走れていて点数も取れたことと後半にルーズボールをみんな頑張って取ってくれた。(この試合は)みんなと駒大をぶちのめそうと言っていた。追い込まれていたのでそういう気持ちで臨んだ。(連敗は)本当に苦しかったがこの1勝は大きいので残りの試合全部勝てれば入れ替え戦もない。素直に連敗をストップできたのはうれしい。(次戦に向けて)江戸川大も今年は調子が良くて強い相手なので侮れる相手ではない。今日みたいな自分たちのバスケができれば江戸川大も相手ではないと思う。来週もきっちり勝って、2勝して最後の週につなげられればいい。
・平(済3=東海大菅生)
(今日の試合を終えて)とりあえず1勝できたことは嬉しい。(反省点は)ファールが多いということと、出だし、あとはイージーシュートを決めなきゃいけないところで決められなかったところ。(勝因は)全員でリバウンドルーズだったり、全員でバスケをしたことで勝てた。(リバウンドを多く取っていたが)やっばり身長的にも1番大きくて、1番活躍できるところがリバウンドなので、そこだけは負けられない。(次戦に向けて)次もこの調子でみんなでバスケをして勝っていきたい。
・岩淵(済3=新潟商)
1Qから4Qまで自分たちのバスケがやり通せた。今シーズン一番いい試合だった。今日の勝因はディフェンスでしっかりプレッシャーかけて、相手に楽にシュート打たせないようにしたということ。また、ディフェンスができたことで、リバウンドから自分たちの早い展開に持っていけた。(監督から求められることは)PGなのでチームをまとめることと、シュートを気持ち良く打たせること。個人的に今日はディフェンスが良かった。ゾーンディフェンスなので、予測してディフェンスしないと簡単にやられるが、今日は予測してできた。(次戦に向けて)江戸川大には1回負けてるので、リベンジするために1週間しっかり練習して勝ちにこだわっていきたい。
TEXT=藤井圭 PHOTO=土橋岳、水野桜、福山知晃