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第90回関東大学サッカーリーグ戦 2部リーグ(後期)
第18節 10月15日(土) 東京国際大学第一サッカー場
東洋大1ー1東国大
<得点者>
73分 仙頭
<出場メンバー>
▽GK
伊藤俊祐(国3=柏U-18)
▽DF
浦上仁騎(国2=大宮Y)
飯島樹生(国4=流経大柏)
徳市寛人(法4=東福岡)
水落敬(国4=埼玉栄)
▽MF
篠田朋宏(国4=青森山田)74分→MF原田守(国3=藤枝東)
宮野直也(法3=西武台)66分→MF丹代藍人(国2=青森山田)
坂元達裕(社2=前橋育英)
高橋宏季(国2=FC東京U-18)
▽FW
田中舟汰郎(国4=横浜FC・Y)45分→FW佐藤仁紀(国4=武南)
仙頭啓矢(国4=京都橘)
貴重な同点ゴールを決めた仙頭
浦上はフィジカルで相手に劣らなかった
最後まで体を張ったディフェンスを見せた徳市
ほとんどの時間が東国大のペースで進み、1点を奪われて前半を折り返す。今節も佐藤の投入を起爆剤に攻撃を活性化させ、後半ついにPKで同点に追いつく。互角の攻防を繰り広げた上位対決は引き分けに終わった。
共にリーグ最少失点を誇るチーム同士の対戦だけあって、1点が非常に大きな意味を持つ試合である。相手の最前線には今季ここまで13得点の大型FWがいたため、ディフェンスラインの奮闘が鍵を握った。また、ケガの勝野に代わり篠田がこの日のボランチを務めた。
開始から緊張感のある場面が続く。シンプルにFWにボールを当てていく相手のサッカーに浮き足立つ場面も見られた。フィジカルの強い東国大相手に空中戦は難しく、セカンドボールを拾って細かくパスを回し地上戦に持ち込む。すると23分、左サイドから展開し、出されたボールに坂元が飛び込むも、これはキーパーの正面。チャンスを逃すと一転、カウンターを仕掛けられる。守備の人数が揃う前に右サイドを突破され、早いグラウンダーのクロスが入る。これを徳市がスライディングでブロックするが、ボールは無情にもゴールへと吸い込まれてしまった。不運なゴールとはいえイレブンへのダメージがあったのか、その後は自陣でのプレーが続いた。
後半に入ると古川監督は佐藤を前線に投入し、状況の打開を図る。佐藤が入ったことで次第に球際の競り合いを制するようになり、ボールをキープしていく。47分に得たFKでは仙頭が直接狙うも、クロスバーに嫌われる。71分には右から左まで駆け上がってきた坂元のクロスに佐藤がヘディングで合わせるもゴール左に外れた。徐々に得点の匂いがしてきたところで、ついにその時が来る。エリア内で仕掛けた仙頭のプレーが相手のハンドを誘いPKを獲得。これを自らきっちりと決め、試合を振り出しに戻した。この時点で残り時間は15分、逆転するには十分な時間があった。攻撃の手を緩めずに佐藤、坂元が立て続けにゴールを脅かすも、枠に入らない。最後の最後まで攻め続けたが、追加点は生まれなかった。90分間戦い抜いた両チームの選手は試合終了のホイッスルと同時に膝に手をついた。このゲームのタフさを伝えるには充分な光景であった。
「あわよくば勝ち越したかった」と古川監督は淡々としながらも、悔しさを表した。首位相手に引き分けたことを良しとするのか、勝てた試合だったのか、難しいところである。リーグ戦も残るは4試合、うち3試合は共に昇格を争うチームとの対戦になるため、差を縮めるには落とせない試合が続く。もう勝ち点1では満足できない、勝利のみが求められる。
■ コメント
・古川監督
残り5試合という中で、今日しっかり勝てば東国大にも追いつけるような勝ち点差になると選手にも伝えて臨んだ。不運なオウンゴールもあって難しい試合だったが、なんとか追いついたので、あわよくば勝ち越せれば良かった。昇格に向けて最低限の結果は残せたと思う。(最少失点に抑えたディフェンス陣は)2失点目を喫してしまうと試合が壊れてしまったり、流れを持っていかれてしまったりする可能性もあった。前にも行きたいし、追加点を与えないという所の両立があったが、なんとか踏みとどまってくれた。(ボランチ起用の篠田について)久しぶりのインテンシティの高いゲームでいつもとは違ったんであろうし、途中までしか持たなかったなという所はある。もっと普段は良いプレーを見せていたりゴールに絡んだりしているので、もう1ギアぐらい上げて見せてほしい。(後半の戦術は)ゴールをとらないと行けない中で考えながら選手を配置していった。ゲーム展開の中でリードしたりしていればもっと別なこともできたかなと。早い時間ですべて交代カードを切ったので、負傷や疲労が心配でしたけどみんなよくやってくれたと思う。(次節へ向けて)もう自分達は勝っていくしかないので、しっかり集中して戦いたい。あとは他の試合の結果を見てみようと。なんとか最終節まで勝ち点3差の中で戦えるようにしたい。
・仙頭(国4=京都橘)
上位対決で勝点を落とさなかったことはポジティブにとらえられるが、残り試合少ない中で勝点3取れなかったのはあとがもう無いというのを証明していると思うので次は必ず勝点3を取りたい。(試合内容は)前半はなかなか主導権を握れなかったが、後半(佐藤)仁紀が入ってから前で抑えたり、タメを作ってくれたので後半は流動的な攻撃ができた。あの中で2点目を取らないと先制点を撮られたゲームでは勝てないのかなと思う。(惜しいFKもあったが)こういう試合でセットプレーで点を取れると大きい。惜しいではダメなのでしっかり決めきれるようにもっと質を上げないといけない。(PKでのゴール場面について)2枚喰い付いてきてたのでペナルティアリア内で間を浮かして通せば、相手が触らなければ通るし、あの高さだとちょうど手の高さになるので(ファ―ルになることも)考えてやった。今年入ってPKの場面が多くてビデオとかで研究もされているかもしれないがその中でも決めないといけない。冷静にGKを見て蹴れた。(昇格へむけて)勝てばひっくり返る差だし、直接対決を勝てば昇格もいける。首位・東国大がほかの上位との対戦も残しているので本当に例年より可能性が高いと思うし、勝つということにこだわってやっていきたい。
・徳市(法4=東福岡)
絶対に勝たなければいけないゲームだと思っていたので、結果的に自分のミスで失点してしまったのはチームに迷惑をかけてしまったなと思う。立ち上がりは相手の勢いにのまれた部分もあってロングボールも多くて自分たちのペースにならなかった部分があったが、失点して前半終盤くらいから自分たちのペースでボールを回せて良い時間帯を作ることができた。最近は自分たちのサッカーというよりは結果重視という試合が多くあった中でパスを回すサッカーというのができたのは良かったが、ドローで終わったのが残念。(対峙する選手について)強いし、動き出しがはやいというのは感じたがそこを抑えられれば問題ないかなと思っていた。(昇格へむけて)後期残り4試合の相手に前期は勝てていない。ラスト4試合は本当に試されていると思う。結果重視のサッカーになってしまうかもしれないが、今日みたいなパス回しに手応えもあったのでそこも大事にしながら結果を求めて全部勝ちたい。
・浦上(国2=大宮Y)
内容と結果を求めて試合に入ろうと思っていた。ここで勝つことができれば、首位・東国大にもプレッシャーをかけられたと思う。先制されて追いつけたのをポジティブにとらえていく。(対峙した選手について)強いというのはわかっていたし、自分もフィジカルを売りにしている。通用する部分が多くあったし、逆に相手の体の使い方がうまいなと感じる部分もあった。やられたという印象はないが、もっと抑えなきゃいけないと思った。(後半の手応えは)(佐藤)仁紀くんが入って攻撃にアクセントができて自分たちのサッカーも展開できた。同点にも追いつけた後、昇格するチームはもう1点取れる。取って勝てれば良かったが、前の明学大戦ではその後に失点して負けた。そういうことを考えると前向きにとらえるしかない。(昇格へむけて)自分たちもまわりも直接対決を残している。上位との対戦もだけど、それ以外のチームも必死にやってくる時期。一試合一試合集中して一戦必勝で昇格へむけて頑張りたい。
TEXT=美浪健五 PHOTO=當麻彰紘、豊川拳大、横山恵美
[次節試合予定]
第90回関東大学サッカーリーグ戦 2部リーグ(後期)
第19節 10月22日(土) 対東農大 中央大学多摩キャンパスサッカー場にて 11:30キックオフ