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2016.10.22

[射撃]インカレ開幕!山本拓の勝負強さ光り男子AR立射団体2位

文部科学大臣賞争奪

第63回全日本学生ライフル射撃選手権大会

兼 第29回全日本女子学生ライフル射撃選手権大会 3日目


10月20日(木) 〜23日(日) 埼玉県長瀞総合射撃場


3日目までの結果
◆男子エアライフル10m立射60発
須永 611.5点
二木 609.8点
井上 609.4点
山本拓 607.8点
砥綿 604.0点
浅見 603.8点
西村 598.0点
永井 597.1点
小田切 592.5点
山本達 582.8点
亀井 566.1点
前田 565.0点

団体(井上、二木、山本拓) 2位

◆男子ライフル50m三姿勢120発
浅見 1119点

◆男子ライフル50m伏射60発
小田切 605.8点
浅見 601.0点
二木 600.9点
砥綿 600.4点
西村 595.5点
前田 576.1点

◆女子エアライフル10m立射40発

吉本 400.1点

岩松 398.6点

丸山 393.9点
山下 391.7点
江頭 389.1点
日比 DSQ

◆女子ライフル50m伏射60発
丸山 554.0点


※個人の順位は全日程終了後に確定致します。


山本拓はプレッシャーに打ち勝つ射撃を見せた


 4日間に及ぶ全日本学生選手権(以下、インカレ)が今月20日に開幕された。3日目を迎えたこの日は男子エアライフル立射60発で団体2位に輝く。個人、団体合わせて今大会初の入賞となった。


 男子エアライフル立射60発の最終回転となった第E回転。3人の合計得点で争う団体の最後に登場したのは、この種目のエース山本拓(法2=足羽)だ。射撃が始まると初めの10発から103.4点の高得点をマーク。これで流れに乗ったかと思われたが、その後は点数が伸び悩む。それでも山本拓は、一度射場を離れ気持ちをリセット。終盤まで粘りきり、合計得点で団体3番に位置付けた。その後、2番だった立命館大のメンバーがコートの違反により失格。繰り上がりで2位が確定した。

 山本拓の射撃が終わった後、同じ団体メンバーの二木(法4=金沢辰巳丘)が「ホッとした」と言ったのには理由がある。2日目が終わった時点で4位東洋大と3位中央大の差はわずか0.3点。東洋大はルーキー井上(法1=国際学院)と主将の二木がそれぞれ609点台を記録するも、あと一歩及んでいなかった。そんな中、全てを託されたのが山本拓だ。中央大の鈴木との争いに前半からリード奪うも、一時は詰め寄られる。それでも今大会で引退を迎える4年生の為にと再び気を奮い立たせ、最後の4発は全て真ん中に命中。見事、1点差で逆転した。山本拓と鈴木の射撃は記録だけ見ればどちらも平凡だ。しかし、両者共にプレッシャーのかかる大事な場面。最後は山本拓の勝負強さが勝利を手繰り寄せた。

 射撃終了後、山本拓はその場で泣き崩れた。「4年生が引退する前に自分の活躍を見せつけたかった」。団体では2位を獲得したものの、個人ではファイナルに残れず自身の射撃には満足していない。今大会に向けては銃の装備を変更したのに合わせて、姿勢も修正。銃を支える手を平手にし、以前よりも銃を体に近づけた。参考にしたのは海外選手の動画であり、全て独学だ。明日のエアピストルにも出場予定だが、練習時間は全て今回のエアライフルに注ぎ込んできただけに悔やまれる。それでも、「(来年は)1位を狙える。先輩たちに恩返しをしたい」と最後は真っすぐに答えた。流した涙はまた彼を成長させるはずだ。


 シーズン最大の大会であるインカレも残すところあと1日。いよいよ主将でエースの二木が射撃の“花形競技”男子ライフル50m三姿勢120発に挑む。春から何度も口にしてきた「インカレ優勝」。二木はこの日も「自信しかない」と静かに言い放った。


■コメント

・二木(法4=金沢辰巳丘)

団体2位は努力の成果が出た。一人一人の点数は練習と比べると力を発揮できていなものもいるが、3人とも平均的に撃てたのが良かった。(井上は)打ち終わった後、すごく悔しそうな顔を見せていた。本来なら620点は撃てる選手なので。でもいいスタートをしてくれた。(自分の射撃は)二人のエースに比べて、もう一人の枠が決まらない状況の中、自分が選ばれた。自分自身ももう少しいけたら良かったが、これが自分の実力。ライフルだけでなくエアライフルでも引っ張て来れたので良かった。(山本拓の射撃を見ているときは)ホッとした。最後の4発を前に抜かれていたが、最後の4発を見事に真ん中に入れてくれた。ギリギリで勝って自分のことのように嬉しかった。ただ、やはり山本拓もいつもの点数ではないので悔しいと思う。(最終日の三姿勢に向けて)優勝を狙う。1回転目は終わって残りの2回転が明日なので、同じ環境の中で撃てる。自信しかない。


・山本拓(法2=足羽)

団体2位を取れたことは嬉しい。個人としては残念な結果。(射撃を振り返ってみて)今思い出しただけでも泣きそう。まだ何が足らなかったか分からない。あとで写真を見返して研究していきたい。今回はピストルとエアライフルに出るが、エアライフルの練習しかしてこなかった。それなのにこの結果で終わったので悔しい。練習では決勝に残れるくらいの点数は出ていた。(今日に向けて変えたことは)銃の装備を変えたこともあり、銃を支える手をグーからパーに姿勢を変えた。誰にアドバイスをもらったわけではなく、海外の選手の打ち方を動画や本を見て真似した。(終わった後の涙は)4年生が引退する前に決勝に残って自分の活躍を見せつけたかった。今日は4年生に決勝を応援させるつもりで来た。それができなくて本当に悔しい。(二木さんからは)「よくやった」と言ってくれた。(来年に向けて)今回はラッキーな形で2位になった。今のメンバーから自分と井上は残るが、二木先輩はいなくなる。空いた枠に次は誰が入ってくるか分からないが、自分と井上がいつも通りの点数を出せれば1位を狙える。個人ではライフルも始めるので総合団体1位を取って先輩たちに恩返しをしたい。


・井上(法1=国際学院)

4年生の最後のインカレということで入賞はしたいと思っていた。自分の射撃がいつもの点数より悪かったが、先輩方が助けてくださった。日頃の練習のおかげだと思う。(自身の射撃は)4年生が最後ということで気負いをし過ぎてしまい、自分の射撃を見失ってしまった。銃の保持能力がまだ足りないのでそこが課題。銃をしっかり持てれば、ぶれずに打てるので。(ここまでの今シーズンを振り返って)1年生ということで仕事もたくさんある中で、大会によっては入賞も出来た。来年、2年生になってからは大会全体の点数を上げて、落としてもファイナルに残れるような点数を出していきたい。


TEXT/PHOTO=伊藤空夢