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2017.02.23
コラム

第545回 2000日が僕に与えたもの 執筆者・當麻彰紘

 とうとうこの日が来てしまいました。これで本当の意味で引退、OBとなるのですね。皆様お元気にしているでしょうか。今週の担当は當麻彰紘です。20歳最後の日にコラム担当が回って来ました。これも何かの運命なのでしょうか。


 引退した今、これまでの3年間を振り返ってみると、20年生きてきた人生の中でも特に密度の濃い3年間だったなと強く感じています。苦悩することももちろんありましたが、スポトウを辞めたいなどと思う暇も無く一瞬で3年が過ぎ去っていきました。それほどスポトウ部員としての日々は、私にとって新しい発見と驚きと、何より喜びが凝縮されていたのだと思います。人と環境に恵まれていた故の充実なのかもしれません。


 さて、最後に何を書こうか。あまり悩むことはありませんでした。写真についてです。「うわ、固い話やな!」と思った方々も心配しないでください(笑) 何も技術論をダラダラ書くつもりはありません。


 スポトウ入部当初の私は人を撮る面白みが分からないバカでした。だから写真を撮るといっても無心かつ機械的にしかできない。結局その状態は2年生の夏前ぐらいまで続きましたかね。スポトウ人生のほぼ半分です。引退式の時に「1年生の頃は何のためにスポトウをやっているか、よくわからなかった」なんて話をしました。きっと写真がその感情に与えていた影響は今考えると大きかったのかもしれません。


 しかし、1枚の写真でつまらなくてバカな自分から卒業することができました。ついに気付いてしまったのです。人を撮る面白さに。それは一昨年のアミノバイタルカップ(サッカー部)取材でのことでした。個人的な事情もあり高校時代から結果を気にしていた、坂元選手の大学初ゴールの瞬間の写真でした。

周りの様子や風景も相まって、この写真での坂元選手の表情はより際立って見えました。スポトウに入って初、写真の出来にその場でガッツポーズしてしまった1枚でした。それからの私はというと、とにかく選手の表情を捉えることを大事にしていました。結果、満足する写真はその後も次々に撮ることができ、パソコンのフォルダも華やかになりました。


 3年生になってからは、物事に感情がより顕著に表れるようになりました。記事も写真も、私の普段の生活そのものにも。昨年7月に発行させていただいた第74号の1面を担当した時に関しては、もう感情のあるままに面を作っていました。読者の皆様を置いてきぼりにしていたとしたら、本当に申し訳ありません。ただ開き直るわけではありませんが、数十年が経った後にこの新聞を見て「若い頃の自分ひどいな」なんて笑えるような新聞だと思うし、それで良いと思うのです。10代の頃の自分よりも今の方がよっぽど心が若いです。もちろんいい意味で。それが今の幸せです。


 実は初めて写真と向き合ったのは高校生の頃でした。適当に写真部に入って2年生では部長も務めて、ちょっと良いなと思った風景画をそれなりに撮るだけの生活。特段趣味の延長でもなく、すごくやる気があったわけでもありませんでした。撮影時も「綺麗だな」程度の感情しか持たない、今考えてみると最高につまらない男です。感情が生まれるカケラも無い。もっと粋がっても良かったのに。


 そんな高校時代から数えて2000日を超える日々にまとわりついてきたカメラと写真は、結局は自分を変えるきっかけを与えてくれました。もしかしたら自分を変えたというよりも、本当の自分を教えてくれたと言った方が正しいかもしれません。引退してからまったくカメラには触れていませんが、今後何か困ったらカメラを抱えてどこかに出かけてみようかなと思います。ファインダーから自分を覗けば、まだまだ色々見えてきそうです。


 …ここまで約1500字。長くて鬱陶しいコラムですね。ただこれだけは言わせてください。これまで取材先で協力してくださったサッカー部、準硬式野球部、柔道部、卓球部の関係者の皆様、3年間本当にお世話になりました。ありがとうございます。今後のますますのご活躍をお祈りすると同時に、来年度からも後輩のことをどうぞよろしくお願いいたします。


 最後に、今までスポトウで撮った写真の中でも特に好きな2枚を載せてお別れしようと思います。これからは一人のOBとして、スポトウで情報を集めながらいいオッサンになっていきたいです。最後まで読んでいただきありがとうございました!