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第23回関東大学女子駅伝対校選手権大会
9月24日(日)印西市千葉ニュータウン周回コース
総合1位 東洋大 1:39'40(30.6km)※東洋大新
1区(4.6km)和田美々里 14'53(5位通過・区間5位)
2区(4.5km)山口いずみ 14'31(4位通過・区間5位)
3区(3.3km)室伏杏花里 10'42(2位通過・区間2位)
4区(5.8km)白川恵理菜 18'16(2位通過・区間1位)
5区(4.6km)森田歩実 15'44(1位通過・区間5位)
6区(7.8km)大倉真歩 25'34(1位通過・区間5位)
初の快挙に笑顔を見せた
スタートからいい流れをつくった1区・和田
第1中継所 2区・山口
第2中継所 2区・山口(左)→3区・室伏
第3中継所 3区・室伏(左)→4区・白川
第4中継所 5区・森田
第5中継所 5区・森田(左)→6区・大倉
1位を守り切り、ゴールした6区・大倉
選手達の晴れやかな笑顔が印象に残る。第23回関東大学女子駅伝対校選手権大会が行われ、東洋大は創部6年目にして見事、悲願の初優勝。10月の全日本大学女子駅伝(以下、杜の都)に向け、幸先の良いスタートを切った。
1区の和田(食1=順天)は、粘り強いレースを展開し、終始先頭集団でレースを進めた。ラスト1㎞過ぎでスパートをかけて5位でタスキリレー。1区の東洋大記録を更新する走りを見せ、チームにいい流れをもたらした。2区を任された山口(食2=順天)は、「リラックスしていけた」と語るように、安定感のある走りを見せ順位を1つ上げて4位でタスキをつないだ。スピードが持ち味の3区・室伏(食3=白鴎大足利)は、「どんどん攻めていこう」という言葉通り、積極的な走りを見せた。2.5㎞付近で前を走る日体大と城西大に追いつき、残り300m付近でタスキを取り勝負に出た。瞬く間に2チームを抜き、順位を2位まで押し上げた。4区の白川(食2=常総学院)は夏に実業団の合宿に参加するなど、レベルの高い練習を積んだ成果を発揮し、見事区間賞に輝いた。城西大とほぼ同時にタスキを受け取ったが「絶対に負けないという気持ち」を体現し、城西大を突き放して単独2位に上りつめた。さらに、大東大との差も縮め5区の森田(食3=浜松商)にタスキをつなぐ。2位で受け取った森田は、「とにかく前を追おうと思った」という言葉通りに約25秒あった1位大東大との差を徐々に詰めていき、ラスト300〜400mのところで抜き去り単独1位に躍り出た。そして各大学のエースが集まり、今大会最長区間である6区に大倉(食2=埼玉栄)が挑んだ。タスキを受け取った時は「怖くて、怖くてしょうがなかった」と振り返るものの最後までトップを死守。仲間たちが待ち構える中、笑顔で腕を突き上げ、1番でゴールテープを切った。
1区、4区、6区で東洋大新記録を更新、全員が区間5位以内というまさにチーム全員で勝ち取った優勝だった。しかし、「一人一人を見ているとまだ負けている」と永井監督が言うように、杜の都で昨年以上の結果を残すためにはさらなるレベルアップが必要不可欠である。"関東1位"という勢いのままに、杜の都で過去最高順位を狙う鉄紺女子から目が離せない。
■コメント
・永井監督
シードを獲っているということでアンカーに白川をおくことも考えたが、今回の大会は和田の1区の適性とアンカーの大倉の長い距離でエース区間というプレッシャーの中でどれだけ走れるかを仙台前に見たかったというのが区間配置の意図だった。(レースを振り返って)1区からいい位置でいってくれて、いい流れを前半でつくってくれたので白川が先頭を見えるところまで来てくれて、森田も堅実な走りで安定もしている。大東大に何らかのアクシデントがあったのかもしれないが、しっかり追いついて先頭で大倉に渡してくれたというこの流れをつくれたのが、一番の収穫だった。最終区間に他の大学はエースが集まっていたので、そういう意味では大倉にプレッシャーがあったと思う。そのプレッシャーの中でよく最後まで逃げ切って、いい走りをしてくれた。これがうちのチームでの大きな収穫。これで自信を持ってくれれば、仙台にもつながるかなと思う。(白川の区間賞、室伏の区間2位について)白川はそのくらいで走ると思っていた。室伏は昨年より成長している。1区と6区以外は昨年と同じ配置だが、昨年よりみんなが成長しているので優勝という結果が出たのかなと思う。(杜の都への手ごたえは)一人一人見ているとまだ負けている。ここからやれることは限られているが、しっかりやれることを1つ1つやっていかなければ仙台でも勝負にならないので、基本からもう一度選手たちに伝えてやっていきたい。(杜の都に向けて)昨年も関東で3位というのが自信になって、シード権につながったので関東優勝で仙台に行けるので、昨年よりも1つでも2つでも上にいけるようにしっかり準備したい。
・1区 和田美々里(食1=順天)
(今回初めての駅伝で1区に選ばれたが)1区は最初の流れで、優勝というチームの目標があってその流れを自分がつくって後半に先輩たちがいるのでしっかりタスキを渡したいと思っていた。(今回の駅伝までには)しっかり距離も踏みつつ、関東女子はけっこう距離が短めなのでスピードも上げて両方をうまく両立するような練習をしてきた。(レース展開は)ラスト1km過ぎまでずっと集団だったので、とにかくそれについていって粘ってラストスパートをかけるという感じだった。やはり駅伝ということもあって周りの応援もすごく自分一人のことで諦められないということもあって粘り強いレースをすることができた。タスキを渡す時は、後半はみんな先輩たちだったので頼みましたという気持ちだった。(東洋大新記録だったが)自分が思っていた以上にタイムが良かったけれど、ラストの粘りのところとかは周りと僅差で近かったので、もっと最後上げられたら良かったと思う。課題としては、ラストの粘りがまだまだ足りなかったのできつくなってからの切り替えをできるようにしていく。(杜の都に向けて)関東女子優勝といういい流れで迎えることができるのでまた選手として走ってチームに貢献できるようにしていく。
・2区 山口いずみ(食2=順天)
(レース展開は)少し前に城西大と日体大がいたので、そこを目安にして走った。(タスキをもらったときは)リラックスしていけた。このコースを走るのは2年目なので、落ち着いて入れたら。(順位を1つ上げたが)走っていて東農大が近づいているのが分かったので、抜かせるぞと思っていた。城西大と日体大もそう遠くはなかったので追いつきたかった。(課題は)後半のねばり。(杜の都に向けて)関東の大学で1番になったので、全日本では5位以内を目指したい。
・3区 室伏杏花里(食3=白鴎大足利)
(レース展開は)1番短いコースで皆が長い距離を頑張って走ってくれる配置だったので自分は短い距離で得意のスピードを生かして区間賞を取る走りで貢献できたらと思って走った。(4位から2位に上げたのは)2.5㎞くらいで追い付いてラスト300mでみんなタスキを取って仕掛けたので、そこで自分もいった。(プランは)去年は守りで入ってしまったので今回はどんどん攻めていこうと思ってとにかく攻めていった。(昨年と同じ3区だったが)去年よりもコースを知れてすごく短く感じた。(杜の都へ向けて)今回優勝できてすごくいい形で終われたが、大東大や日体大、東農大はフルメンバーではなくまだエースが出ていない。この結果に満足しないでもっと皆で上げていかないと全日本で戦えないので、まだ1ヵ月あるので気を引き締めて頑張っていきたい。
・4区 白川恵理菜(食2=常総学院)
(2位でタスキを受け取ったが)とりあえず前を追おうというのがあって、城西大と一緒にタスキが渡ったので絶対に負けないという気持ちだった。前と30秒くらいの差があって、見える範囲にはいたので少しずつ追おうという感じだった。(2位でタスキを渡したが)自分が精一杯だったので背中を押すことしかできなかったが、(森田)歩実先輩とは今同じ部屋で一緒にタスキリレーできるし頑張ろうと話していた。(自身の5区の東洋大新記録での区間賞について)大東大の谷萩さんが速いということは知っていたし、その人との勝負になることはわかっていたので自分が夏にやってきたことを信じれば、大丈夫だと思っていた。(チームの東洋大新記録での優勝について)ずっと合宿でもみんなで声を掛け合って頑張ってきたので、その成果がちゃんと発揮されてうれしい。(杜の都へ向けて)次もまた1区を走らせていただきたいと思っているので、去年は(区間)8位が目標だったが今年は杜の都でも区間賞というのを目標に、必ず区間賞をとってチームにいい流れをつくっていけるような存在になりたいなと思う。
・5区 森田歩実(食3=浜松商)
自分のタイムは去年より遅くて、悔しいが優勝できたので良かった。合宿前までは本当に調子が悪くて、(合宿は)Bチームだった。(メンバーに)選ばれるかわからなかったが、合宿でだんだん調子を上げていくことができて、選んでいただいた。選んでいただいたからには、しっかり自分のベストを尽くそうと思っていた。タスキを受け取ったときに2位で1位が見えていたので、とにかく前を追おうと思っていた。(大東大は)ラスト300〜400mくらいのところで抜かした。去年に比べたらまだまだ調子が戻ってきていないので、全日本に向けてしっかり調子を上げていきたい。(杜の都に向け)今回優勝したので、全日本ではしっかり去年以上の走りができるように、約1ヵ月しっかり練習を積んで自信を持っていけるようにしたい。
・6区 大倉真歩(食2=埼玉栄)
(レース展開は)逃げる展開だったので、逃げることに精一杯で何秒でいこうとかはなく、とりあえず必死に逃げていたという感じ。後半は、少しきつかった。(課題は)やっぱり最後粘れないところ。最後にバテてくるので、もうちょっと粘れる体を作りたい。(6区に指名された気持ちは)走るのは自分が1番最後だろうなっていう気持ちがずっとあったし、自分自身も6区を走りたいなっていう気持ちがあったので、そんなにびっくりとかはしなかったが、やるからにはやっぱりしっかり役割を果たさないといけないなと思った。タスキを受け取った時は、本当に怖くて怖くてしょうがなかった。ゴールした時は、まだ実感が全然なくて、皆が「おめでとう、おめでとう」って言ってくれて優勝したんだなって思って、良かった、逃げ切れたんだなって改めて思った。(東洋大区間新記録は)全然遅いと思っていたのでただただびっくり。でも、素直にうれしい。(杜の都に向けては)チーム全体としては5位以内、関東勢の中では1位が目標でそれを全員で達成すること。個人的には、今回と同じように最長区間を走りたいと思っていて、関東以外に関西にも強い選手がいっぱいいるので、それに負けないくらいに戦える力をつけたいと思っている。
TEXT=森崎睦仁 PHOTO=吉川実里、小野由佳莉、福山知晃、森崎睦仁