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平成29年度関東大学アイスホッケーリーグ戦
10月8日(日)東伏見ダイドードリンコアイスアリーナ
東洋大0―4中大
貪欲にゴールへ向かうFW古川誠
主将としてチームをけん引したFW山田
GK古川駿は途中出場から無失点に抑えた
優勝という目標に立ちはだかる第二の壁、中大戦。明大戦の敗戦を受けそれぞれが臨んだ試合だったが1ピリでは開始直後に決められた先制点を含む2点、そして2ピリにさらに2点を失点してしまう。3ピリで奮闘するも決定打に欠けゴールを決められず。0―4と黒星を重ねた。
それはあっという間の出来事だった。開始15秒、中大のシュートがゴールに突き刺さり失点。すかさず気持ちを切り替えて“東洋大らしい”フィジカルな攻めを展開しようとするも相手のDFにカットされ、安定した攻撃をすることができない。止まらない相手の猛攻をGK水田(社2=駒大苫小牧)やDF陣を中心にしのぐが、1ピリ終了前におとずれたSH(ショートハンド)の局面で相手に得点を許す。
このまま相手に主導権を渡したままにはできない。迎えた2ピリでもFW陣を中心に積極的なゴールへのアプローチを仕掛けるがゴールに阻まれる。得点できない一方で4分も経過するころには2点の失点を重ねた。負けじとスピードをのせたドリブルから展開する1対1や、セットプレーなど多様なオフェンスを見せるが、どれも得点には結びつけることはかなわなかった。PP(パワープレー)の好機を得点にするべくフロントコートで慎重にパックを回したいが、相手の高い位置からのプレッシャーになかなかゴール前で落ち着いてプレーをさせてもらえない。「3ピリは自分たちのホッケーができた」と古川誠(社3=白樺学園)が語るように、調子を取り戻し始めたのは最終ピリオドからだった。相手のシュートを全員で防ぎ、パックを保持すると一気にオフェンスに転じてハードワークする。最後まで決して諦めることなくゴールに向かい続けたが、ゴールネットを揺らすことはかなわなかった。最終スコアは0―4。“完封負け”という、優勝を掲げるチームにとって痛い結果になった。
今試合で際立ったのは失点ではなく、無得点だ。「FWがスコアリングチャンスを決め切れるようにならないと(いけない)」と主力のFW古川誠は語る。FW山田(社4=埼玉栄)は「点を取らないと勝てない」と自身、並びにチームのオフェンス面に関して叱咤し、その上で「結果に結びつかないと何にも意味がない」とストイックに語った。GK古川駿(社3=八戸工大一)が指摘した課題は出だしの悪さ。立ち上がりの遅さがその後のプレーにも影響してしまい、この結果をもたらしたと分析。2つ目の白星を相手に献上したものの、課題を見つめ直す機会を得るゲームになった。
試合を終えた監督、選手それぞれが口にした言葉。それは「力を出し切れていない」、「東洋大のホッケーができていない」だった。失点から始まった試合はチームの立ち上がりを阻害し、彼らのプレーを奪った。立て続けに襲う苦難の局面。それを今後どう打破してゆくのか。チームの真価が問われている。
■コメント
・鈴木監督
全体的に力が出し切れていなかった。ファーストシフトで点数とられたところから最後までリズム掴めなかったゲームだったと思います。(PPのプレーに関して)PP(パワープレー)は前の試合からもやっぱり大きな課題だった。そこを克服したかったが、なかなかそんなにプレッシャーが強かったわけじゃないけれど、落ち着いてパックを回すなどができず力を出し切れていなかった。(ペナルティに関して)正直ちょっとペナルティに関して基準がつかみにくかった試合だった。試合途中でレフェリーともコミュニケーションとったが、選手も含めてあまり基準を理解できていなかった。ただもちろん選手たちも色々なところで対応していかなければならない。(敗因と課題)もちろんこれは優勝のかかった大きな試合だと選手もたちも感じていたが、やっぱりその気持ちを実行に移せていなかった。やはりファーストシフトで点数とられたっていうこともあったが、そういうのも含めて大事な試合で力をだし切れるメンタリティが必要。(次戦に向けて)まだ優勝なくなったわけではないですし、ここほんとに口だけではなくてしっかり切り替えて次100%力を出し切れるように準備していきたい。
・山田(社4=埼玉栄)
2ピリ3ピリで少しは動きを修正できた面もあったが、やはり序盤に失点してしまってそこからずるずる悪い流れが払しょくできないままになっていった。14試合ある中でこういう展開があるのは想定していたが、そういう中でこういう局面に直面した時に誰かが何かアクションを起こして流れを変えていけないとやっぱりリーグ戦を戦っていく中で優勝は難しくなってくると思う。その辺りを意識してやっていきたい。(敗因と課題)敗因は序盤押され気味で失点してそのままずるずるいってしまったこと。課題としてはFWもなにか打開策を見つけること。やっぱり点を取らないと勝てない。(自身のプレーへの評価)やっぱり自分の意識の中では一生懸命やってはいたが、それが結果に結びつかないと何にも意味がない。得点という結果で表したり、試合に勝つっていう結果に表したり。「頑張ったから勝てた」と言えるように結果残していかなければいけない。(中大戦に向けてあった意識)僕から特別「優勝がかかっているから(頑張ろう)」、とか言う以前にみんなそういう意識でできていたとは思うが、やっぱりそこが弱かったのかな。(厳しい局面に向かっていく意識)みんな流れが悪いっていうのもわかっていて、その中でどう変えていくかっていう部分。そこでみんなが自主的に自分はこうしよう、って考えが必要。やっぱり誰かがやってくれるだろう、じゃなくて自分が変えるんだとか自分がこうしなきゃいけないだとか、そうやって責任もってそれぞれがやればもう少しカムバックできたのかもしれないと思う。(次戦に向けて)リーグ戦は負けても次の試合があるので、その辺りがメンタル的にもカギになってくると思う。この2戦の敗戦っていうのは60分間通して東洋のホッケーができていなくて負けている。そこを出し切って勝ちきれるようにしていきたいと思います。
・古川駿(社3=八戸工大一)
(今日の試合を振り返って)準備が足りなかった。気持ちの準備が重要で、個人的に中大はライバルだと思っているので完封負けというのは悔しい。(中大の印象)システムがすごく徹底していて当たるところは当たるし声がとても出ている良いチームだと思う。(今日の試合で見えた課題)いつも出だしが悪く、今回も出だしがとても悪くて失点をしてしまったのが課題。これが今回のような重要な試合で出てきたのでこれを克服できるよう頑張っていきたい。(次戦に向けて)早稲田は勝ち切らなければいけない相手だと思うので勝ち点をしっかり取りに行きたいと思う。
・古川誠(社3=白樺学園)
(この試合を振り返って)3ピリは自分たちのホッケーができたと思っている。1ピリ、2ピリは流れに乗り切れずに失点という場面が多くて今まで通り自分たちのホッケーができなかったという印象が強い。(中大の印象は)意識してやっていたわけではないが、いつも中大には大事なところで負けていたので、明治に僕ら先週負けてここ落としたら優勝が遠のくってことでみんな気合い入れてやっていたと思う。準備不足でみんなの意識とかそういうところがひとつになっていなかった場面で1ピリ開始早々の失点につながったのかなと思う。(試合前にチームで話したことは)先週負けて今週負けたら2連敗という形だったのでそれは避けたいなっていう風に話した。相手の1セット目は昨年から僕たちと一緒にやっていて強いセットだったので、そこに得点を許さなければいい試合になると思っていた。結果そのセットに3.4点くらい決められてそれが0―4という結果につながった。(この試合で見えた課題は)明治戦も中大戦も得点が少なくて、それだったらいくらGKが最少失点に抑えても勝てるチームにはならないと思うのでしっかりFWがスコアリングチャンス決め切れるようにならないとこの先強豪校とやるとき勝てないのかなと思う。(次節へ向けて)一次リーグ最終戦なのでそこしっかり勝って今までのベストゲームして、二次リーグにつなげていきたいと思う。
TEXT=外狩春佳 PHOTO=金澤瑞季、梅山織愛、岡村珠里