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第31回関東大学女子サッカーリーグ戦 1部リーグ 第7節 10月22日(日)東洋大学板倉キャンパスサッカー場
東洋大3ー1筑波大
<出場メンバー>
▽GK
垣内愛菜(食3=大商学園)
▽DF
井口遥菜(食4=神村学園)
久保真理子(食1=浦和LY)
常田菜那(食1=大商学園)
山幡あや(食2=常盤木学園)
▽MF
松井彩乃(食3= 聖和学園)
田嶋みのり(食4=飛鳥)
大島彩香(食2=久喜)
常田麻友(食1=大商学園)→79分 斎藤麻由(食2=常盤木学園)
▽FW
楠春佳(食3=千葉U-18)→87分 青木美尋(食3=成立学園)
大内梨央(食1=常葉学園橘)
3点目を決めて笑顔を見せる田嶋
常田菜のシュートから同点弾が生まれる
豪快なロングシュートを沈めた松井
2試合勝利なくホームに戻ってきた東洋なでしこ。豪雨の中で行われた一戦は、先制される苦しい展開だったが、ロングシュート2本を含む3得点で筑波大に3-1と逆転勝利を果たし、インカレ出場へ望みをつなげた。
コンディションは決して良くなかった。朝から降りしきる雨でピッチには水たまりができてしまい、他会場は延期するところもあった。その中で戸田監督は「ポゼッションサッカーができない中で選手たちがどこまで割り切ってできるか」を求めた。前半はピッチに順応することに時間がかかり、あまりチャンスをつくれない。14分、20分とセットプレーからゴールを狙うものの、得点は奪えず。「相手が自陣を向きながら、ボールを処理させる」ことを戸田監督はハーフタイムで改めて選手たちに整理させる。東洋大の追い風となる後半、先制するために前がかりになるも、58分に直接FKを左隅に決められて筑波大に先制を許してしまう。しかし「相手に火を付けられた」と田嶋(食4=飛鳥)はこの失点について振り返り、眠っていたチームがここから本来の勢いを取り戻す。
東洋大は68分、CKから一度はクリアされるものの、こぼれ球を常田菜(食1=大商学園)が拾うと左足でシュートを放つ。ボールは左ポストをかすめながらネットに吸い込まれ同点。反撃ののろしを上げる。さらに5分後には、「(シュートを)打てるチャンスでいつもパスを選んでしまっていた」と自らの課題を挙げた松井(食3=聖和学園)の豪快なロングシュートが突き刺さり一気に逆転へと持っていく。その後は相手陣内へボールを押し込み、優勢に試合を進めると85分には田嶋の距離のあるシュートがネット揺らして3点目。3-1と危なげなく3試合ぶりの勝利を収めた。
「ゴールにボールが向かっていかなければ、得点は生まれない」と選手たちに何度も話をしていた戸田監督。ピッチコンディションが悪く、志向するスタイルが展開できない状況の下、得点を生んだのはシュートへの意識だった。「今週ずっとシュート練習をしていた」と田嶋が話すほど、意識が高く保たれていたからこそ生んだ逆転劇。今節、悪天候で先制されるという逆境に立たされても、それを跳ね返す力をチームは付けていった。次週は第39回皇后杯全日本サッカー選手権大会が始まる。勝ち抜けば、なでしこリーグのチームとも戦うことができるこの大会。ひとつでも多く勝ち上がれるように、東洋なでしこはさらなる成長を続ける。
■コメント
・戸田監督
悪天候の中、自分たちの目指してるポゼッションサッカーができないことをどれだけ選手たちが割り切れるかが重要だという話をした。前半色々な迷いや葛藤があって、ハーフタイムでもう一度整理させた。後半、流れがよくなったと思ったら、あの素晴らしいフリーキックで失点してしまった。しかし、早大戦の大敗から多くを学び、その後チームが諦めずに攻め続けた結果、3点を取ることができた。チームとしては成長できる1試合だった。(後半追い風でシュートの意識が高かった)ゴールにボールが向かっていかなければ、得点は生まれないという話をして、そこにいく回数が多いチームが、間違いなく点が入るという話をしていた。ハーフタイムでの指示が、後半のミドルシュートもそうですし、同点のシュートも本来だったらセンタリングを選択していたところをシュートの選択をしたのが結果的にゴールにつながった。(次戦へ向けて)帝京平成大と違うところは、皇后杯の切符を手にしていて。皇后杯と並行して勝負と内容にこだわっていけないというのを考えると、身体的な部分や精神的な部分が、さらに大人にならないと難しいかなと思っている。来週から皇后杯も始まって、また勝つと日程がずれないといけなくなるというのも、チームとしてやっていかなければいけないところ。さらに格上のチームとやれることはチームにとっていいことだという形で、成長していければと思う。
・田嶋(食4=飛鳥)
パス回しができないっていうのはわかっていたので、割り切ってゴール前にボールを放り込むというのを監督から言われていた。(失点してからは)先制点は本当は取りたかったけれど、相手に火をつけられた感じ。そこは反省であり課題であるところだと思う。(ゴールシーンを振り返って)狙ってました。今週ずっとシュートを練習してきたので、練習通り入ってよかった。(久しぶりの勝利には)勝てずに苦しかったのでここで1度断ち切れたのは大きかった。あと2節しっかり勝ち点3を取れるようにしたい。(次節へ向けて)帝京平成大は個人的にも負けたくない相手なので、しっかり勝てるようにいい準備をしたい。
・常田菜(食1=大商学園)
いつもと違うピッチ状態だったので、自分たちのプレーをするというより、状況に合わせて相手の嫌がるプレーをしていこうと思っていた。(同点ゴールについて)ゴールを狙おうというのは決めていたけれど、そのこぼれだったりで最終的に得点につながればいいなと思っていた。(勝ち点3を取れたが)この試合で勝ち点3を取れないと厳しい状況になっていたので、とりあえず必要な勝ち点3を取れたのは良かったと思う。(次節へ向けて)もう勝ちしか狙っていないので、チームとしてやることをしっかりやって自分たちのサッカーをして勝ちたい。
・松井(食3= 聖和学園)
ピッチコンディションがすごく悪くて、その中でも自分たちは割り切って自分たちのサッカーはできなくても勝ちにいくということをこだわってやった。(ゴールシーンについて)ずっとミドルシュートは意識していた。ボールがいいところにこぼれてきたので距離は遠かったがあとは振り抜くだけっていう感じ。ミドルシュートはチームが始まってからずっと自分の課題で。打てるチャンスでもいつもパスを選んでしまう。今日はピッチコンディションが悪いということなので何かあるのではないかというのを信じてやり続けた。(久しぶりの勝利だが)今まで勝ち点3を取れていなかったのでここで取らないとこの後苦しくなってくる。勝ち点3を全員で取りに行くぞという気持ちで。ピッチに立ってる11人が失点しても諦めずに最後まで戦うというのを意識して戦った。(次節へ向けて)皇后杯あけて1週間空くが、次の相手は帝京平成大。自分たちと同じ代に1部に上がって絶対に負けたくない相手。今順位が上にいるということでそこで勝つことが一番。そこで勝つことでインカレ出場が決まってくるので絶対に勝つという気持ちで戦っていきたい。
[次節試合予定]
第39回皇后杯全日本サッカー選手権大会
1回戦 10月29日(日) 対NGUラブリッジ名古屋 真岡市総合運動公園陸上競技場にて 14:00キックオフ
TEXT=藤井圭 PHOTO=美浪健五、金澤瑞季