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第35回全日本大学女子駅伝対校選手権大会
10月29日(日) 仙台市陸上競技場~仙台市役所前市民広場
総合9位 東洋大 (38.0km) 2:09'10
1区 (6.4km)白川恵理菜 20'49(4位通過・区間4位)
2区 (5.6km)室伏杏花里 18'38(4位通過・区間9位)
3区 (6.8km)和田美々里 22' 54(6位通過・区間8位)
4区 (4.8km)森田歩実 16'47(8位通過・区間10位)
5区 (9.2km) 大倉真歩 31'45(8位通過・区間12位)
6区 (5.2km)内田寧々 18'17(9位通過・区間13位)
4位という高順位で後続へ繋げた白川
第2中継所 2区・室伏(奥)→3区・和田
第3中継所 3区・和田(奥)→4区・森田
第4中継所 4区・森田(左)→5区・大倉
第5中継所 5区・大倉(右)→6区・内田
シード権を逃し悔しさを滲み出す主将内田
富士山女子駅伝に向けて新たな一歩を踏み出す
あいにくの雨に見舞われた全日本大学女子駅伝(以下、杜の都)。関東女子駅伝で優勝し勢いに乗る東洋大はシード権獲得と昨年の8位越えを狙った。しかし、1区の白川(食2=常総学院)が4位と好スタートを切るもののレースが進むにつれて他校の猛烈な追い上げに屈する。惜しくもシード権獲得となる8位の座を譲ってしまい、最後は9位でゴール。2年連続でシード権獲得を目標にしていたチームにとっては悔しい結果となった。
1区ではエースの白川がチームにいい流れをもたらす。自ら永井監督に志願し、昨年と同じ1区を走ることとなった。「付いていくだけのレースだった」と振り返る昨年の悔しさをバネに今大会では2.2㎞過ぎから自ら集団を引っ張る積極的なレースを展開。目標の区間賞には届かなかったが、白川は「強い選手がいる中で積極的に前へ出られたことはすごくいい経験になった」と収穫もあった。プラン通りの力走を見せ、4位と高順位で2区の室伏(食3=白鷗大足利)へとタスキをつないだ。室伏は昨年も同じ2区を出走したが、入賞圏内の8位から10位へ順位を落としてしまい、悔しい思いをしていた。その経験から今レースは昨年集団に離されてしまったラスト1㎞にポイントをおき、最後まで粘りの走りを見せる。1区の出遅れを巻き返そうと他校が追い上げる、順位変動の大きな2区でしっかり4位を守り切った。3区では和田(食1=順天)が積極的に前の選手を追う。しかし日体大の凄まじい追い上げに抜かされてしまい、後続との差も徐々に縮まり4位集団は4校となった。順位を2つ落とし6位で4区の森田(食3=浜松商)へ。森田はこの集団から抜け出して再び流れを引き寄せたいところだったが、調整の疲れもあってか調子が上がらず、2つ順位を落とし8位に。最長区間の5区には関東女子に引き続き大倉(食2=埼玉栄)が出走。8位までのシード権を獲得するためにここで1つでも順位を上げ、後続との差をつけたいところだ。しかし、順位を上げることができず、最低限の8位をキープしアンカーの内田(食4=学法石川)へタスキが渡る。後続の追い上げによりシード権獲得の8位争いはし烈を極める。「後半の下りを過ぎてからが勝負」と監督の読み通りにレース展開が激しくなる。一時は3人の集団ができるも最後あと一歩粘ることができず9位に後退。そのまま東洋大は9位でゴールテープを切った。
今大会を振り返って選手は口をそろえて「悔しさ」を露わにした。自分の区間で順位を落としてしまった選手、チームに十分貢献できなかった選手など悔しさはそれぞれである。また「目標設定があやふやになってしまったまま今大会を迎えてしまった」と永井監督は反省点を挙げた。悔し涙を流す結果となったがチームはすでに年末に行われる富士山女子駅伝でのリベンジに燃え、今回の悔しさを原動力にさらなる成長を誓った。強い東洋大を証明するためにまた新たなスタートが始まる。
◼︎コメント
・永井監督
前半1、2、3区は思い描いた通りだった。1区の白川がいい位置で持ってきてくれて、その流れでレースの流れにうまく乗ってくれていた。4区の森田が集団を抜け出していってくれるかと期待していたが、調整の疲れが残っていたのかなと。そこで誤算はあったが、大倉も淡々とよく走ってくれた。6区の内田は仙台に入ってから山口の足の状態が悪かったため急きょ出ることになったが、その中で今の内田の力は出せていた。ただ相手が1枚上手だった。(チームがリベンジするために必要なことは)シードを昨年取れて、今年も5位以内という目標を掲げていたが、なんとなくチームの中ではシードを守ろうというような雰囲気になっていた。シードを守るというポジティブな雰囲気ではなかった。守るというより強気で5位以内というのをもっともっと考えながら1年選手と考えながらやってこなければならなかった。その辺があやふやになってしまったまま今大会を迎えてしまったのが反省点。その辺の隙を突かれてしまったのではないかと思う。(富士山駅伝は)昨年、仙台が8位で富士山は入賞できなかったので今年はここで悔しい思いをしているので、富士山ではしっかりと上位で走れる駅伝ができるように頑張りたい。今後、本当に日本一というのを明確に選手たちに言って日本一になるためにも何をしなければいけないのか、どうしたらいいのかというのを必死に考えていかないと、そこから上のチームはなかなか勝たせてくれない。選手も私も覚悟を決めて日本一になるんだという気迫を前に出していけるチームづくりをしていかなければならない。(卒業生もたくさん応援に来ていたが)女子長距離は6年目でまだ歴史も浅く、伝統というほどのものでもないが、こうして応援してくれるのは頼もしく心強い。今後もいい伝統を築いていきたい。
・1区 白川恵理菜(食2=常総学院)
自分から監督にもう一度1区を走らせてほしいと言っていた。もう一回走るからには区間賞を狙っていたが、区間4位で悔しさの残るレースだった。雨ということもあって、滑って転んでしまうことが怖かったので今年も昨年と同様に最初は様子見て、前に出られたら積極的に出ようと思っていた。レースプランは思い通りにいったが先頭が一人最初から出ていて、自分が前に出ようと思ったときには3秒、4秒の差ができてしまっていた。そこは考えていなかった。自分も考えていなかったのもいけないが、もう少し早く離れたときに前に出ることができていれば良かった。課題は最後の5km過ぎからきつくなってきてからの踏ん張りがもっと必要なのかなと思う。収穫は昨年は積極的に前に出ることなく、付いていくだけのレースだったが、今年は坂を越した2.2km過ぎから自分で前に出て、引っ張って前を前をといけた。強い選手がいる中で積極的に前に出られたことはすごくいい経験になったと思う。(富士山駅伝に向けて)今回9位ということですごく悔しい思いをしたので富士山では、昨年もあまりいい結果ではなかったので、笑って今年度を終えられるようにチームのエースとしてしっかりいい走りをできるようにしたい。
・2区 室伏杏花里(食3=白鷗大足利)
(調子は)あまり自信がない状態で、不安ばかりだった。(2区を任された時の気持ちは)1年生の時から、2区を走ってきて、昨年つまずいてしまったので、そのリベンジを果たそうと強気にいった。(レースを振り返って)1区の白川がすごくいい位置でもってきてくれて、2区は順位変動が激しい区間なので、その1区からのいい流れを壊さないように、粘り強く付いていけた。(課題と収穫は)昨年はラスト1キロで集団から離されてしまったので、今回はそこにポイントをおいて、今回は前に付いて粘れたのでそこは収穫。しかし、上には上がいて集団の1番速い人に最後、おいていかれたのでそこは練習不足。(4位を守り切ったことについては)走る前はそんなに走れると思っていなかったが、4位でタスキを持ってきてくれた時、強気になれて守り切れた時はホッとした。(富士山駅伝に向けて)去年、杜の都でシードを獲って富士山駅伝でそれを証明できなかったので今回、杜の都でシード権を獲れなかった悔しさをぶつけたい。
・3区 和田美々里(食1=順天)
いい順位で来たのに自分が順位を落としてしまった。終えてみて1番思うのは申し訳なかったということ。(レースプランは)とにかく前を追って走ろうと思っていてちょうど一緒にいける人がいたので、しっかり付いて粘っていこうと思って走った。スタートしてすぐに後ろから抜かれてそこで前にいた大学が同じくらいのペースだったので付いていった。(3区は2番目に長い距離だったが)走る前は初めての長い距離ということで不安もあったが本番中は前を追っていくことだけ考えて走っていたのであっという間だった。(富士山駅伝へ向けて)今回はシードを取ることができず、応援してくれた人に申し訳ない結果しか残せなかったので富士山駅伝ではこのチームの締めくくりとして、また自分が走って今度は応援してくれている人が喜んでくれる結果を残したい。
・4区 森田歩実(食3=浜松商)
とにかく前を追おうと思って走った。(6位でタスキをもらったが)チームの目標は5位以内だったので、とにかく自分のところで少しでも前にいこうと思っていた。(前の選手は)見えていたが自分の力不足で逆に抜かされてしまって、とても悔しい。(4区での起用について)去年に比べて自分は調子があまり良くなかったし、頼もしい後輩たちが走ったのでとにかく自分の区間でしっかりいい順位でつないで、最長区間の(大倉)真歩に(タスキを)渡したいと思っていた。(富士山駅伝に向けて)今回目標としていた順位に達することができなかったので、しっかり自分たちの目標を達成して最後、笑顔で終われるようにしたい。
・5区 大倉(食2=埼玉栄)
(関東女子に続き最長区間を任されたときは)自分の一番走りたかった区間だったので自信を持っていこうと思っていたが結果を見るとまだまだだなというのを感じた。(遠征やコンディション調整は)いつも通りにできたと思うが若干疲れが残ったというのは感じた。(レースを振り返って)前にけっこう相手がいて、城西大に追いついたところまでは良かったが、そのさらに前の大阪学大と関西大にはどんどん離されていってしまってぜんぜん追いつけない位置になってしまい、後半いこう後半いこうと思い前半は抑えていたつもりだったが抑えてても普通にきつくてどんどん離されて(自分の力が)まだまだということを実感した。(8位という順位でのレースだったが)シード権は絶対欲しかったのでもっと前の順位で自分は渡したかったが、結局8位ギリギリで渡すことになってしまったことが反省点。今回のレースの収穫はほとんどなくて自分の考えが甘かったと感じた。関東女子で優勝して調子に乗っていた自分がいて、本当はまだまだ何もできていないことがわかった。富士山駅伝もあるのでそれに向けてもう一度自分の私生活から見直して一から頑張ろうと思った。(富士山駅伝に向けて)絶対8位以内に入ってしっかり強い東洋を見せていきたい。
・6区 内田寧々(食4=学法石川)
(起用されたときは)うれしかったが、山口の代わりということで元々走るメンバーの走りをしなければいけない部分で、役目を果たせなかった。自分の気持ちとしては最後エントリーに選ばれて、走れて本当にうれしかったが、代わりを補える走力が無かったなと思う。監督からは中継所に向かう前に、前半の上りを抑えて下り過ぎてから勝負だからと指示があった。1km手前で抜かされたが、そこは付いていかないで自分のリズムで刻もうと思って、監督からの指示を頭に入れて走った。やはり下りが終わってからがレース展開が激しくなったので、落ち着いてスタートできたのは良かったと思う。(課題は)個人としては4年目で一番富士山も杜の都も走ってレースを経験してきた中でも、こういう走りしかできなかったことは日頃の練習不足とか自分の生活の詰めの甘さとかが勝負なので出たと思う。チームとしては問題なくみんな練習できていた。ただ山口が足に不安があったが、全体的にはしっかり練習できていた。今回の負けはやっぱり最後の区間しっかりシード権内で持ってきたのにも関わらず、つなげなかった自分の責任が大きいと思う。(富士山駅伝に向けて)昨年も富士山に出させてもらって(自分の)7区で抜かされてしまって順位を落とすというレースだった。悔しくてもう一回7区を走りたいという気持ちがすごくある。今回こんな走りしかできなかったが、最後にもう一回7区に選ばれるように、アップダウンが多いコースなのでしっかりそこに対応できるように準備していきたいと思う。
TEXT=小島敦希 PHOTO=森崎睦仁、吉川実里、稲村真織、小島敦希、福山知晃