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第65回全日本学生剣道優勝大会
10月29日(日) 日本武道館
1回戦
東洋大 2-1 朝日大
2回戦
東洋大 3-3 関大 ※総本数負け
三山は勝負強さが光る、チームに欠かせない存在だ
1、2回戦ともに勝利を収めた井田
服部は主将としてチームをまとめ上げた
第65回全日本剣道学生優勝大会(以下、全日本)が日本武道館で開催された。東洋大は、この大舞台で2回戦まで進んだものの3対3の総本数負けで敗戦。悔しさの残る結果となった。
「楽しんでいこう」。主将の服部(ラ4=白河)は試合前、選手たちにそう言い聞かせこの全日本へと挑んでいった。1回戦の相手は、シード校の朝日大。先鋒の三輪が引き分けで耐えるも、続く我妻(法4=京北)が小手を取られ1本勝ちされてしまう。しかし三将の井田(ラ2=本庄第一)が攻めの姿勢を見せると、面を2本取り見事勝利。東洋大側に流れを引き寄せた。続くキャプテンの服部、青木(ラ4=市立川口)はともに引き分けとなり悔しさをにじませたものの副将の三山(文3=九州学院)が勝負強さを見せる。重要な場面を「余裕だった」と振り返る三山。その言葉通り、終始攻めの試合を繰り広げると面を2本取り勝利。最後の新保(ラ4=東京学館新潟)も引き分けとリードを守り抜き、2回戦進出を決めた。
続く2回戦では、次峰・我妻を児玉(ラ2=新潟商業)に変更し関大に挑んだ。その児玉が活躍を見せる。1得点を追う展開の中、果敢に1本を狙いにいく積極的なプレーを披露。するとその姿勢が身を結び小手を2本取り、1対1と同点に追いつく。続く井田も1回戦同様、面で拮抗(きっこう)した試合を制し東洋大にリードをもたらした。しかし中堅の服部が開始早々、胴を取られ1本勝ちされてしまうと試合は振り出しに。再びリードを奪うべく続く青木は戦ったものの、引き分けに終わり苦戦を強いられてしまう。すると副将の三山が反則勝ちを収め、3対2と逆転。このまま守り抜けばベスト16進出が決まるという展開に。そんな中、勝敗は大将の新保に託された。お互いベスト16進出をかけて終始白熱した戦いが繰り広げられていく。なかなか技が決まらない。そしてついに、惜しくも相手に小手を取られてしまう。1本を奪い返し、引き分けに持ち込みたいところだったがそのまま試合終了。3対3と勝者数は同じだったものの、総本数が関大に及ばず敗戦。ベスト16はかなわなかった。新保も「責任を果たせなくて悔しかった」と唇を噛んだ。
納得のいく結果を得ることができなかった今大会。しかし「負けている状況だとしても全然暗くなることなく明るい雰囲気だった」という服部の言葉にぴったりな、明るく団結力のあるチームで戦い、全国の舞台で1勝を収められたことは全部員にとって財産となったに違いない。11月には新人戦を控えている。「自分たちも行ける日には練習に行こうと思っている」と今大会で引退となった青木は語る。後輩思いの4年生の期待を胸に、個人個人が課題を克服し、次の戦いへと挑んでいく。
◾︎コメント
・板原監督
(試合を振り返って)結果的には2回戦で敗れたが、実力的には十分戦えたと思う。やはり勝負の世界なのでそこで明暗が分かれてしまった。(相手校の印象は)1回戦目は、相手も勝ち抜いて全日本に出場してきているので何とか中間までが勝負かなと思っていたので、そこは上手くいけたと思う。2回戦目は、1本に対するものが出せなかった者もいるし、出す者もいるので、チームワークとしてはいいチームに仕上がったと思うが、そこが勝負の世界なので。(4年生に対して)今年の4年生は剣道部員74名をまとめてくれて、剣道部の雰囲気も全部つくってくれたので本当に感謝してる。(新人戦に向けて)新人戦には、男子も今回のメンバーが3名がいるので、彼らを中心に1つでも多く勝ち進み優勝を目指して頑張りたい。
・服部主将(ラ4=白河)
今日はまず試合前から全員で1試合でも多く勝ちにいく中で、このチームでの最後だったので楽しんでいこうということを言い聞かせた。雰囲気も、負けている状況だとしても全然暗くなることなく明るい雰囲気だったので、本当に1年間やってきた形が素直に出た良い戦いだったと思う。(同期に向けて)男女合わせて数十名いたが、本当に一生懸命やってくれて、キャプテンとして1人で出来なかったことも共になって支えてくれて本当に助かったし、感謝している。(後輩に向けて)今年のチームには2年生が3人入っていたし、新人戦のメンバーも決まって練習試合もやっているし、いい形になっているのでまずは新人戦から結果を残せるように。自分達も協力してまたこの舞台で1試合でも多く楽しくやってくれたらいいと思う。
・青木(ラ4=市立川口)
(試合を振り返って)関東学生からチームで頑張ってきて、全日本も優勝を狙う気持ちでやってきて、結果としては悔しい部分が大きい。しかし、このチームでやってくることができてよかったなと思っている。(同期に向けて)ずっとこの4年間、辛いときもしっかりまとまってやってきた。主将の服部を中心にチームづくりをしっかりやってきてくれた。自分としてはそれをしっかりサポートしながら、どう勝ちにつなげていくかというところを気をつけていた。今大会に出た4人は特に試合を一緒に出ていた仲で、よく遊びに行ったりもしていた。この代は出てない選手も一緒の気持ちになって戦ってくれていたので感謝している。だからこそ、この結果で申し訳ない気持ちでいっぱいだ。(後輩に向けて)2、3年生が他に5人メンバーに入っていて、特にこいきりょくがすごい。まだ主将は決まっていないが、その人がチームの支柱となって今年以上の結果を出してくれることを期待している。自分たちも新人戦まで行ける日は練習に行こうと思っているので、期待したい。
・我妻(法4=私立京北)
(試合を振り返って)負けてしまったことは仕方ないことだが、チームに貢献できなかったことはすごく悔しい。(同期に向けて)自分が勝てない分、かなり負担をかけてしまった部分があるので、そこを感謝したい。(後輩に向けて)強いメンバーが揃っているので、これからしっかりチームを組み立てて頑張ってほしい。
・新保(ラ4=東京学館新潟)
今日までチームみんなでしっかりまとまってやってきて、キャプテンが本当に引っ張ってくれて、自分は大将のサポートを任されていたのに、最後の自分の試合で責任を果たせなくて悔しかった。(同期に向けて)大学に入った時は本気で上を目指しているとは思ってなかったが、今のチームが良くなって、本気で目指して、助け合って戦えて本当に楽しかった。(後輩に向けて)自分達がいなくなって寂しいと思うが、今度は自分達を超えられるようにしてほしい。絶対出来ると思うので、頑張ってほしい。
・三山(文3=九州学院)
(全体を振り返ってみて)悔しい。初めの試合で厳しい場面があったが、余裕だった。(今日に向けて練習で)大事なポジションを任されているので、絶対一本取りにいく練習、気持ちの作り方を意識してきた。今年は納得のいかない結果だったので、来年は優勝したいと思う。
TEXT=小野由佳莉 PHOTO=森美香子