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2017.11.15
硬式野球

[硬式野球]継投策実らず 無念の準決勝敗退

第48回明治神宮野球大会準決勝

11月14日(火)

●東洋大0ー4日体大

(イニングスコア)

準決勝









東洋大

日体大


(東洋大)

甲斐野、山下、中田、村上、片山翔-西川


・打撃成績

打順守備
名前




(中)竹原(法3=二松学舎大付)


(左)古田(法4=天理)

3
(一)佐藤(法2=聖光学院)

4
(捕)
西川(営4=浦和学院)


5
(三)
原澤(営4=前橋工)




蛭田(法4=平塚学園)
6
(右)宝楽(営4=PL学園)




末包(営3=高松商)



7
(二)
田中将也(営4=帝京)


中田(営3=大宮東)

納(総1=智弁学園)


村上(総1=智弁学園)


片山翔(法4=大社)

諏訪(総1=浦和学院)


0 
8
(遊)
津田(総2=浦和学院)


山本(法1=作新学院)





小川(法1=霞ヶ浦)


0 
9
(投)
甲斐野(営3=東洋大姫路)




山下(営2=東邦)

打二
中川(法3=PL 学園)








30








・投球成績

名前


球数

四死球


甲斐野
31/31648

山下
 2/3




中田


32




村上


10




片山翔


15





飯田に代わりマウンドに上がった甲斐野

全日本に続き大舞台での好投を見せた中田

1イニングを投げ抜きリズムを作った‪村上


全日本大学野球選手権(以下、全日本)で成しえなかった日本一をするべく挑んだ明治神宮野球大会(以下、神宮大会)の準決勝。相手先発の松本(日体大)の巧みな投球術に序盤から苦しむ。今季ベストナインを獲得した甲斐野(営3=東洋大姫路)に先発マウンドを任せるも4回3失点で降板してしまう。最終回に1死一、三塁の好機を迎えるが二直と走者が飛び出してしまい併殺打。4安打と最後まで松本を攻略できず、決勝の舞台に駒を進めることは出来なかった。

 

 甲斐野は 「初回から飛ばそうと思った」と持ち前の力強い直球と変化球を駆使する変幻自在の投球で、一回を三者凡退に抑える。二回もその調子で2者連続三振を決めたが、後続の打者に左前安打を浴び、さらに盗塁で得点圏に走者を背負ってしまう。なんとしても抑えたい場面だったが、「変化球が高く入ってしまった」と次の打者に4球目を弾き返されてしまう。この打球が、一塁手佐藤(法2=聖光学院)と右翼手宝楽(営4=PL学園)の間に落ちる不運な安打になり、先制点を奪われてしまった。四回には1死から左フェンス直撃の二塁打を浴びると、7番打者が放った打球は佐藤のグラブを弾き右前へ。宝楽の返球も届かず追加点を奪われ降板。「まだ投げたい」という気持ちを胸に秘めマウンドを降りた。

 

   「頼んだぞ」という甲斐野の言葉と共に白球を受け継いだのは山下(営2=東邦)だ。今季リーグ戦はブルペン待機が続き登板機会がなかった変則右腕が投じた1球目にスクイズが決まり追加点を献上してしまう。続く打者を三振に抑えるも、一番打者が放った打球は山下の足元に返され、万事休す。追加点を覚悟したが、竹原(法3=二松学舎大付)の素早い送球によって本塁で刺殺。「クロスプレーは1試合に何度も起こらない。そのワンプレーワンプレーを甘く見るな」という指揮官の言葉を胸にプレーし続けてきた結果が見事花開いた。五回には、中田(営3=大宮東)の好救援からリズムを作り出し、その後は村上(総1=智弁学園)と片山(法4=大社)のリレーでつないだ。投手陣が粘るものの、相手先発の松本を最後まで打ち崩せないまま最終回に入る。原澤(営4=前橋工)の中安が飛び出すとベンチのボルテージが上がった。代打・末包(営3=高松商)の右中間への安打で好機を拡大。しかし、追撃及ばず日本一への夢がここで途絶えた。

 

  「監督をもう一度胴上げしたい」という強い気持ちのもと挑んだ神宮大会。惜しくも目標に届かなかったが、敗戦の中に来年に向けての希望も垣間見えた。再び日本一の栄光を手にするために。残る者たちは去る者たちがなしえなかった目標に向けて戦い続ける。


◾︎コメント

・高橋監督
今日の試合は何としても決勝に行くことだけを考えていた。甲斐野が投げているうちに先制点を取って、何とか前半相手に点を取られることを避けたかったが、簡単にツーアウトから点を取られてしまい甘さが出てしまったなと思う。(相手投手の松本投手は)両サイドに揺さぶるいい投球を見せていた。原澤は合ってたと思うが全体的になかなかタイミングを合わせられなかった。 (3年生以下の選手に対して)末包は1番パワーがある選手。なかなか結果が出なかったが最後打ってくれたので来年はクリンナップを打ってくれるような選手になってくれると思う。甲斐野も今日は失点してしまったが、よく投げてくれたと思う。来年はいいチームになると思うので今度こそ日本ーを取ってくれると思う。中川も万全ではない状態だったが最後ヒットまで打ってくれたので、来年はチームを引っ張っていってほしい。
(神宮大会を振り返って)課題は残してしまったが1回でも勝てたことは大きな財産だと思うので来年につなげてほしい。

・中川(法3=PL学園)
自分たちの力不足だった。あと一本が出なかった。日体大の力が上回っていた結果。足は問題ない。万全の状態で試合に臨んだ。(交代しなかったが)最後まで出たかった。監督には、悔いなく思い切っていってこいと言われた。追い込まれていたが、後ろにつなごう、塁に出よう、と思いが安打になった。3年間、打てなくても試合に出させてもらっていた。ずっと中川が打たないとチームは勝てないと言って下さっていた。3、4番を任せてもらって、毎日たくさん指導して下さった。成長させてくれて感謝でいっぱい。来季はこのチームを日本一にするために、自分が先頭に立って引っ張りたい。勝負強くて、元気で活気のあるチームにしたい。(4年生に伝えたいこと)苦しい2部時代を乗り越えて、優勝、そして全国まで連れてきてくれた。思い出もたくさんあって、お世話になった学年。尊敬している。

・甲斐野(営3=東洋大姫路)
先発は昨日から言い渡されていた。飯田(営4=常総学院)さんが怪我で投げれない分しっかり投げなきゃいけなかったのに不甲斐ない結果に終わってしまった。飯田さんからは「頼むぞ」と一言声をかけてもらった。本来なら1人ずつ抑えて最少失点で切り抜けなければならないところを打たれてしまった。日体大打線はしっかりと順応してくるので適度にかわす投球が必要だったのにできなかった。(監督が今季で勇退で)残念だし寂しい気持ちもある。技術面だけでなく精神面でも様々なことを教えていただいた。来年は優勝して監督に報告をしたい。(来季の体制は)投手陣がいい年になると思う。だから、その分しっかりと自覚を持ってプレイしていきたい。

・佐藤(法2=聖光学院)
監督さんや4年生と長くやりたかった。怪我で離脱した中川さんが出塁し、古田さんがつないでくれた場面でスイングすらできなかった。自分の精神的な部分が足りなかった。4年生には「終わりじゃないんだからお前泣いてんな」と言われたが、やっぱり4年生が好きで。厳しく接してくれて期待してもらったのに結果が出せなかったことが一番悔しい。監督さんは自分の努力を買ってくれて、春からスタメンで出させて下さった。どんな選手よりも気にかけてくれたので恩返ししたいと思っていたのに結果が出せなかった。去年の冬にファーストにコンバートしてもらった。最初はキャッチャーとしてやりたいという気持ちもあったが、それが監督さんとチームのためになるなのであれば、と監督さんがそういう道を示して下さった。そこで自分の我を貫き通しても今の自分はなかったと感じる。今まで教わったことをしっかりやって、今度は成し遂げられなかったことを絶対成し遂げたい。(4年生との思い出やかけてくれた言葉は)春の初戦に初スタメンで無安打だったときに、4年生が「お前固まってんぞ」「リラックスしていけよ」と言ってくれて次の試合でヒットを打てた。「お前が一番良いから使ってくれてるんだから気にすることない」「ミスを恐れるな」と言ってくれてその言葉も心に残っている。4年生に本当に感謝している。(これまでの高橋監督からの言葉は)いっぱいあるが一番は「このチームはおまえが引っ張っていかないといけない」「2年生だけどお前はこのチームのクリーンアップとしてやらなきゃいけないんだ」ということを個別に呼ばれて言われた。(新チームに向けて)今こうして経験できたことはこれからの試合に絶対活かせると思うので、できなかったことをリベンジしてもう一度日本一を目指して頑張っていきたい。

TEXT=須之内海 PHOTO=松本菜光花、永田育美、伊藤梨妃