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第90回日本学生氷上競技選手権大会
12月27日(水) テクノルアイスパーク八戸
東洋大5―1慶大
[ゴール(アシスト)]
10:29 中村(武部)
23:49 渡邉(出口、山田)
29:05 古川誠(清水)
31:54 古川誠(出口、清水)
42:30 佐藤(笹川、輪島)
2得点をあげたFW古川誠
FW古川誠のゴールに盛り上がる選手たち
好セーブを数多くみせたGK水田
FW武部はアシストでチームに貢献
「優勝まであと3日。1個1個大事に勝って」という山田主将(社4=埼玉栄)の言葉で3日目を迎えた、日本学生氷上競技選手権大会(以下、インカレ)。今大会の一つのキーポイントとなる慶大との準々決勝が行われ、GK水田(社2=駒大苫小牧)が幾度となく好セーブをみせてチームを盛り上げつつ、エースのFW古川誠(社3=白樺学園)が2得点を決めるなどして見事に勝利を収めた。
慶大は関東大学アイスホッケーリーグ戦(以下、秋リーグ)で2勝しているものの、毎回苦戦を強いられる相手。そんな相手との試合は、序盤から東洋大がプレッシャーを与えていく展開となった。パックを占有し、FW古川誠やDF渡邉(社3=日光明峰)の連携でゴールを狙っていく。しかし、両校共に強みは体を張ってのプレーであるだけに激しい衝突も。FW武部(社1=苫小牧工業)のペナルティにより不利な状況に陥るものの、リンクに戻るとすかさずパックを受け取り、ゴールまで運ぶ。「周りを見てプレーする」と意気込んだ通り、冷静にDF中村(社2=八戸工大一)へパスを回した結果が先制のゴールを生み出した。
終始攻めながらも1-0のまま1ピリを終え、迎えた2ピリ。しばらくは慶大ペースで試合が進んでいき、慶大の選手一人にドリブルで素早く抜けられるような場面もある中、緊張感が高まる。そんな流れを変えたのはDF渡邉のシュート。SH(ショートハンド)にも関わらず、FW山田がもってきたパックをしっかりとゴールへ押し込んだ。ここからは再び東洋大優位の流れに。PP(パワープレー)でチャンスの場面が続き、開始から約10分。ゴール前のわずかな空間でFW古川誠が鮮やかなシュートを決めて追加点を決めた。慶大のタイムアウトを挟んだ後、ゴール前で膠着状態となったためパスを回してタイミングを計る。「決める形が僕のところからだったので、そこが空くまでは周りの選手のスキルに頼った」と言い、最終的にネットを揺らしたのはまたしてもFW古川誠。先ほどよりも大きなガッツポーズを見せ、アシストのFW清水(社1=白樺学園)らが駆け寄った。残り3分を切った頃から慶大による攻撃が続いたが、GK水田の活躍により無失点のまま2ピリを終える。
勝利が目の前となった3ピリ。開始わずか2分半でDF佐藤(社3=駒大苫小牧)が放ったパックは相手GKに当たった後、そのまま落下してゴール内部へ。これがダメ押しの5点目となる。その後の3ピリで光ったのはGK水田の好セーブ。SH(ショートハンド)となり、ゴール目前まで迫られる場面もあり、悔しくも1失点。しかし、慶大の鋭いシュートを手でキャッチする、足で止めるなどして東洋大の流れを簡単には渡さない。何度も厳しい場面を切り抜けるGK水田のプレーに観客席、チームのベンチから歓声があがる。そして最終スコア5―1で試合を終えた。
監督から「自分のプレーに責任をもってやる」という言葉を受けて今試合に臨んだ選手たち。インカレの山場となるというこの試合で、結果的には気がつけば5-1と秋リーグよりも点差をつけた勝利となり、「個々に責任を果たしてくれた」と監督も納得の様子。次戦は昨年度、準決勝で敗北を喫した中大との再戦だ。秋リーグは1勝1敗で終えた中大との決着をつけるときがきた。
■コメント
・鈴木監督
スタートからすごく気持ちも入ったし、選手が個々に責任を果たしてくれた結果が今日の勝利に結びついたと思う。(キーとなる試合だったと思うが)本当、慶応さんもすごくハードワークをして、リーグ戦もすごくタイトなゲームをやってきたので、まずは今日が一つの大きな山として選手もチーム全員で考えていたので、明日につなげられて良かった。(選手の顔つきも普段とはちがうか)そうですね。やっぱりトーナメントだし、1回負けたらこのチームはもう終わりなので、そういった面では選手もすごく気持ちを入れてくれていたと思う。(ペナルティが多い試合だったがチームは)このトーナメント自体、やっぱりレフリーが4人制ということで細かいところまでしっかり見てくれているので、そこはお互い様だと思うし、そこには一応準備はしていた。(注目していたFW古川誠の活躍は)今シーズンすごく苦しみながらリーグ戦を戦っていたので、彼がエースとして今日のような活躍をしてくれるのはチームとしてすごく大きなことなので、明日あさってにつなげられるゲームだったのではと思う。(GK水田は)今日はかなりピンチもあったが、水田がいいセーブでリズムを引き寄せてくれた。今後の起用についてはスタッフで考えたいと思う。
・FW古川(社3=白樺学園)
1ピリから東洋大らしいホッケーができたのでこの結果になったと思う。(2点目のゴールは)PP(パワープレー)で決める形が僕のところからだったので、そこが空くまでは周りの選手のスキルに頼って、クリーンになったところでもらって空いてるところに決めるだけっていうことだったので、あまりあの形を練習してなかったが春にやってきたことが今につながってよかったと思う。(ペナルティ中に東洋大が失点)チームとしては完封したかったし、この先厳しいゲームになると思うのでもっと自分の感情をコントロールして、いらない反則は無くしてしっかりしていきたい。(青森入りしてからのコンディションは)インカレ合宿からはあまり調子がよくなかったが、初戦入ってからは今シーズン一番いいくらいでプレーできている。(明日の中大戦に向けて)中大だからっていう気持ちは無いけれど、去年のインカレは準決勝で中大に負けてしまって決勝に行けなかったので、去年の4年生の分もここでリベンジして今日の勢いのまま決勝に進みたい。
・GK水田(社2=駒大苫小牧)
完封はできなかったが、最少失点で抑えられたことは自分的にはよかったかなと思う。(2ピリは好セーブが続きましたが)インカレってことで焦りもかなりあったんですけど、仲間も一緒に守ってくれているので、助けられながら守ることができた。(インカレ初のフル出場でしたが)インカレって一味違くて、春の大会とも秋リーグとも全然、ケタ違いに緊張感がありました。もちろん最初は緊張もあったが、そこからは落ち着いて止められましたね。うん、大丈夫でした!(最終戦の先発は知らされていないと聞いたが)もちろん出たいです。決勝で僕を使ってくれると信じて頑張ります。
・FW武部(社1=苫小牧工業)
(試合を振り返って)慶大はシュートブロックとか結構気合い入っていて、なかなか得点することが出来なかった。でも東洋らしい積極的なプレーで点数とれたのが良かった。(ペナルティ明けのプレーは)出場した時はあんまり構えていなくて気持ちが整っていなかったが、チャンスだったのでしっかり落ち着いて味方のゴールにつなげられたので良かったと思う。(試合で意識したこと)自分の持ち味の周りを見るプレーなどしっかり試合から意識していた。(次戦に向けて)去年のインカレを自分も上で見ていた。当時は中大に敗れてしまったので、そのリベンジをしっかり果たせるようにチーム一丸となって頑張っていきたいです。
TEXT=越塚日南 PHOTO=玉置彩華、外狩春佳、川口朋珠、伊藤なぎさ